思わぬ協力者①


《??? level57》

《??? level47》

《??? level49》


レッド。蛆の王――あの時、ラロシアアイスで出会った集団。

忘れもしない、以前会ったダストとの決闘。

だが当の本人の彼がいない。



「……ん? ああ途中に邪魔が入ってね。ダストは居ないよ」

「邪魔?」

「フフフ、気にする事はない。すぐに終わってこっちに来るだろう 」

「そうか。で――何用だ?」



切り出す。

答えは分かっているんだが。



「君も察しは付いているだろう? 人気者の君は、今や『標的』の『額』も鰻登り」

「……」

「そこで再挑戦。この可愛い捨て駒二人に、君を倒してもらおうかなと思った訳だ」

「二対一か?」

「フフ、このままじゃそうなる。でもそれじゃ不公平、君は一人『仲間』を呼んでもいいよ」

「! タッグ戦って訳か」

「生憎、この『ガベージ』と『トラッシュ』は二人で一つみたいなところがあってね……不満かい?」



そう言ってレッドは近くにいる彼女達を見やった。


終始無言で俺を睨む二人。

背が小さく獰猛な獣の様な目にオレンジの髪、馬鹿デカい大剣を持つ少女が『ガベージ』。

背が高く死んだ魚の目と落ち着いた緑の髪、弓を持つ少女が『トラッシュ』。


……なんというか、対照的だよな。

トラッシュの方は昔の俺の目を見ている様で嫌だ。



「そっちは『配信』してるんだろ? ソレがある以上断るよ。大事なフレンドを君達の配信で晒したくない」

「――そうか。私達もコレだけは譲れない。フフ、なら二対一で行こうか」

「闘わない選択肢は?」

「無いね」

「最初から一対二で闘るつもりだっただろ?」

「フフッまさか! まあ後は頼んだよ二人とも」

「……」



分からない。

その『額』とやらも。

どうして彼らがそこまでして俺に固執するのも。


……まあ、良いか。その理由は正直知りたくもない。

ハルの配信とレッドの配信とは訳が違う。PKキルが見たいリスナーが集う配信だし、そんなものにフレンドを呼びたくなかった。


少々腹立たしいが仕方ない。

ダストと同様彼女達も手強い敵だろう。

それならまた――ノートの内容が充実するだけだ。



「――やる気満々じゃん。グチグチ言ってた癖に」

「……受けろ」



口の悪い少女達が喋りだす。


はは、どうしても俺の弟子達と比較してしまうな。

本当にレンとドクは凄く良い子達だと思える。


だからこそ。

絶対に負けられない。

あの二人が見ていると思って戦わないとな。


《トラッシュ様から決闘申請が届きました》

《武器以外のアイテム使用不可》

《時間制限10分》

《復活不可》



「ん? 随分『商人』に不利じゃないか」


「うっせー」

「……無理なら変更。さっさと提案」

「グチグチうっさ、受けりゃいいのによ」

「……」



ガベージはそう呟きながら、彼女の背丈よりも大きな大剣を構える。

トラッシュもため息をつきながら弓を構えた。


……ぶっちゃけ、ちょっとイラっと来るが。



「――『瞑想』」



息を吐く。

精神を落ち着かせ冷静に。


「大丈夫だ、受け――!?」


「……あ? なんだよ」

「……なに?」

「ここで邪魔者が入るか……」


気付いていないのか、驚いた俺に不思議そうな顔をする二人。

対して俺の後ろを見て笑うレッド。


この、独特の雰囲気は――



《マコト 復讐者 LEVEL45》


「マコト!」

「ふふふ、あの『間抜け』二人以外は気付いてくれましたか」


「……ッ」

「……」


振り返ると彼女が居た。

苦虫を噛んだ様な二人が、マコトを睨んでいるが。


「配信見て、来ちゃいました♪ フレンド登録してて良かったですね」

「なんでそんな楽しそうなんだ?」

「いやあ、そりゃ大事なフレンドが『変なの』に絡まれていたので! 後は私の力を見せつけたいってのが十割」


「そりゃどうも……って、何だって?」

「見せてあげますよ、PKK職の力を」

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