第3話、『 みかん 』

 毎年、冬になると唇が荒れる。

 知人に皮膚科の先生がいて、その彼から聞いた話しだが、毎日、ミカンを3つ食べると、唇が荒れないのだそうだ。 独身の頃の事だが、チャレンジしてみた事がある。


『 毎日、ミカンを3つ食べる 』


 結構に大変だった。

 床に入り、ミカンを食べ忘れた事に気付いて、夜中に起き、家族が寝静まった後の暗い食卓で1人、ミカンを食べている図、である。 …ハッキリ言って不気味。

 しかし、努力の甲斐あってか、その年の冬は、本当に1度も唇が荒れなかった。

 以来、私は、積極的にミカンを食べるようになった。


 さて、娘だが、オレンジジュースは「 酸っぱくてキライ 」とか言って飲まないクセに、ナゼか、ミカンはよく食べる。 しかも、皮を花形にむいて。( キレイにむけず、皮がちぎれると、大変に怒る )

 糖度が低く、甘くないと1個で止めるが、時々、少し甘いと3個を食べよる。

  …その小っこいお腹の、ドコにそんなに入るんだ? しかも、食後に。

「 あやちゃん、ミカン食べたから、お肌ツルツルぅ~♪ 」

 そう言って『 可愛い可愛いポーズ 』を取る。( 両手を合わせ、右の頬の横に立て、頭を右に傾ける )

 このポーズは昨年、私が覚え込ませたのだが、最近、マイブームらしく、何かにつけて連発。 『 可愛い 』の意味、ホントに分かってんのか? お前。


 ミカンは、私と一緒だと、合計で10個くらいをイッキに食べる時もある娘。

 …果糖って、太るらしいから、ほどほどに、な。

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