第2話、『 ちっくん 』

 妻と娘(小3 )の会話は、創作力が、豊か… と言うか、ハチャメチャと言うか…

 まあ、後者の方なのだろうが、とにかく、娘の『 センス 』には、笑える。

 ふとした会話が、傑作な展開となる為、以前から会話を書いて記録する事にしているのだが、たまに読み返すと、思わず吹き出す事も。


 これは、4歳頃の会話記録だが、少々、編集してみた。

 敢えて、状況描写は削除してある。 漫才をしている状況を思い浮かべ、読んでみ頂けると良いかも。


 天気の良い、冬のとある日曜。 妻の実家へ遊びに行った帰りの車内にて、後部座席に座っていた妻と、娘との会話である。


 車内が暖まって来て、首に巻いていたネックウォーマーが暑くなった娘。

「 これ、脱ぐ~ 」

 頭に引っ掛かり、帽子のようになった。

 娘が言った。

「 見て見て~、かんごくし(看護師)みたい~ お母さん、お客さんやって。 いらっしゃいませ~ 」

「 あやちゃん、病院では、いらっしゃいませ、は言わないのよ? 」

「 今日は、どうしました~? 」

「 …イキナリ、無視ですか。 ん~… ちょっと、熱があるんですぅ~ 」

「 それはいけませんね~ じゃあ、ちっくんしますよ~? 」

「 ちょ… いきなり注射ですか? ちゃんと診て下さいよ 」

「 しょうがないですね~ 」

「 嫌々かい 」

「 じゃあ、まず、お熱、測ります。 ちっくんするから我慢して下さいね~? 」

「 体温計で、ちっくんしたら、多分、死ぬと思います 」

「 ぴぴぴっ 」

「 また無視ですか… まあ、分かってましたケドね。 何度ありますか? 」

「 ん~… 53度ですね~ 」

「 ムチャクチャです。 53度あったら、死にます 」

「 じゃあ、78度 」

「 脳ミソ、沸騰してます。 しかも、『 じゃあ 』って、何ですか? それ 」

「 お気の毒さま。 ここに座って下さい 」

「 会話が、成立していないですね。 …はい、座りました 」

「 今日は、どうしました~? 」

「 …あのぉ~… さっき、言いましたけど? ちょっと熱があって…… 」

「 分かりました! お腹が痛いのですね~? 」

「 違います。 勝手に、症状を決めないで下さい 」

「 じゃあ、ちっくんします 」

「 また、無視? しかも、完璧に。 …まあ、いいです。 ちっくん、お願いしますよ 」

「 お熱、測りますよ~? …違うな。 いらっしゃいませ~ 」

「 支離滅裂です 」

「 おしりプリプリ? 」

「 全然、違います 」

「 えっとね、ん~… 今日は、どうしました~? 」

「 …… 」

「 まず、ちっくんしましょうね 」

「 …あやちゃんも、ちっくんしようか? 」

「 あやちゃんね、もうすぐ4歳だから、泣かないよ? 」

「 偉いね~ 4歳だもんね 」

「 でもね、明日になったら、2歳に戻ってるかもしれないから、少し泣くかも 」

「 …戻らん、ちゅうの。 まあ、どっちにしろ多分、ギャー泣きです 」

「 違うよ、ギャーじゃないよ、うえ~んだよ? 」

「 泣いてますけど? 」

「 ちっがうよ、少し… ちょこ~っと、うえ~んするだけだよ? 」

「 それを、泣いてると言うんです 」

「 言わないの! ギャーじゃ、ないもん! 」

「 もういいから、ちっくんして下さい 」

「 まず、お熱を測りますね~? 」

「 さっき、53度でした 」

「 おつかれさまです 」

「 …疲れて来ましたね、確かに 」

「 じゃあ、お口を開けて下さい。 あ~ん 」

「 あ~ん 」

「 大変です、カビるんるんがいます! これは、虫歯ですね 」

「 ここは、歯医者さんですか? 」

「 ちっくんしますよ~? ここに座って下さい。 さあ、今日はどうしました~? 」

「 …… 」

「 サイアクや 」

「 あんたの事だわ 」



ボケとつっこみの、見事な漫才。

気分が良いと縫いぐるみを相手に、1人2役で、こういった会話を延々と1時間くらいする。

子供って、ホント面白いケド… 大丈夫か? ウチの娘……


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