第16話 思い出の値段

 皆様いかがお過ごしでしょうか?私は怒り心頭に発しております。皆様、コレクションはあるでしょうか?私は洋書、写真集、ビニ本、見た目が綺麗な本ばっかり集めておりました。CDも今ではプレミア物の名作ばかり所持していたつもりでした。


 きっかけはタバコの景品が当たるチャンスが在ったからです。景品が欲しいならこちらからそれらのコレクションを絶対欲しいので差し出そうとした事に端を発します。アメスピの住所って此処なんだ。着払いで送りつけてやろうかな?その代金分くらい余裕で貢献してる。一日一箱吸って10年以上だ。空き箱まで取って置いてある。空き箱が段ボールに二箱以上束になってる。母が「これで14万円だよ。」と金額を計算して箱を段ボールに積み上げて保管していた。


 私が持ってる写真集のコレクション、アンドリュー・ワイエス〜デイヴィット・ホックニー、美術館で購った企画展の図録、サクラダファミリア×井上雄彦、ヨハネス・イッテン回顧録、友達と出かけた思い出のジャン・フランソワ・ミレー。ファッションで言えば山本耀司のシリアルナンバー入りのtalking to myself、Yamamoto&YohjiRizzoli、アレキサンダー・マックイーンの死去の際に出たファッションニュースの号外にその次に出た日本版サヴェッジヴォヤージュまで、カールラガーフェルドを撮ったピーター・リンドバーグの写真集、ヴィジョネアのGAPの特集号、ウィリアム・モリスの壁紙のコレクション、全てを「俺の元に有ってもしょうがない、寄付にして誰かに読んで貰おう。」



 アメスピの住所に着払いで送ると言ったら止めに入った母、そして母が見つけた<チャリボン>と言う慈善団体。それだと送料無料で引き取ってくれる。誰かの目にも止まる。そして収益の出た本の料金を寄付団体に寄付してくれる。これだと思って其処に送った。


 今日、結果が出た。151点タバコの臭いがキツいと言う理由で廃棄処分致しました。


 俺の15年の思い出、素晴らしいセレクションの写真集や業書、古本屋に並んでも1000円以上値段が付いても買う奴はザラに居るだろう、良書ばかりがタバコの臭いを理由に廃棄処分だって、廃棄にもお金がかかりますだってさ。


 服も犬も猫も本も、寿命が尽きれば廃棄処分。命の結晶のように紡いだ物も他人の価値に晒されればゴミ同然。


 私の思い出の価値は0円で捨てられましたとさ。

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