特殊クエスト:エリアの夢①
《RLショップへ移動します》
《RLショップへようこそ!》
《ここでは、ポイントを使ってアイテムや特殊衣装のレシピを購入できます》
メニューからそれを開けば、屋敷の中のような豪華な部屋に移動する。
「……これが、課金部屋ってやつか」
何気に初めて来た気がする。
リアルマネーをゲームに使うのは、少し抵抗があったからだ。
勿論RL自体は五十万円したのだが、それに加えての追加入金は嫌だった。
「ま、迷うな――ん?これ……」
チーフに貰った5000ポイントを、どう使うか。
悩んでいた時、不意にあるアイテムが目に入る。
《パープルプリンセスのレシピ 30000ポイント》
□
《パープルプリンセスのレシピ》
有名デザイナーTERUYAが手掛けた衣装を作製できるようになるレシピ。
まるでアニメの中に飛び込んだかのような、可憐な姿になれることだろう。
※女性限定
□
「……これ、ハルの装備に似てるな。あれ課金だったのか」
価格はなんと三万円。
年齢制限は18歳以上とはいえ……中々高い気がする。
5000ポイントはあるものの、あまりパーっとは使いたくないし――
《取得経験値上昇ポーション(小) 500ポイント》
《取得経験値上昇ポーション(小)を購入しました!》
《誠にありがとうございました!》
「俺には、これぐらいがちょうどいいか……」
自分のケチな癖が出てしまった。こういうのは溜めておきたいんだよな。
ファンファーレのようなモノが鳴り、お礼のアナウンスが流れていく。
さて……せっかく経験値上昇アイテムが手に入ったんだ、今日中に35まで上げてしまおう!
☆
「――っ」
《経験値を取得しました》
《レベルが上がりました!任意のステータスにポイントを振ってください》
《次のフィールドへの出場条件を全て満たしました》
《発生したクエストをクリアする事で次のフィールドに移動できます》
《クエスト『王都への道』が発生しました》
《特定NPCの好感度が高い為、特殊クエスト『エリアの夢』が発生しました》
《『王都への道』、『エリアの夢』どちらかのクエストを達成すると、もう一方のクエストは消失します》
「お!来たか」
ラロシアアイスのモンスター達と遊ぶ事何時間か。
ようやくレベルが35になれば、そのアナウンスが流れた。
……ボスを倒しても次の街に進めないから、何かクエストがあるかと思っていが、その通りだったようだ。
それにしても――二つから選べって事か?これは。
□
クエスト『王都への道』
君は次のフィールドへ進む資格がある。
準備が整ったら指定の場所へ向かおう。王都が君を待っている。
報酬:100000G
:新マップ・王都ヴィクトリアの追加
□
□
特殊クエスト『エリアの夢』
宝石職人・ロアスが、君に頼みたい事があると言っている。
新しい場所への出発にもなりそうだ。
必要マップ:『ラロシアアイス・辺境』
報酬:1000000G
:新マップ・王都ヴィクトリアの追加
:???
クエスト失敗時は再チャレンジ不可
□
「――桁が違う」
思わず口に出ていた。
流石に10万Gと100万G、どちらを選べと言われたら後者だろ……
報酬の???も気になるし――これはもう、即決だな。
☆
《ラロシアアイス・辺境に移動しました》
《辺境の宝石職人の家に入りますか?》
もはや慣れたそのアナウンスが流れた。
辺境にある、ロアスさんの家だ。
……少しだけ、『蛆の王』がチラついたが――流石に居ないようで安心した。
今は相手したくないからな。
アイツらもそこまで暇じゃないという事だろう。
《辺境の宝石職人の家に移動しました》
「どうも、ロアスさん」
「……来てくれたかい。待ってたよ」
俺の顔を見る彼女の表情は、待ち侘びていた様なソレだった。
……何だろう、全く予想がつかない。
「……用と言うのは?」
「ああ、そうさね――出ておいで、『エリア』!」
早速そう聞くと……ロアスがそう叫ぶ。
その時同時に、向こうの作業台から隠れていた影が顔を出した。
《エリア LEVEL――》
「ど、どうも……エリアでございます。『ニシキ』さま……」
「顔だけ出して紹介する奴がいるかい!出てきな!!」
「う、うう……酷いよロアスおばあちゃん」
そこから姿を現したのは……ロアスと同じ様な格好をした、小さな子供だった。
金髪の、ほわっとした雰囲気の女の子。年で言えば中学生にもなっていないぐらいの。
……こんな小さな子が?という印象だ。エリアというのが名らしい。クエストのエリアって……そういうことか。
「この子が、『王国』に行って宝石職人として精進したいって言うからねえ」
「うう……」
エリアと呼ぶ少女の頭をなでながら、彼女はそう言う。
王国への道……それと違うのは、この子が追加で付いてくるという事。
「あー、エリア……さん?を王国まで一緒に連れて行けば良いって事か?」
「話が早くて助かるね。そういう事だよ。わたしゃはもう年だからね……あそこは少し危険なのさ」
「危険?」
「そうさね。最近はモンスターだけでなく、通り行く積荷を狙う悪党達が出るらしいね」
「……まあ、それは危ないな」
ちらっとロアスにくっつきぱなしの彼女を見て、俺はそう言った。
「――!え、エリア強いから!邪魔にはなりません――つぅ!」
「……ったくこの子は……という訳ですまないね、『ニシキ』の腕と人脈を頼っていいかい?」
「ああ。任せてくれ」
《特殊クエスト『エリアの夢』が進行しました》
……人脈ってのが、俺には恐らく無いんだけどな。
何はともあれ――これから、この少女エリアと王国へ赴く事になった訳だ。
□
特殊クエスト『エリアの夢』
宝石職人・ロアスの孫、エリアと共に王国へ目指そう。
道中にはモンスターだけではなく悪党も出没するとの事。
しっかりと準備が出来たら、もう一度ロアスの下を訪ねよう。
なお、パーティーで挑む場合は次のマップへの入場条件をクリアしているプレイヤーしか参加できません。
必要マップ:『ラロシアアイス・辺境』
報酬:1000000G
:新マップ・王都ヴィクトリアの追加
:???
クエスト失敗時は再挑戦不可
□
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