ドク①
今日は金曜日。明日の学校はお休みです。
待ちに待ったそれ。
ドクはずっと――この日を待っていました。
☆
「スピードナックル!」
『ガガ……』
《経験値を取得しました》
《第5ウェーブをクリア》
《三十秒後、次のウェーブに入ります》
《失ったHPとMPを回復します》
「ほ、ほんとにニシキ先生の言う通りだぁ……」
《――「隠密を取得したら、5ウェーブが嘘みたいに楽になるぞ」――》
思い出すのは先生の台詞。
半信半疑だったものの、本当でした。
十六夜先生に習った甲斐がありましたねぇ……。
「十六夜先生、レンちゃんみたいで可愛かったなぁ……っと、いけない! 準備しなきゃ、『瞑想』」
《瞑想状態になりました》
《警告! 餓鬼の軍勢が近付いてきます!》
《第6ウェーブを開始します》
《制限時間は十分です》
「ひゃぁ、ギリギリせーふ……」
先生から油断はダメって言われてるんですけど、こんな所見られたら怒られちゃいますねぇ。
……気を引き締めて行きますよ!
《ゴブリンアーチャー LEVEL35》
《ゴブリンアーチャー LEVEL35》
《ゴブリンソルジャー LEVEL35》
《ゴブリンソルジャー LEVEL35》
《ゴブリンソルジャー LEVEL35》
《ゴブリンソルジャー LEVEL35》
《ゴブリンシャーマン LEVEL35》
《ゴブリンシャーマン LEVEL35》
見えたのは、純ゴブリン以外の集団でした。
何時も通り、シャーマンから倒していきます!
「――『ヘビィスウィング』」
ゴブリンの後頭部へ、弱攻のスチールメイスを武技と共にぶち込みます!
ポイントは容赦ゼロで攻撃する事!相手をPK職だと思う事です。
……ふふっ、ドクは鈍器も使えますから!一発の威力ではこっちの方が素手より高いんですよねぇ。
『ギャ……ギャ……」
頭をふらふらと揺らすゴブリンシャーマン。
状態異常、『気絶』状態です。不意打ちで頭に武技を食らえば当然こうなるってわけです!
気絶状態では、声も出せず攻撃、移動が出来なくなります。
「――『クラッシュ』」
《経験値を取得しました》
そのまま武技を入れれば、シャーマンは死にました。
この調子で殲滅してきましょうねぇ!
☆
《瞑想状態になりました》
《警告!餓鬼の軍勢が近付いてきます!》
《第7ウェーブを開始します》
《制限時間は十分です》
《ゴブリン LEVEL35》
《ゴブリン LEVEL35》
《ゴブリン LEVEL35》
《ゴブリンアーチャー LEVEL35》
《ゴブリンアーチャー LEVEL35》
《ゴブリンソルジャー LEVEL35》
《ゴブリンソルジャー LEVEL35》
《ゴブリンソルジャー LEVEL35》
《ゴブリンソルジャー LEVEL35》
《ゴブリンシャーマン LEVEL35》
《ゴブリンシャーマン LEVEL35》
「……ゴブリンさんが追加されただけですか」
思わず呟いてしまいました。
これなら――慎重さはあまり必要ないかもしれませんねぇ。
☆
「――『クラッシュ』」
《経験値を取得しました》
「……ふう」
ゴブリンシャーマン二体ともHPをゼロにした後、ドクは息を付きます。
それは疲れたとかじゃなくて――自分の鼓動を抑える為。
ゴブリン達に突っ込んでいくのが、楽しみで仕方ないのです!
「……『瞑想』」
更に息を落ち着けて。
あの中に入って、ドクはどうするかイメージを膨らませて――
突入!
「『気功術』」
『……ギャ?』
「――『パワースウィング』!」
『ギギャ!?』
『ギャ!!』
ゴブリン、ゴブリンソルジャーが集まっている所へ隠密しながら近付き、ゴブリンにスチールメイスの一撃を与えました。
当然、気絶しますが――
『『ガガ』』
『『ギャ!』』
『『ギャ……!』』
その周りのゴブリン各種達は逃がしてくれません。
ドクへ向かうその視線達。
「――『パワースロー』!鳴いてるだけじゃドクは死にませんよぉ!」
「ギャ……!?」
私はスチールメイスを威嚇するゴブリンアーチャーに放り投げ、挑発するようそう叫びました。
その後すぐ、インベントリから格闘武器である『弱攻のスチールグローブ』を拳に装備して……。
『ガガ!!』
『『ギャ!』』
「ふふ、そうこなくっちゃ――『トルネードレッグ』!」
『ガガ……!』
『『ギャ!?』』
迫るゴブリン達に円周上に蹴りを放つ武技を放てば、ゴブリンは吹っ飛んでいきますが。
スーパーアーマーであるソルジャーはそのままこちらへ向かってきます。
でも――
『ガ――!!』
「――『溜撃』!」
『ガ!?』
「ふふ、二回目はダメですもんねぇ」
いくらスーパーアーマーといえど、連続で二度攻撃を食らえばこの子は怯みます。
それに連撃スキルにより、5回溜めた『溜撃』。
地面へと吹っ飛んでしまうのは当然と言えるでしょう!
『ギャ……!』
「っ、やぁ!!――『バレットパンチ』!」
『ギャ!?』
そこから、構えていたアーチャーに向かっていた私は飛矢を左拳のスチールグローブで無効化。
次いで右拳で飛ぶパンチを放てば、この子も倒れました。
「『ツインキック』――『溜撃』」
《経験値を取得しました》
倒れた所を、首に向けて二連蹴り。
地面に倒れた敵に対しては、足で発動できるこの武技が活躍しますねぇ!
そして二回目の蹴りで地面からアーチャーさんを蹴り上げて――無防備のままドクと無理やりご対面。
そのまま、『溜撃』を拳でかませば死にました!
このコンボはニシキさんと考えたんですよねぇ……。軽い相手だとかなり決まって強いです!
『『ガガ』』
『『ギャ!』』
『『ギャ……!』』
「ふふ――まだまだですよ、ゴブリンさん!」
活き活きする身体を感じながら――迫る者達に向かい合って。
ドクはまた、突っ込んでいきました。
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