第11話 爪痕の美しさ
昨日、飲み歩いた手前、休む訳にはいかないと、早めに起きて準備を抜かりなくして送迎場所に向かった。
でも、作業は面倒臭い。年の変わり目で、引退した人との引き継ぎが出来てなく、みんなその場凌ぎで作業してる。
正直、もう良いだろうと言うぐらいは頑張った。そのぐらいグダグダなのだ。しかしながら、そのグダグダ具合が良い。
久しぶりに会う面々は懐かしく、様々な感情が喚起した。私よりしっかりして頑張る障害者達を見て、言葉が出ない。
私は知的障害では無い。最近自分で、自分の事を客観視出来るようになって来た。正直、幼稚な変なオッサンに成り果ててると自分でも思う。それは昨日飲みに行った手前、如実に顕れた。私は、人と話しがしたいだけなんだなと痛感した。
でも、作業所に行った事は収穫が多かった。自然の美しさに目を見張った。
ネットでスーパーヴィジュアルをコレクションばかりして来た自分だったが、目の前の太陽と野菜、玉葱、にんにく、草の根、干す為の紐縛り、やってて楽しい事だらけだった。ラベンダーのドライフラワーなんて初めて見た。ネスカフェの透明のコップに生けられた枯れたラベンダー、褐色になっても青を失わないその美しさと、事業所の良さを再確認出来た。
特にニンニクの皮むきは楽しい楽しい。普段、自分の身体の傷を引っ掻いて、瘡蓋を捲(めく)る快感に近い、それ以上に自然と触れ合うのは美しく楽しい行為だと再発見した訳だ。
父に迎えを頼んでも、なかなか繋がらなかった、そしたら事業所の人が早退でもしっかり送り届けてくれる。こんなに行き届いた事業所があるだろうか?一年通って試(み)て、改めて思った。私は恵まれている。
パソコンと会話する事は辞められそうに無いが、ジェットコースターに乗ったあとの様な疲労感だ。言い訳の為に言わせて貰えれば、飲みに行ったのは眠れないからだ。夕食を終え、薬を飲み、導眠剤だけ飲まないで、酒を煽った勢いで寝ようと思ったのだ。そして、一週間ぶりにシャワーを浴びたら、自慰行為をしないで眠れて、寝覚めもスッキリしてた。
もう嫌なんだ、自分の心を傷つけたり、贅沢な妄想に耽るのは、疲れて嫌で仕方無い。そう言う理由で今日年金支給日でよく二ヶ月我慢したと、ご褒美とばかりにここ二日、日曜月曜と散財した。もう家計簿を書くのも辞めようかと思うくらい自棄っぱちになってたのだ。そう言う事で、今日は収穫の多い日だったけど、早退です。御免なさい、お疲れ様です。
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