第10話 MotoGuzzi police 1000 その2
Moto Guzzi Poice 1000は、
YAMAHA TR1を停めたNaomiの後ろに
静かに停止。
ヘルメットにバイザー。
警官は、にっこり笑って
ヘルメットを取る。
ふつう、警官はヘルメットを取らないけど。
「めぐ!Naomi!、久しぶりーぃ。元気?」と。
「Reimy!」「れーみぃ!」と、めぐとNaomiは
クラスメートの名前を呼ぶ。
れーみぃは、おとなしくて
物静かな小柄な子だったけど。
まさか、ハイウェイパトロールの隊員になってるなんて。
めぐは驚く。
どっちかって言うと、めぐみたいな
文系の感じだった。
ベレー帽子が似合う、長い黒髪を
まっすぐにした、お嬢さんだった。
「びっくりしたー、交通違反?」と
Naomiはにこにこ。
エンジンを停めた。
Moto Guzziのエンジンは、もう止まっていて。
路肩に止まった2台のオートバイを、午後の陽射しが包む。
れーみぃは、どことなくアジアンな風貌で
可愛らしいから、ハードな警官の制服を纏うと
より、フェミニン。
その、ルージュの唇から「ううん、懐かしくって。停めたの。」って
ちょっと可愛らしい口調で言われると
なんとなく許しちゃう(笑)と
思えるめぐだったり。
「どこ行くの?」と
れーみぃは聞くので、Naomiは
「リサのお悩みをね、解決しに行くの」と。
Naomiは、親友リサが
電車の免許試験を受けるので
失敗したくない、って
おじいちゃんへの贖罪の思いを持ってしまって
辛い気持で、夜眠れない。
そんな話を、れーみぃにした。
れーみぃは、ふくよかな顔を綻ばせて。
Lotus Blossomの開花のように。
「わかるなぁ。わたしもそうだったもの。
ハイウェイパトロールの試験のとき」と。
警察官になったのも、なんとなく
正義を守りたかったから。
そういうれーみぃは、柔和に正義に燃える子だ。
声高に議論したりはしないが、法律を学んで
法に外れた人たちの、その、外れたところだけを
元に戻す。
人を憎むわけでもなく。
そういう気持でいる子。
いつかは、司法警察官になるのが夢、だと
れーみぃは言う。
「じゃ、急ごう?わたしも夕方までなの。ハイウェイパトロール。
夜はバイクは走らないから。」と、れーみぃは
Moto Guzzi Police1000に跨る。
すると、ハンドルの所のモトローラの無線機が
鳴った。
「Mary-Seven #3、こちらは本部。」
れーみぃは、無線のマイクを取って「本部、こちらはMary-Seven #3、どうぞ。」
無線の声は部長らしい。「現在地は?」
れーみぃは、楽しげな声で「本部、こちらはMary-Seven #3、これから、
交通誘導を行います。どうぞ。」と、ユーモラスな声で言うと
本部の声は「了解。安全に誘導されたし。あー、れーみぃ?
遅くならないようにな。」と
部長さんは、温かい声で。
みんなが、やさしい。
めぐは、そう思った。
れーみぃは、無線のマイクを戻して
「さー、いこ?」と、MotoGuzziのエンジンを掛けた。
低い、爆発音のような排気音は、独特だけれども
規則的で、スムーズな感じで
TR1とはちょっと違う、とめぐは思う。
れーみぃはヘルメットをかぶって「ついてきて?」と
青い回転灯をつけて、走り出した。
Naomiも、TR1のエンジンを掛けて。
こちらは、すこしラフな感じの排気音。
それが、至って楽しげな感じ。
ギアを1速に入れて、れーみぃの後を追う。
めぐは、友人ふたりの背中を追いながら「免許とろうかなぁ」なんて思う。
オートバイ、楽しいかも。(w)
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