序章・クライマックスフェイズ 決戦! 円卓第三隊・前編

◆クライマックスフェイズ "不夜の街"ログレス 北の遺跡入口

https://drive.google.com/file/d/1HB8156ghr_toDJFHggZ_SIwCmBrgO4AT/view?usp=sharing

 入ったときと同じだが、マップを再掲する。


 アンナとエベントンを救出し、アンナの持つ秘石アステリアにより、遺跡の直廊を無事に通り抜けた一行。

 しかし、すんなりと進むことができるのは遺跡の中までであった。遺跡の出口は、円卓の騎士に包囲されていたのである。このマップの濃い茶色の部分は遺跡の建造物で、入り口の前に巨大な柱が並んでいることになる。


https://platycodon.wiki.fc2.com/upload_dir/p/platycodon/5720960372ca13ca48fdeb1954991589.png

 円卓第三隊長。こちらも再掲する。

 集団戦に長けており、今回もモブエネミーによる大部隊を率いる。


GM:君たちを待ち受けていたのは、ルネスで円卓の騎士第三隊を率いていた男でした。彼はアンナ様の姿を見つけると、ゆっくりと口を開いて――。

紗綾:クライマックスですか?

GM:――そうです。


 GM、ずっこける。


ロット:「あら、あらら」

GM:さて、隊長は――どこか残念そうに、「やはり、こちらでありましたか。姫様」と。

カイン:「マリア様、お下がりください」

紗綾:「エベントンさんも下がってください」

マジカルイワシ:「おや、姫様に剣を向ける逆賊の登場か?」

GM:「ランベルト……なぜお前が」姫が彼の名を呼ぶと、呼ばれた彼は「姫、円卓の騎士団において、隊長の名は秘匿されしもの。お止めください」と、諫めます。二人は知り合いのようですね。

ロット:隊長の名前秘匿されてるなら、《偽装情報》で勝手な名前つけてあげたらどうでしょう。

GM:やめてあげなさいよ。「さあ、御戯れはおやめになってください。お父上をこれ以上心配させてはなりません」

紗綾:お姫様の存在を偽装すればよかったのかも?

カイン:王女であるマリアがいるからこちらに大義が生まれるのです。それを捨ててはただの侵入者になってしまう。

紗綾:そうですね。

GM:アンナ様はむしろ一歩歩み出て、「武器を降ろしなさい。妾はエルーラン王国王女アンナ、ここを通らねばならぬのです」と、凛とした声で告げるよ。

ロット:「それにしても、よくこんなに早く手が回りましたね」

クラゲカマキリ:「……まさか」

GM:「我々隊長には、非常時、独自の判断で行動することが認められている。……姫。もう十年も前になりましょうか。以前にも、こちらを通られたことがありましたね」

紗綾:独自の判断?

GM:アンナ様は「ええ、そうね」と。そして皆さんに「……その時に共をしたのが、彼なのです」と教えてくれるよ。

クラゲカマキリ:そうだったのか。


 アンナは以前からたびたび、銀嶺城を脱走している。その際にもこのルートを使用していたのだ。そして隊長、ランベルトは幼いころからアンナを守る騎士であろうとしていたのだ。


マジカルイワシ:「姫様に剣を向ける逆賊が居る今は確かに非常時だな」

GM:あ、剣ではないです。隊長の武器はハルバードですね。刃ってことでひとつ。

カイン:騎士?

GM:騎士だぞ。

カイン:ふむ。

GM:アンナ様は、「お前は騎士として私に付き従い、守ることを誓ったはず。それを違えようというのですか」と詰める。しかし彼は、「私はあの日、エルーラン王家の円卓の騎士として、決して揺るがぬ忠誠を誓いました。今も、それに殉じております」と譲りません。「……王命です、姫様。銀嶺城へお戻りください」と続けます。

紗綾:姫様を連れ戻せという王命について独自の判断で動いているってことかな。

GM:「戻りません。……わかっているのでしょう、あの場に正しきエルーラン王家の誇りはありません」アンナ様は銀嶺城の腐敗を目にしています。しかし、「ならば、その者たちにそれがあるとでも仰るのですか」と、ランベルトは君たちを見下ろすように言う。

クラゲカマキリ:(あるぞ。お前達の手足の数より私の触手の方が多いからな)

紗綾:クラゲがいちいち面白い。

カイン:「生憎と、私はエルーラン王家の誇りなど持ち合わせていませんよ」

GM:それを聞いたランベルトは、吐き捨てるように、「……で、あろうな。姫、今一度お考え直しを」と言う。でもアンナ様はクラゲカマキリが気になるみたいですね。「今何か横から聞こえたような気がしましたが」と。シリアスなシーンが台無しなんだよな。

クラゲカマキリ:(にゅるにゅる)

カイン:「ですが、主と共に『正しい道を』選んで進む覚悟はあります。あなた方と違って」

GM:「そのような奇怪な生物に、みすぼらしい剣士、姫の供として相応しいものとは思えません」

クラゲカマキリ:(!!!!)

