第2話
「国立魔導学院?」
「はい。正確にはリュカ王国立魔導学院です」
「どちらでもいい。それでなんでこれを俺に?」
こんなところに行かなくても俺は世界でもトップレベルに強いのに。
「それには主に2つの理由があります。
一つ目は主様の目的の一つである両親の捜索の手掛かりがつかめるかもしれないと言う事です」
「……」
俺は両親のことどころか家族の事も何も知らない。
物心ついたときには森の中に一人でいた。
どうやって生き延びてきたのかは俺にもわからない。
だから、両親の事について一つでも知ることが俺の目的の一つでもある。
シリカたちを拾ったのも家族という心の空白を少し埋めるためといった考えがあったからだ。
「…どうやって手掛かりを集めるのだ」
「まず、国立魔導学院について説明します。
国立魔導学院は合格者100人前後に対して受験者1500人越えのいわゆる超難関校というやつです」
「…続けろ」
「はい。そしてそこを合格したとなると宮廷魔導士や近衛騎士団へ推薦されることは確実でしょう。それ以外でも冒険者としても上位に行くことが可能であると言えます。そうなると、国から依頼されるという事もあると思います。そうした機会に報酬として主様の両親の情報が手に入るというわけです」
「つまり、手に入れるのはすぐではなくある程度の時間を要するというわけだな」「はい」
これは…悩むな。
入学してすぐに情報が手に入るならともかく、卒業までの3年間をそこで過ごすとなるとどうにも…
「2つ目の理由ですが…」
「なんだ、早く言え」
言い淀むシリアに先を促す。
「はい。2つ目の理由は主様と…一緒に学院に通いたいからです」
「……」
またか…。
こいつらはどうしてあらゆるものを俺と一緒にしたいのか?
前は俺が武器を買いに行くと一人で出るとその後を3人そろってついてきたのだ。
そのようなことが何回あった事か。
「はぁ、じゃあ多数決で決めるか」
いちよう、こいつらの意思も尊重してやらないとな。
「学院に通いたい奴は手をあげろ」
すると、シリカだけでなくミル、シュラまでも手を挙げた。
「理由を聞いていいか。」
まあ、分かり切ってるが。
(シリアと一緒)
「私もシリアと同じだな」
こいつらはこういう時にかぎっておまじ意見なんだよ。
ちなみにミルはしゃべれないので紙に書いている。
「シリア、入学試験の日時は?」
「2週間後です。」
ん?
「ちょっと待て。2週間後だと。筆記試験はどうするんだ?」
この国の歴史なんかさっぱりだぞ。
「大丈夫です。学院は実力主義なので試験は実技のみです」
「ならいい。では全員で国立魔導学院に通うと言う事でいいか?」
「はい♪」
(こくっ)
「はい」
これで俺たちの学院生活が決まったのだ…。まだ受かってないけど。
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