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 いろんなことがあって、神様として崇められるようになってしまったことを、凌は後悔しているわけではなかった。

 裏の世界・レグルノーラは大切な場所だし、ここで生きていくと誓ったことも、嘘ではない。

 けれど、得たものと同じくらい失ったものが大きいのは確かだった。

 美桜との時間をどう確保していけば良いのかというのが、凌の目下の課題。元々誤解される性格だが、彼女を苦しませてしまうのは我慢がならない。

 授業中、席替えして遠くなった美桜の席を見つめ、板書を取るのを忘れることさえある。声をかけようとしてタイミングを失い、変な動きをしてしまうことも。

 二人きりになればどうにか話も出来そうなものだが、生憎哲弥と怜依奈以外は自分たちが付き合っていることを知らない。美女と野獣、月とスッポン。側から見たら、正にそんな感じ。要するに、全く釣り合わない。

 哲弥に言われ、意を決した凌は、昼休憩と共に弁当片手にして美桜の席まで突き進んだ。一緒に飯でも食えば何かしら喋ることもできるのではないかと。


「あ、あのさ、美桜」


 声をかけた瞬間、美桜は席を立った。

 彼女は目を合わせない。

 思い悩んだような顔で、「ごめんなさい、トイレ」それだけ言って、教室を出て行った。

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