ラロシアアイス・攻略②


 「ふう」



取り合えず十発反射出来た所で、俺はアイススライムとの距離を詰める。

そして。



「『パワースウィング』!」



そのまま、それを発動した。

だが――



『ギイ!!』


「――ぐっ!」



振り下ろす前に、アイススライムのタックルが先に来る。

何とか持ち応えて――そのまま俺は振り下ろした。



「らあ!」


『プギイ!!』



アイススライムの身体に斧が当たると、これまでにないような強い衝撃が俺の手に走る。


同時に、アイススライムが衝撃で飛んだ。

見れば――ダメージ量はスラッシュの三倍程食らっている。



「……上手く使えれば、結構良いかもな」



俺のHPゲージも何時もより減っていた。

武技発動中になると、被ダメージが大きくなるらしい。


ハイリスクハイリターン、そんな感じだ。

ただ最適なタイミングで使えれば――ハイリターンが返ってくる。

ダメージだけでなく、当てた時の衝撃もかなり使えるだろう。



『ギイ』


「まずはこの動きに慣れないとな」



スラッシュを初めて使った時もそうだったが、武技は自分の身体が勝手に動く感覚で慣れなかった。


大分その感覚に慣れたとはいえ、パワースウィングは更に癖が強い。

HPポーションは勿体ないが……しばらくスライムを狩りながら慣れるとしよう。





《レベルが上がりました!任意のステータスにポイントを振ってください》


《経験値を取得しました》


《アイススライムの欠片を取得しました》


《1000Gを取得しました》




「……大分楽になってきたか」



レベルも上がり、武器も新調した今は、大分違う。

このスライムのレベルは20、俺はさっき22になった。


……そろそろ、進んでもいいかもしれない。

と、その前にステータスを振らないと。

前はAGIに振ったし、今回はSTRでいいか。



RLは膨大なプレイヤーを抱えており、プレイヤーの数に合わせて自動でチャンネルが切り替わる。

人が多ければフィールドは一杯作られ、割り振られる。

つまり人込みの中で狩りなんて出来ない――なんて事は無いわけだ。



「……のはずなんだけどな」



見れば、かなり人が多い。

実際レベルが二十ぐらいから上がりにくくなるからな。

ラロシアアイスと始まりの街が、ツートップで人口が多そうだ。


新規も同様増えていっているから。

……商人も増えていくと良いけど、無いな。ははは。


はあ。



『グルル』



なんて悲しくなっていると、目の前に白い狼が威嚇している。

……攻撃はしないのか。



《アイスウルフ level22》



レベルは二十二。

俺にはお似合いのレベルだ。


ハルとのクエストで出て来たモンスターだな。


「……それじゃ、先手は貰うぞ」



接近して、斧を振りかぶるフェイントを入れて――前に、手に持つ斧を投擲する。



『グルァ!?』



……上手く引っかかってくれた。

こちらに跳び付くアイスウルフが、俺の斧に衝突して地面に落ちる。

その間に、落ちた斧を拾って。


さっそく――使い所だな。



「『パワースウィング』」


『グルァア!!』



ガンッと、手に衝撃が来ると同時にアイスウルフも悲鳴を上げる。

狼の弱点は分からなかったが、何となくそんな気がして鼻先を狙った。


小さい的だが――当てられない事も無い。

『スラッシュ』よりもコントロールが難しいが、相手は地面に転がっていたからな。


それは合っていたかどうかは分からない――でも、HPは三割程減っている。



「まだまだ――『スラッシュ』」



更に怯んでいる様子のアイスウルフに、追加で武技を叩き込んだ。





《経験値を取得しました!》

《投擲術スキルのレベルが上がりました!》


あれからは余裕だった。

コイツは綺麗にフェイントに引っかかってくれるからな。

スライムは遠距離攻撃と近距離攻撃を駆使してくるが、コイツは近距離攻撃しか無い。


おまけにある距離になったら跳び付きをしてくるから、それにカウンターを合わせれば楽に倒せる。

ぶっちゃけ、アイススライムの方が厄介だ。



「……あれ、商人じゃね?」

「初めて見た、まだ居るんだ」

「もはやレアモンスターだな」

「必死じゃん、ソロでかわいそ~」

「……ん?でもあのプレイヤー、何処かで見たような――」



ああ、うざったい。

嫌な要素と言えば、たまに『聞こえてしまう』この声ぐらいか。

……チャンネル変えても一緒だろうな。



『グルル』


またも威嚇するアイスウルフ。

……戦闘している時は、集中しているおかげで周りの声は聞こえない。


ある意味、コイツは癒しだな。





《レベルが上がりました!任意のステータスにポイントを振って下さい》



「ふう……」



何匹目かのアイスウルフを倒したら、そのアナウンスが聞こえた。

戦闘に没頭していたせいか、時間が流れるスピードが早い事。



「AGIに振っとくか」


レベルは二十三。

足りないAGIに振って、俺は周りを見る。プレイヤーが多い多い。

……そろそろ、違う所に行ってみよう。

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