第9話、『 寝言 』

 夜中に、ふと目が覚める時がある。

 娘が生まれてからは、お腹を出して寝ていないか心配になり、身体を起こし、天地無用の寝相とも言える、娘の様子を見る事が多くなった。

 …と、よく、そこで『 一句 』出る。

 まるで、私が覗き込むのを見計らってかのようだ。 しかも、妙にハッキリとした会話文の寝言で、思わず返答した事も多々あった。

 以下は、未だ記憶にある、3歳の頃からの『 名言集 』である。


・「 あ~あ、もう疲れちゃった~ 」( 溜め息付:3歳の頃 )

  中年女性か、お前は。


・「 えへへ~ うひゃひゃひゃっ! あたしだよ? 」( 4歳の頃 )

  寝ながら笑うな。 しかも、誰に自己紹介してんの?


・「 ダメッ! 」( 4歳の頃 )

  はい、ごめんなさい。


・「 だから言ったでしょ? もう、プンプンっ 」( 4歳の頃 )

  …お前、もしかして起きてんのか?


・「 もっと食べるのぉ~ パクッ! 」( 4歳~5歳の頃 )

  もう、ヤメとけって。


・「 それは、随分と前の事ですね~ 」( 5歳の頃 )

  誰に講釈してんの?  しかも、幼稚園児で『 随分 』かよ。


・「 イチゴ、下さぁ~い 」( 5歳の頃 )

  多分、かき氷を注文している夢を見ていると推察される。


・「 すみません、最初からやりますぅ~…… 」( 5歳の頃 )

  夢の中で、ナニしてんの? お前。

  …しかも、幼稚園年中にしては、会話がOLみたいだぞ?


・「 アオエ、グヤグ~ 」( 5歳の頃 )

  これは時々、起きている時にも発していたセリフだが、頼むから日本語で喋れ。


・「 青かよ 」( 6歳 )

  完璧に、意味不明。 赤なら良かったのか…?


・「 これ、だいたい好き。 少々、美味しいよ? 」( 6歳の頃 )

  またゴハンの話しである。 しかも、文法、間違ってるし。

  それに、幼稚園年長で『 少々 』かよ。


・「 はううぅ~~~~…… 」( 小1 )

  どうした? 夕飯は、ちょっと前に食ったぞ?


・「 それ、引っ張らないでね 」( 小1 )

  お前、夢の中で、何を制作してんだ?


・「 わぁ~、ドコ行ってたの? 」( 小2 )

  夜勤ですわ。


・「 う~ん… 違うな 」( 小2 )

  まあ、せいぜい悩め。 君の人生は長い。

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