ラロシアアイス・攻略②
「ふう」
取り合えず十発反射出来た所で、俺はアイススライムとの距離を詰める。
そして。
「『パワースウィング』!」
そのまま、それを発動した。
だが――
『ギイ!!』
「――ぐっ!」
振り下ろす前に、アイススライムのタックルが先に来る。
何とか持ち応えて――そのまま俺は振り下ろした。
「らあ!」
『プギイ!!』
アイススライムの身体に斧が当たると、これまでにないような強い衝撃が俺の手に走る。
同時に、アイススライムが衝撃で飛んだ。
見れば――ダメージ量はスラッシュの三倍程食らっている。
「……上手く使えれば、結構良いかもな」
俺のHPゲージも何時もより減っていた。
武技発動中になると、被ダメージが大きくなるらしい。
ハイリスクハイリターン、そんな感じだ。
ただ最適なタイミングで使えれば――ハイリターンが返ってくる。
ダメージだけでなく、当てた時の衝撃もかなり使えるだろう。
『ギイ』
「まずはこの動きに慣れないとな」
スラッシュを初めて使った時もそうだったが、武技は自分の身体が勝手に動く感覚で慣れなかった。
大分その感覚に慣れたとはいえ、パワースウィングは更に癖が強い。
HPポーションは勿体ないが……しばらくスライムを狩りながら慣れるとしよう。
☆
《レベルが上がりました!任意のステータスにポイントを振ってください》
《経験値を取得しました》
《アイススライムの欠片を取得しました》
《1000Gを取得しました》
「……大分楽になってきたか」
レベルも上がり、武器も新調した今は、大分違う。
このスライムのレベルは20、俺はさっき22になった。
……そろそろ、進んでもいいかもしれない。
と、その前にステータスを振らないと。
前はAGIに振ったし、今回はSTRでいいか。
☆
RLは膨大なプレイヤーを抱えており、プレイヤーの数に合わせて自動でチャンネルが切り替わる。
人が多ければフィールドは一杯作られ、割り振られる。
つまり人込みの中で狩りなんて出来ない――なんて事は無いわけだ。
「……のはずなんだけどな」
見れば、かなり人が多い。
実際レベルが二十ぐらいから上がりにくくなるからな。
ラロシアアイスと始まりの街が、ツートップで人口が多そうだ。
新規も同様増えていっているから。
……商人も増えていくと良いけど、無いな。ははは。
はあ。
『グルル』
なんて悲しくなっていると、目の前に白い狼が威嚇している。
……攻撃はしないのか。
《アイスウルフ level22》
レベルは二十二。
俺にはお似合いのレベルだ。
ハルとのクエストで出て来たモンスターだな。
「……それじゃ、先手は貰うぞ」
接近して、斧を振りかぶるフェイントを入れて――前に、手に持つ斧を投擲する。
『グルァ!?』
……上手く引っかかってくれた。
こちらに跳び付くアイスウルフが、俺の斧に衝突して地面に落ちる。
その間に、落ちた斧を拾って。
さっそく――使い所だな。
「『パワースウィング』」
『グルァア!!』
ガンッと、手に衝撃が来ると同時にアイスウルフも悲鳴を上げる。
狼の弱点は分からなかったが、何となくそんな気がして鼻先を狙った。
小さい的だが――当てられない事も無い。
『スラッシュ』よりもコントロールが難しいが、相手は地面に転がっていたからな。
それは合っていたかどうかは分からない――でも、HPは三割程減っている。
「まだまだ――『スラッシュ』」
更に怯んでいる様子のアイスウルフに、追加で武技を叩き込んだ。
☆
《経験値を取得しました!》
《投擲術スキルのレベルが上がりました!》
あれからは余裕だった。
コイツは綺麗にフェイントに引っかかってくれるからな。
スライムは遠距離攻撃と近距離攻撃を駆使してくるが、コイツは近距離攻撃しか無い。
おまけにある距離になったら跳び付きをしてくるから、それにカウンターを合わせれば楽に倒せる。
ぶっちゃけ、アイススライムの方が厄介だ。
「……あれ、商人じゃね?」
「初めて見た、まだ居るんだ」
「もはやレアモンスターだな」
「必死じゃん、ソロでかわいそ~」
「……ん?でもあのプレイヤー、何処かで見たような――」
ああ、うざったい。
嫌な要素と言えば、たまに『聞こえてしまう』この声ぐらいか。
……チャンネル変えても一緒だろうな。
『グルル』
またも威嚇するアイスウルフ。
……戦闘している時は、集中しているおかげで周りの声は聞こえない。
ある意味、コイツは癒しだな。
☆
《レベルが上がりました!任意のステータスにポイントを振って下さい》
「ふう……」
何匹目かのアイスウルフを倒したら、そのアナウンスが聞こえた。
戦闘に没頭していたせいか、時間が流れるスピードが早い事。
「AGIに振っとくか」
レベルは二十三。
足りないAGIに振って、俺は周りを見る。プレイヤーが多い多い。
……そろそろ、違う所に行ってみよう。
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