特殊クエスト:エリアの夢①


《RLショップへ移動します》


《RLショップへようこそ!》


《ここでは、ポイントを使ってアイテムや特殊衣装のレシピを購入できます》



メニューからそれを開けば、屋敷の中のような豪華な部屋に移動する。



「……これが、課金部屋ってやつか」



何気に初めて来た気がする。

リアルマネーをゲームに使うのは、少し抵抗があったからだ。


勿論RL自体は五十万円したのだが、それに加えての追加入金は嫌だった。



「ま、迷うな――ん?これ……」



チーフに貰った5000ポイントを、どう使うか。

悩んでいた時、不意にあるアイテムが目に入る。



《パープルプリンセスのレシピ 30000ポイント》




《パープルプリンセスのレシピ》


有名デザイナーTERUYAが手掛けた衣装を作製できるようになるレシピ。

まるでアニメの中に飛び込んだかのような、可憐な姿になれることだろう。

※女性限定




「……これ、ハルの装備に似てるな。あれ課金だったのか」



価格はなんと三万円。

年齢制限は18歳以上とはいえ……中々高い気がする。


5000ポイントはあるものの、あまりパーっとは使いたくないし――



《取得経験値上昇ポーション(小) 500ポイント》


《取得経験値上昇ポーション(小)を購入しました!》


《誠にありがとうございました!》



「俺には、これぐらいがちょうどいいか……」



自分のケチな癖が出てしまった。こういうのは溜めておきたいんだよな。


ファンファーレのようなモノが鳴り、お礼のアナウンスが流れていく。

さて……せっかく経験値上昇アイテムが手に入ったんだ、今日中に35まで上げてしまおう!






「――っ」



《経験値を取得しました》


《レベルが上がりました!任意のステータスにポイントを振ってください》


《次のフィールドへの出場条件を全て満たしました》


《発生したクエストをクリアする事で次のフィールドに移動できます》


《クエスト『王都への道』が発生しました》


《特定NPCの好感度が高い為、特殊クエスト『エリアの夢』が発生しました》


《『王都への道』、『エリアの夢』どちらかのクエストを達成すると、もう一方のクエストは消失します》



「お!来たか」



ラロシアアイスのモンスター達と遊ぶ事何時間か。


ようやくレベルが35になれば、そのアナウンスが流れた。

……ボスを倒しても次の街に進めないから、何かクエストがあるかと思っていが、その通りだったようだ。


それにしても――二つから選べって事か?これは。



クエスト『王都への道』


君は次のフィールドへ進む資格がある。

準備が整ったら指定の場所へ向かおう。王都が君を待っている。


報酬:100000G

  :新マップ・王都ヴィクトリアの追加





特殊クエスト『エリアの夢』


宝石職人・ロアスが、君に頼みたい事があると言っている。

新しい場所への出発にもなりそうだ。


必要マップ:『ラロシアアイス・辺境』

報酬:1000000G

  :新マップ・王都ヴィクトリアの追加

  :???


クエスト失敗時は再チャレンジ不可




「――桁が違う」



思わず口に出ていた。

流石に10万Gと100万G、どちらを選べと言われたら後者だろ……


報酬の???も気になるし――これはもう、即決だな。





《ラロシアアイス・辺境に移動しました》


《辺境の宝石職人の家に入りますか?》


もはや慣れたそのアナウンスが流れた。

辺境にある、ロアスさんの家だ。


……少しだけ、『蛆の王』がチラついたが――流石に居ないようで安心した。

今は相手したくないからな。

アイツらもそこまで暇じゃないという事だろう。



《辺境の宝石職人の家に移動しました》



「どうも、ロアスさん」


「……来てくれたかい。待ってたよ」



俺の顔を見る彼女の表情は、待ち侘びていた様なソレだった。

……何だろう、全く予想がつかない。



「……用と言うのは?」


「ああ、そうさね――出ておいで、『エリア』!」



早速そう聞くと……ロアスがそう叫ぶ。


その時同時に、向こうの作業台から隠れていた影が顔を出した。



《エリア LEVEL――》



「ど、どうも……エリアでございます。『ニシキ』さま……」


「顔だけ出して紹介する奴がいるかい!出てきな!!」


「う、うう……酷いよロアスおばあちゃん」



そこから姿を現したのは……ロアスと同じ様な格好をした、小さな子供だった。


金髪の、ほわっとした雰囲気の女の子。年で言えば中学生にもなっていないぐらいの。


……こんな小さな子が?という印象だ。エリアというのが名らしい。クエストのエリアって……そういうことか。



「この子が、『王国』に行って宝石職人として精進したいって言うからねえ」


「うう……」



エリアと呼ぶ少女の頭をなでながら、彼女はそう言う。

王国への道……それと違うのは、この子が追加で付いてくるという事。



「あー、エリア……さん?を王国まで一緒に連れて行けば良いって事か?」


「話が早くて助かるね。そういう事だよ。わたしゃはもう年だからね……あそこは少し危険なのさ」


「危険?」


「そうさね。最近はモンスターだけでなく、通り行く積荷を狙う悪党達が出るらしいね」


「……まあ、それは危ないな」



ちらっとロアスにくっつきぱなしの彼女を見て、俺はそう言った。



「――!え、エリア強いから!邪魔にはなりません――つぅ!」


「……ったくこの子は……という訳ですまないね、『ニシキ』の腕と人脈を頼っていいかい?」


「ああ。任せてくれ」



《特殊クエスト『エリアの夢』が進行しました》



……人脈ってのが、俺には恐らく無いんだけどな。

何はともあれ――これから、この少女エリアと王国へ赴く事になった訳だ。




特殊クエスト『エリアの夢』


宝石職人・ロアスの孫、エリアと共に王国へ目指そう。

道中にはモンスターだけではなく悪党も出没するとの事。

しっかりと準備が出来たら、もう一度ロアスの下を訪ねよう。


なお、パーティーで挑む場合は次のマップへの入場条件をクリアしているプレイヤーしか参加できません。


必要マップ:『ラロシアアイス・辺境』

報酬:1000000G

  :新マップ・王都ヴィクトリアの追加

  :???



クエスト失敗時は再挑戦不可


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