第六回 難解の儀? その言動。


 ――それは百合。梨花と同じように僕もまた。まだモヤモヤの原因も解決も、未だ解らずのまま。せっちゃんは見る、いつもよりも僕のことを。梨花りかよりも、可奈かなよりも。



 今は女の子四人が同じお部屋。複数のようだけれど、一つの作業に集結するというその内容。具体的にはバンプラ。百四十四分の一のスケールに拘る。鉄道模型がNゲージだから。バンプラは、やはり梨花とせっちゃん。可奈も混ざりたかったけれど……それを言うなら僕もだよと、僕は思った。二手に分かれたがために、僕と可奈がコンビを組む。


 作るのは情景……


 プラットフォームと、その周辺の緑の景色。そこで僕のこだわりは、路面電車用の路面を入れたい。そして回る回る機関車専用の、レンガ尽くしの機関庫も。作り方は……梨花直伝の可奈からレクチャーを受けながら、組み立てるの、一緒に。


 いつも梨花と一緒の可奈だけれど、


 こうして近くで見ると、とても可愛いの。真面目っ子というイメージだけれど、息遣いが何でか艶っぽく思えて、モヤモヤが肥大し、もどかしくなるに至って……



千佳ちか、あんたまた発情してるの?」


 と、可奈は唐突に訊く。……あまりにも聞き慣れてないものだから、


「発情……って?」


「つまり盛ってる……って、そうじゃないし、マスタベ……したことないの?」


 マスターベ……って、つまり。

 少し思考する。すると、ボン! と、顔から火が出そうになった。


「ちょ、ちょっと、可奈、……えっと、可奈の口から、その言葉が出るとは思わなかったから、つまり、その……あれだよね? でも、僕は、その子供というのか……」


「で、結局、あるの? ないの?」


「……ないと、思う。どうしたらいいか、わからないから」






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