第41話、八重山諸島 旅行記『 与那国島 』編①

 近況ノートにも記させて頂いたが、読者様のご要望により、此度から数回に亘って沖縄~八重山諸島周遊における過去の経験を、旅行記として掲載させて頂こうかと思う。 不慣れなので、紹介記事のようになってしまう回もあるかと。

 先に、ご容赦頂ければ幸いである……


 時は、2020年の11月。

 私は、社員旅行で石垣島へ行った。

 八重山諸島の各島々へ連絡船で渡り、日本最西端の与那国島へも行った。

 海の景色をスマホで撮り、妻へ送ったところ、あまりの綺麗な海に、娘も

 感動していた。


 ふと、考えたら……

 この4月で小学4年生になる娘だが( 2021年当時 )、本当の海を見た

 事がない事に気が付いた。

 ……そう、港の海しか、見た事が無い……


 私が幼少の頃は、どこの家庭も毎年のように夏休みを利用し、家族で海水浴へ出掛けていたものだ。 しかし、最近のレジャーからも海水浴が少なくなった事に比例してか、現在の我が家も、海水浴へは行った事がない。 強いて言えば、娘は飛行機にも乗った事が無い。

 …まあ、飛行機は別としても、海を見た事が無い事実には、ある意味、教育上の観点からも問題がありそうだ。


 どうせなら、初めて見る海は、綺麗な海を見せてやりたい……!

 妻も、たまには、ゆっくりさせてやりたいし……


 かくして、2021年の春。

 妻と娘を『 南の楽園 』に連れて行くと言う、私の計画は、実行に移された。

 予定日は、娘が春休みである3月下旬。

 私は、月曜からの3日間、有休を申請した。



 沖縄本島よりも、更に綺麗なビーチが無数に存在する八重山諸島……

 その観光の拠点となる場所は、石垣島である。

 石垣港には、八重山諸島 各島々へ連絡船で渡る為の離島ターミナルがあり、その連絡船にて島々を巡ると、信じられないほどの美しい海を見る事が出来る。 石垣島本島の観光も良いが、やはり離島周遊だろう。 そして出来れば、与那国島まで妻と娘を連れて行き、あの奇跡とも言える美しい海を見せてやりたい……!


 ツアーでは無く、飛行機とホテルの予約だけを取り、あとは全て自分でプランを練った。

 ……あまり、あちこちを廻ると、それだけで疲れてしまう。 今回の旅行の目的は、あくまで『 美しい海を、娘と妻に見せる事 』、それ一点に尽きるのだ。

 周遊に余裕があり、尚且つ景観の素晴らしい場所の選択…… 初めて沖縄へ行ったのは、それこそ30年ほど前の事で、当時の記憶では、景色の感動は何も覚えていない。 ここ6~7年、社員旅行で何度も行った沖縄~八重山諸島の景観の記憶を頼り、八重山諸島の各島々を結ぶ、連絡船の運航時間・景勝地の位置関係を、数ヶ月に亘って調べまくった。


 まず、必ず押さえたい場所として、与那国島がある。

 今回、石垣島を周遊の拠点として選んだのには、訳があった。 与那国島は日本最西端の島だが、意外と飛行機の離発着時間が良く、飛行機を使えば、石垣島からだと、沖縄からでは出来ない『 日帰り 』観光が可能なのである。 それこそ、海の透明度・綺麗さは、八重山諸島の中でも群を抜いている。

 2月には、石垣港の離島ターミナルの目の前にあるホテルを予約。 飛行機のチケット代もホテル宿泊代も、全て自分が負担し、妻や娘の『 おこずかい 』( 妻3万円、娘1万円:新品財布付 )も用意した。


 そして、迎えた3月下旬。 後は、天気だけである。

 この時期の沖縄~八重山諸島は、ほとんどの日が、曇りか雨…… オフシーズンである事も加味されているとは思うが、11月の社員旅行でも、4日間の内、晴れたのは1日だけだった。

 こうなったら、私の『 強烈晴れ男パワー 』に賭けるしかない。 せめて、与那国島観光の日だけでも良いので、晴れを願った。


 ……何と、晴れた! しかも、3日も……!


 特に、与那国へ渡った日は、日焼けするほどの快晴。 信じられない…! 晴れ男パワーの成せるワザか? もう、笑うしかない。

 今回、与那国へ渡る為に予約した飛行機の搭乗チケットは、搭乗日が変更できるプランのもの。 石垣島に着いて、翌日を与那国観光に充てていたが、雨天だった場合、最終日に変更しようと思っていたのだ。

 だが、それは必要が無くなった。 文句なしの晴天である。


 今回の旅で、飛行機初搭乗にもなった娘だが、結果的には、ジェットとレシプロ( ターボプロップ式:プロペラ )の両方に乗れた。

 本土から石垣島まではジェット旅客機だが、与那国島へは、小型のプロペラ機が就航している。 カナダ製の名機『 ボンバルディア 』だ。 レシプロなので飛行高度は高くなく、スマホやタブレット端末を機内モードにしておいてもバグる事があるジェットに比べ、快適に環境を維持出来る。 更には、セスナ機のように、翼が胴体の上にある構造なので、離着陸の際、格納式タイヤの作動状況が窓から見え、機械オタクの妻は、興味津々だった。(笑)

 飛行機への搭乗は、全天候型の可動式デッキでは無く、昔ながらの移動式ラック。 飛行場の滑走路を歩ける経験は、中々に無く、搭乗する気分が盛り上がって楽しい。


 新石垣島空港から、10:05発 琉球エア・コミューター RAC741便 与那国行にて、与那国島へ。

 我々にしてみれば旅行だが、地元の人たちにしてみれば『 お出掛け 』である。 石垣港からは連絡船も出ているが、1時間以上は掛かる。 飛行機だと35分だ。 石垣から与那国まで『 作業 』で出掛ける人も多く、機内には作業着を着た人たちがかなりいた。


 与那国島空港 10:40着。

 予約してあったレンタカー会社( 与那国ホンダ )の人が、空港まで迎えに来てくれていた。 軽自動車をレンタルして与那国島を回る予定である。

「 すみません、お貸しする車ですが、故障してしまって…… 少々、古いワンボックスでも良いですか? 」

 出迎えで乗せてもらっている車も、窓枠が錆びて朽ちている。 何となく、その『 古いワンボックス 』も、大体の想像( 覚悟 )がついた……

 まあ、古い車は、若い頃から乗り慣れている。 私は、快く受け入れた。


 ……全っ然、問題なし。

 確かに、あちこちガタが来ているようだが、初めて乗るワンボックスに妻と娘は、大はしゃぎ。 ドコかの『 業者 』になったような気分だ。 後ろの荷台( エラそうに、ラゲッジ・スペースと言うそうな )も、砂が付いた足を拭くのに便利そうである。

 南国の、眩いばかりの陽が降り注ぐ与那国の道を、私は快走し始めた。


( 近況ノートに、写真を掲載致しました。 滑走路から移動式ラックで

  搭乗する双発のレシプロ機、ボンバルディアです )



 → 続く

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