GM:君ショック受ける所あった?

カイン:(奇怪な生物は実際何なんでしょうね。祖なら分かります? 分からない? ですよね)

マジカルイワシ:「人を見た眼で判断するのがエルーランの誇りなのか?」

クラゲカマキリ:「み、見た目を気にするようでは騎士の精神として終わりなのではないか?」

GM:「物事には、限度というものがあるのだ」

クラゲカマキリ:(ああ、私にも触手を動かせる本数には限度があるからな)

GM:静観していたエベントンさんが、「ならば、お主の言う王命というものにも限度はあろうが」と口を挟むよ。

ロット:「王家云々については僕には難しくてわかりません。ただ、他者を助けるために動くという信念だけは、曲げたことも違えたことも無いですよ」

GM:「本当にそれは王命なのかね。ワシは、祖国に背くような真似をしたことはない。おぬし、一体誰のために動いておるのかね」エベントンさんにそう言われても、ランベルトは「それでも、我々円卓の騎士にとって、王は絶対であるのです。……遠い昔、神聖王と供にあった者たちのように」と、王命に殉じる姿勢を曲げないようです。

カイン:「仰る通りだ。王は絶対だからこそ、その王に道を違えてもらっては困る。その時に道を正すのも、騎士の務めでしょう。――たとえ反逆の騎士と呼ばれてでも」

紗綾:カイン、かっこいい。

カイン:「どうやら、その覚悟は無いようですね」

GM:「戯言に貸す耳は持っておりません。王家の剣である我々は、ただ、姫を拐かす逆賊どもを討ち果たすのみ。――さあ、お覚悟を」戦斧を構えて君たちに向き直るよ。部下の騎士たちも武器を取る。

ロット:「王は人。人は誰でも道を踏み外す可能性があります。それを正してこその正義でしょう。よくわからないけど、恐らく僕の師匠もそう考えると思います」

GM:うわ。ロットくんが重いことを言い始めた。

カイン:これにはアロンダイトさんも苦笑いでしょう。


 ロットの師であるアロンダイト・ブランドは、かつて神聖王アルトリウスの過ちを止めることができなかった。そしてそれを今でも悔いている。


GM:さて、いよいよクライマックス戦闘です。エネミーは、ランベルト隊長と、剣を持った『エルーラン円卓騎士A』が3グループ、それぞれにエンゲージしている状態で、クロスボウを持った『エルーラン円卓騎士B』が4グループです。


 カバーを行うスキルである《不屈の忠誠》を持つ円卓騎士Bが各エンゲージに存在する。つまり、エネミーそれぞれに護衛がついていることになる。


GM:モブは最初の戦闘で戦った相手ですね。また、柱の陰にもBが2グループ。このエネミーは、皆さんの位置からは見えていませんが伝えておきます。

紗綾:多くない???

カイン:それだけでなく、クロスボウを持っているBが多いのが厄介です。カバーを行うスキルがありましたから。

マジカルイワシ:各エンゲージにカバー役が居るから、俺の《スペシャリストⅢ》のシーン攻撃が防がれてしまうな。柱の陰にはそもそも撃てない。

ロット:騎士たちに《集団戦適応》がありましたから、多分、隊長は《司令塔》を持っていますよ。


 揃いも揃って良い読みである。


マジカルイワシ:タイミング:戦闘前で行動がある。メイジのクラスロール、《スペシャリストⅠ:水》と《スペシャリストⅡ》を使用する。フェイトを2点消費して、このシーンの間、分類:魔術<水>の魔法攻撃で与えるダメージと、その命中判定に+1Dだ。

GM:OK。他にないようなら、始めていきましょう!


 銀嶺城を抜け出したアンナ姫。ルネスへの逃避行が成るか成らぬかは、この一戦に懸かっている。


■ラウンド1


GM:では、セットアップの宣言から。

紗綾:【行動値】が一番高いカインさん、《GH:モデルルーム》を宣言してください。隊長をみんなで識別しましょう。

カイン:勿論です。《GH:モデルルーム》、対象は隊長で。ギルドメンバー全員で【エネミー識別】判定を行うことができます。

ロット:秘匿されているって言いますから、[識別値]が高めかもしれませんね。

紗綾:じゃあまずイワシ振ってもらって、失敗するようなら私がフェイトを使います。

マジカルイワシ:メイジだからな。《モンスターロア》で3D振って……クリティカルだ。

GM:おおっと。ならデータがわかりますね。全部貼ると長くなるのでリプレイでは小出しにしたいと思います。エネミー名は『ラウンドコマンダー』、分類は人間。エネミーレベル26、[識別値]24のソロエネミーです。

マジカルイワシ:本当に高いじゃないか。達成値だと23だから、クリティカルじゃないと足りなかったