第十八回 駆ける、今この時を。


 ――春の休日も残すところ僅か。この度の土日を過ごしたら、もう新学期を迎える。



 正式に、中等部三年生としての、お話が始まりを迎える。


 だけれど、もう少し……

 今のまま、四角の関係を続けたい。


 何処も隠すことのない裸の付き合いができるようになって、梨花りか可奈かなは兎も角、せつとも混ざり合うことができた。もうすぐ仕上げの時来たるから、確立するまでもう少しだから、……そうしたら、ウメチカ・ファイブの土台も強固のものとなる。



 その思いを託すように今一度、

 ――イーブンデリオンは駆ける。もちろん五百系の模型の、そのレールの上を。



 トランスフォームはまだなしで、列車の姿で留めているの。今はゼロ系とコラボしている。高架での擦れ違いも再現され、プラットホームまでもね。ニンマリと僕の笑み。そう梨花は言った。僕の顔を見るなり、梨花までも多分、僕と同じ表情をしているから。


「いい具合だね、千佳ちか


「うん、最高の演出になりそうだよ、梨花」


「でも、本当にいいの? せっかく太郎たろう君と二人きりで、楽しみにしてた『シン・イーブンデリオン』なのに。僕と可奈、摂まで一緒に鑑賞しても」


「……一緒にいてほしいから。太郎君が入って『ウメチカ・ファイブ』だから。過去にこの場所で出会った僕と太郎君の、新たなる出発を飾りたいから」


「……わかった。

 明日、皆で完成させようね、ジオラマ。僕もイーブンデリオン完成させるから、摂はお台場のバンプラ仕上げるから。ちゃんと当日には、飾ってあげるからね」


 それは列車のイーブンと、ロボット(正確には人造人間)のイーブンのコラボとなる。



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