第七回 安全の儀? 春の千佳。
――春の病かな? このモヤモヤ。こんなにも自分をコントロールできず暴走?
暴走は駄目。今は春の交通安全も実施されている時期。それに習って、グッと抑えようとするけれど、
「じゃあ、それも教えてあげるね」という感じで、迫る迫る迫る……その果てには、ゴチン! と高らかに効果音。……僕は痛くない。で、可奈が「痛~い」と甘えた声で。
春のでっかいスノードロップ……ではなく、拳骨を落としたのは、せっちゃんで、
「可奈、あんたの方がこの瞬間を見つめ直す必要がありそうね。それを言うなら、ええっとね、マスターベ……じゃなくて、リフレッシュじゃないかな。きっと環境の変化に対する負荷が溜まってたんだね。
と、顔を赤くしつつも言い切った。それでもって間髪入れず、
「ちょっと、せっちゃん、『梨花と違って……』は一言多いんじゃない? まるで僕が図太くて、能天気みたいじゃない」
と、梨花は反旗を翻しつつも、……でもって、それでもって、
「あっ、そういう意味じゃなくて、梨花は環境の変化に順応できるけど、千佳は違うみたいなのって意味。どうもここ一年で、劇的な変化が次々と起こったようだから。……千佳のエッセイを読んでそう思って……だから、行ってみたらいいんじゃないかな、『奥の細道』まで。私たちが受験勉強に打ち込む前の、今この時に……」
せっちゃんの視界は、僕を始め梨花も可奈も皆を包んでいる。最初に会った時の、派手派手な趣ではなく角も緩やかに、丁度良い角度を保っているの。
――例えば三角だと角度は鋭角になって痛々しいけれど、四角だとね、丸くもなく程よい角度になるの。刺々しくもなく、なあなあ日常でもなく、本当に理想的な角度。
もしかしたら、これが四月の四角関係なのかもしれない。
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