第7話
銀鏡の刀こと聖痕は持つ者を選ぶ。聖痕のさだめとして一番大切な人の堕天が起こる。
義姉弟の凛正は相変わらず顔色が悪い。堕天の条件は幾つか有るらしく、思念の塊を切り裂くと堕天が進まないらしい。言葉を変えれば刀が血を欲しがっていると言える。正義の味方気取りでいるのとはかけ離れた気分だ。
ふ、正義感など妖刀の使い手に必要ないか……。
わたしの育った環境を考えれば、正義の味方より妖刀に魅入られた者だ。今宵も近所の公園に向かい抜刀する。
剣先を見つめると銀鏡壁を作る。こんな公園にも思念の粒がいるのが可視化される。三体ほどだが、わたしは全力で切り裂く。思念の粒が黒い煙になると、銀鏡の刀をしまう。
この感じ……妖刀は喜んでいる気がした。
そうか、迷いが堕天を生むのかもしれない。真に銀鏡の刀を使いこなせば良いのか。
今日も道玄坂とランチである。
うん?
道玄坂が必死になってメッセージアプリに書き込んでいる。呪いにしか興味がないと思っていたら。
友達がいるのか……。少し気になったので聞いてみると。
「あ、これ、呪い術者同盟の『橘川 麗』よ」
呪い同盟……聞くんじゃなかった。
「一般人には完成された呪いしか使えないから。お互いにテスト段階の呪いをかけ合うの」
イヤな関係だな。ま、趣味が同じなので親友にあたるのかもしれない。
「道玄坂はその友達とは一緒に居たくはないのか?」
「いやー顔を合わせるとついつい呪いをかけてしまうので普段は会わないのですよ」
結局はわたし以外に遊べる友達はいないのか。しかし、いつ見ても道玄坂のお弁当は華やかだな。
「やーですよ、わたしのお弁当を覗き込んで、エリカったら……」
道玄坂の話によると料理と呪いは紙一重らしいのである。わたしも呪い……ではなくて、料理を教えて貰うか。
ご飯とゆで卵だけの自分のお弁当を見て思うのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます