掲示板回:捨てられた者達

【クソゲー】RL商人専用スレ 五G目 【カス運営】


1:名前:名無しのプレイヤー

一応立てた


2:名前:名無しのプレイヤー

立てなくて良いよ


3:名前:名無しのプレイヤー

もう立てんなks

どうせ愚痴しか言う事無いだろw


4:名前:名無しのプレイヤー

検証勢もほぼ全員辞めていった、転職の情報も未だなし、こんな時代に糞運営はキャラ再作成ははっきり無しって言ってるしな 流石リアルでライフなオンラインwww


5:名前:名無しのプレイヤー

ちなみに俺は引退したけど、まだやってる商人いんの?


6:名前:名無しのプレイヤー

>>5

辞めてるに決まってるじゃん

転職情報来たら呼んで もうこんな職業見たくもないw


7:名前:名無しのプレイヤー

俺も一週間前引退したわ 

商人のフレンドも居たけど、もう殆どログインしてない


8:名前:名無しのプレイヤー

ぼくのごじゅうまんえん……


9:名前:名無しの冒険者

>>8

ざまあwww

あ、俺は職業冒険者なんでw仕事奪っちゃってごめんね!w


10:名前:名無しのプレイヤー

……もう荒らしに対応する元気もないわ


11:名前:名無しのプレイヤー

冒険者が居ればレアドロップ率上昇、商人はゴールドドロップ額上昇って……そりゃ俺もパーティーに冒険者入れるよね


12:名前:名無しのプレイヤー

昔は良い感じで住み分けられてたのにな

どうしてこうなった


13:名前:名無しのプレイヤー

もう俺達の居場所は無いんだわ


14:名前:名無しのプレイヤー

商人友達のアイツ、元気にやってるかな

彼だけは最後までフレンドリストに残ってたわ


15:名前:名無しのプレイヤー

>>14

自分語り辞めろカス

……何て言おうと思ったけど、俺もフレンドリストに居た奴思い出したわ

最後に行商クエストでお通夜になってから会わないまま終わったけど


16:名前:名無しのプレイヤー

一人、また一人と消えて……商人なんて職業は忘れていくんだろうなあ


17:名前:名無しのプレイヤー

攻略にはもう商人は選ぶなって書いてあるし

ある意味地雷として残っていくだろw


18:名前:名無しのプレイヤー

このスレで俺達の終わりとするか


19:名前:名無しのプレイヤー

はい、おしまい



◇◇◇



「……はあ」



俺はすでにRLを引退した、しがない商人プレイヤー『だった』。

提示板を眺め、本当にあれからレスが無いのを確認する事三日目。


引退した、辞めたと言うが……ほぼ全員、未練があるのだ。

じゃなきゃ――こんなスレッドにわざわざ書き込まないだろう。

……もちろん、俺もある。


そりゃ五十万円もかけて機材を買ったのもあるが、何よりRLという新しい世界に期待していたからだ。



「お、もう八時――ハルハルの配信でも見るか」



スレッドを閉じて、俺はRL連携サービスの生配信サービス『リアル』を立ち上げる。


俺はRLを引退したのだが、開き直ってRLをプレイするプレイヤーを眺める事にしたのだ。

大人気でプロゲーマーも大勢プレイしており、見る分にも中々楽しいモノ。


……そして楽しそうにプレイするプレイヤーを見て、悔しくなってしまうのがワンセットだ。



『「どうも、ハルでーす☆ミ」』



「……いつも楽しみにしてます、と」



そんな中、見つけた一人の生配信者。

あるアニメキャラに似せた風貌で、ゲームとはいえそっくりだった。


喋り方も、戦い方まで似せていて――何より可愛かったのだ。

彼女を応援するのが、俺なりのRLの楽しみになっている。





『「……そうだなあ、時間余ったしクエストでもやろっか」』



思えば、今日はいつもと雰囲気が違っていた。

開始時間も早くて、ハルハルの『感じ』も違っていた。


……何というか、機嫌が良くて、いつもしていない事をしそうというか。

そして――その予感は当たっていた。



『「それじゃ、ランダムで募集依頼掛けてるとこに申請したいと思います。あ、もちろん生配信NGだったらやめとくね☆」』



そんな事を提案したハルハル。


俺は――半ばふざけて、こうコメントした。

『新着の一番最後』――と。


そしてもう半分は……クエスト募集に残されているプレイヤーに向けて。



『おい誰だふざけてるやつ』

『数字だって言ってんだろうが!』

『ん?十番目だよな?』

『うわあ』

『大丈夫か?これ』



「あはは~☆えっと、新着の一番下だよね?えっと……」



気付けば、手が震えていた。

まさか、自分がになるなんて。



『おい、パーティーリーダー『商人』だぞ!?』

『道理で新着の最後な訳だw』

『とんだ地雷パーティーじゃねえかw』

『あーあ。十番目にコメした奴土下座かな?』

『いやだったらやらなくていいんだよ』


流れていくコメント。

そして――よりにもよって。

まだこのRLに、商人が居るなんて。


俺はその震えを抑える様に――商人スレを開いていた。



◇◇◇



20:名前:名無しのプレイヤー

おい!配信者のとこに商人が居るぞ!w


21:名前:名無しのプレイヤー

ハルっていう配信者のとこで、一緒にクエストするんだってさ!

