第十二回 マナーのその果てに。


 ――ストレートに学び、温泉なだけに裸だから、体で覚え実践する。その様なスタイルに変貌する。プランとは遠くかけ離れたものに……なりそうだからね。



 だからこそ、ちゃんとしたルール。

 足場を崩さないよう、マナーが必要となる。その中心となるのが可奈かなとなった。


 基本、ゼロ装備は……上がる時に困ることとなる。


 体が拭えずに床を濡らすこととなるが、ここでは問題なし。下駄箱とかによくある簀子使用だから。……ではなく四人いる。その中の、まあ二人くらいで賄えるからだ。


 以前は、梨花りかが試みたことのある水着着用。可奈より禁止令が出た。


 お風呂は全裸が基本。身を清める場所なのだから。一糸まとわぬ姿で湯に浸かる。タオル類は湯につけないのがマナーだ。長い髪は纏める。タオルをターバン仕様にするも可。


 この四人で髪が長いのは、可奈とせつ……

 僕と梨花はボブで、肩に少し当たる程度。


 まずはお湯で流す。掛湯、またはシャワーなどで。体を濡らし綺麗にする。それから入浴だ。ふと思う。海外に行くチャンスがあるとすれば何処の国へ? などと。


 だから答える。


 ――入浴なだけに、ニューヨークと。その結末。……その結末はね、ある程度の予想はしていたけれどもね、ヒューッと風が流れるのか、いやいや大爆笑を収めた。


 皆が皆、弾む笑顔で弾む笑い声。


 こだまする笑い声。見渡す大自然の摂理。森のような林のような、緑あふれる景色。そこに生まれたままの姿で、湯に温まる。四人が四人、四角の関係を保ち、距離感も。ソーシャルディスタンスをほんの少し、気持ちだけは緩めに裸の付き合いで。


 小鳥のさえずり、川のせせらぎもコラボで、


 その調べに心を満たす、素敵なリフレッシュ。人類の還る場所が海であるように、水と人間の共存は切っても切れぬ仲。人間の体内にも七割の水があるのだから、命の水が。



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