ドク①



今日は金曜日。明日の学校はお休みです。

待ちに待ったそれ。

ドクはずっと――この日を待っていました。



「スピードナックル!」

『ガガ……』


《経験値を取得しました》

《第5ウェーブをクリア》

《三十秒後、次のウェーブに入ります》

《失ったHPとMPを回復します》


「ほ、ほんとにニシキ先生の言う通りだぁ……」



《――「隠密を取得したら、5ウェーブが嘘みたいに楽になるぞ」――》



思い出すのは先生の台詞。

半信半疑だったものの、本当でした。

十六夜先生に習った甲斐がありましたねぇ……。


「十六夜先生、レンちゃんみたいで可愛かったなぁ……っと、いけない! 準備しなきゃ、『瞑想』」


《瞑想状態になりました》

《警告! 餓鬼の軍勢が近付いてきます!》

《第6ウェーブを開始します》

《制限時間は十分です》


「ひゃぁ、ギリギリせーふ……」


先生から油断はダメって言われてるんですけど、こんな所見られたら怒られちゃいますねぇ。

……気を引き締めて行きますよ!



《ゴブリンアーチャー  LEVEL35》

《ゴブリンアーチャー  LEVEL35》

《ゴブリンソルジャー LEVEL35》

《ゴブリンソルジャー LEVEL35》

《ゴブリンソルジャー LEVEL35》

《ゴブリンソルジャー LEVEL35》

《ゴブリンシャーマン LEVEL35》

《ゴブリンシャーマン LEVEL35》



見えたのは、純ゴブリン以外の集団でした。

何時も通り、シャーマンから倒していきます!



「――『ヘビィスウィング』」



ゴブリンの後頭部へ、弱攻のスチールメイスを武技と共にぶち込みます!

ポイントは容赦ゼロで攻撃する事!相手をPK職だと思う事です。

……ふふっ、ドクは鈍器も使えますから!一発の威力ではこっちの方が素手より高いんですよねぇ。



『ギャ……ギャ……」



頭をふらふらと揺らすゴブリンシャーマン。

状態異常、『気絶』状態です。不意打ちで頭に武技を食らえば当然こうなるってわけです!

気絶状態では、声も出せず攻撃、移動が出来なくなります。



「――『クラッシュ』」



《経験値を取得しました》



そのまま武技を入れれば、シャーマンは死にました。

この調子で殲滅してきましょうねぇ!





《瞑想状態になりました》

《警告!餓鬼の軍勢が近付いてきます!》

《第7ウェーブを開始します》

《制限時間は十分です》



《ゴブリン LEVEL35》

《ゴブリン LEVEL35》

《ゴブリン LEVEL35》


《ゴブリンアーチャー  LEVEL35》

《ゴブリンアーチャー  LEVEL35》

《ゴブリンソルジャー LEVEL35》

《ゴブリンソルジャー LEVEL35》

《ゴブリンソルジャー LEVEL35》

《ゴブリンソルジャー LEVEL35》

《ゴブリンシャーマン LEVEL35》

《ゴブリンシャーマン LEVEL35》



「……ゴブリンさんが追加されただけですか」



思わず呟いてしまいました。

これなら――慎重さはあまり必要ないかもしれませんねぇ。





「――『クラッシュ』」


《経験値を取得しました》


「……ふう」



ゴブリンシャーマン二体ともHPをゼロにした後、ドクは息を付きます。

それは疲れたとかじゃなくて――自分の鼓動を抑える為。

ゴブリン達に突っ込んでいくのが、楽しみで仕方ないのです!



「……『瞑想』」



更に息を落ち着けて。

あの中に入って、ドクはどうするかイメージを膨らませて――


突入!



「『気功術』」


『……ギャ?』


「――『パワースウィング』!」


『ギギャ!?』


『ギャ!!』



ゴブリン、ゴブリンソルジャーが集まっている所へ隠密しながら近付き、ゴブリンにスチールメイスの一撃を与えました。


当然、気絶しますが――



『『ガガ』』


『『ギャ!』』


『『ギャ……!』』



その周りのゴブリン各種達は逃がしてくれません。

ドクへ向かうその視線達。



「――『パワースロー』!鳴いてるだけじゃドクは死にませんよぉ!」


「ギャ……!?」



私はスチールメイスを威嚇するゴブリンアーチャーに放り投げ、挑発するようそう叫びました。

その後すぐ、インベントリから格闘武器である『弱攻のスチールグローブ』を拳に装備して……。



『ガガ!!』

『『ギャ!』』



「ふふ、そうこなくっちゃ――『トルネードレッグ』!」

『ガガ……!』

『『ギャ!?』』



迫るゴブリン達に円周上に蹴りを放つ武技を放てば、ゴブリンは吹っ飛んでいきますが。

スーパーアーマーであるソルジャーはそのままこちらへ向かってきます。


でも――



『ガ――!!』

「――『溜撃』!」


『ガ!?』

「ふふ、二回目はダメですもんねぇ」



いくらスーパーアーマーといえど、連続で二度攻撃を食らえばこの子は怯みます。

それに連撃スキルにより、5回溜めた『溜撃』。

地面へと吹っ飛んでしまうのは当然と言えるでしょう!



『ギャ……!』

「っ、やぁ!!――『バレットパンチ』!」

『ギャ!?』



そこから、構えていたアーチャーに向かっていた私は飛矢を左拳のスチールグローブで無効化。


次いで右拳で飛ぶパンチを放てば、この子も倒れました。



「『ツインキック』――『溜撃』」



《経験値を取得しました》



倒れた所を、首に向けて二連蹴り。

地面に倒れた敵に対しては、足で発動できるこの武技が活躍しますねぇ!


そして二回目の蹴りで地面からアーチャーさんを蹴り上げて――無防備のままドクと無理やりご対面。


そのまま、『溜撃』を拳でかませば死にました!

このコンボはニシキさんと考えたんですよねぇ……。軽い相手だとかなり決まって強いです!



『『ガガ』』


『『ギャ!』』


『『ギャ……!』』



「ふふ――まだまだですよ、ゴブリンさん!」



活き活きする身体を感じながら――迫る者達に向かい合って。

ドクはまた、突っ込んでいきました。

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