URLはこれな↓

http/kkponuoykiasetagay/real


数少ない同職の雄姿()でも見ようぜ


22:名前:名無しのプレイヤー

……誰も居ないか



◇◇◇


それだけ打ち込んで――俺は、ハルハルの配信へと戻る。


正直、期待はしていなかった。

レスはもう三日間全く無かったわけだし、住民はこのスレにはもう居ないだろうと。


実際反応ゼロだったしな……





『「……凄いな、滅茶苦茶楽だ」』


『「あはは~☆お役に立てて良かったです」』


『「いやあ、初めて見る敵も居たけどおかげで助かったよ」』



あれから、ニシキとかいう商人とハルハルがクエストを進めていた。

どうせ住民は居ないだろうと思い、スレは覗いていない。


……というよりも、俺は配信に釘付けになっていた。



「……商人って、あそこまで戦えるんだな……」



俺は、ずっと商人はパーティーの戦闘要員だとは思っていなかった。

でも――商人の彼は、ぎこちなくも前衛として戦えていたのだ。

武器として扱いづらい片手斧も、半端なステータスでも、ハルハルが十分に後衛をやっていられるぐらいには。


戦闘職に大きく劣っていても、『案外』やれるものなのだと――


そう、現在いまは、思っていた。



『……そういや、忘れてたけど商人の行商クエストって――』



コメントで我に返る。

そうだ。行商クエストと言えば――『奴ら』が居る。


そしてそこで――確かに商人の彼の表情が、変わっていた。



『「俺の察知スキルで今、このフィールドにPK職の存在が知らされた。もうすぐこっちに来るだろう」』

『「え……え?」』

『「怖いかもしれないが――これだけ、お願いしても良いかな」』

『「は、はい!」』


俺達、商人にとって――

絶対に、勝ち目は無いはずの相手。

それなのに――彼の声は、死んでいなかった。



「『俺から、絶対に離れるな』」



そう言った時の彼の目で、自分の心臓が高鳴る。


何か――絶対に起こりえない様な事が、今から起きる気がして。

そして、その次の瞬間に。



それは、来た。



『おい、今何があった』

『は?』

『今、コイツ何やったんだ?』

『確かに、今矢が』

『まさか撃ち落としたのか……?」

『そんなわけねーだろwwwww』

『じゃあ何なんだよこれ』

『ハルちゃーん!!』



思わず目を擦って、画面を見ていた。

齧り付く様に。

リアルタイムに過ぎていく、このあり得ない光景を。


今流れている映像は、本当の事なのかと。

あのPK職を、商人が圧倒しているこの光景が、夢ではないのかと。


閉じていた、スレッドを開く。

共有したかった。

この商人の姿を、一早く――



「はは……皆、居たのかよ」




◇◇◇


109:名前:名無しのプレイヤー

また斧で矢を弾いてるwww


110:名前:名無しのプレイヤー

コイツ何者だよ


こんなん、もう『戦闘職』やん……


111:名前:名無しのプレイヤー

やばいやばいやばい


112:名前:名無しのプレイヤー

この商人強すぎわろたwww


113:名前:名無しのプレイヤー

何が起こってんだよこれww

俺達こんな事できる職業だったっけ……


114:名前:名無しのプレイヤー

気持ちいーーー!!!!!!!


115:名前:名無しのプレイヤー

商人最強!商人最強!


116:名前:名無しのプレイヤー

戦闘特化職のPK職(笑い)


だっさww


117:名前:名無しのプレイヤー

PK職スレの者だが、コレはおかしいから 

このニシキってのがヤバイんだよ


118:名前:名無しのプレイヤー

>>117

PK職さんチッすwwwww

『商人』が、ヤバくてごめんな


119:名前:名無しのプレイヤー

>>117

いやーごめんな商人が君達をやっちゃってww


120:名前:名無しのプレイヤー

このスレ覗いててよかった


121:名前:名無しのプレイヤー

ありがとな>>20



◇◇◇



流れるレスを見て、笑いながら俺は配信を見る。



『「何なんだよ、お前は――!!」』



苦悶の声を上げるPK職。

終始圧倒的に優勢状態で終わった、このPKK。


もう現実だとか夢だとかは、考える暇も無い。



◇◇◇



211:名前:名無しのプレイヤー

『……商人だ』


212:名前:名無しのプレイヤー

『……商人だ』


213:名前:名無しのプレイヤー

『……商人だ』


これPK職撃退したら言うか


214:名前:名無しのプレイヤー

俺達、間違ってたんじゃねーの?

まあこの商人さんがおかしい強さだとは思うんだけどさ


それでも俺達が勝手に戦闘方面を諦めてたのはあったわけで


215:名前:名無しのプレイヤー

またやり直そうかな


216:名前:名無しのプレイヤー

ちょっとゴミの山掘り起こしてくる


217:名前:名無しのプレイヤー

……多分、このニシキってのが強いだけでは……


218:名前:名無しのプレイヤー

>>217

知ってるよそんなの

ただ、コイツ見てたらもう一回やりたくなったんだ


219:名前:名無しのプレイヤー

行商クエストのゴール、初めて見たわ……何か泣きそう

俺も行ってみてえww


220:名前:名無しのプレイヤー

多分俺もうこの人のファンだわ


220:名前:名無しのプレイヤー

今度会ったら握手してもらおっと


◇◇◇


「はは、すげー……」


普段は考えられない勢いのスレを、俺は閉じる。

普通に考えれば、住民が言っていた通り……これはこの商人の彼が特別に強いのだろう。


それは分かっている。

でも――彼のおかげで、久しぶりに湧いていた。

あの時、俺がゲームを始めた時と同じぐらい。


『商人』で、遊びたい。そう思った。







「……ギアセット、どこやったっけな」








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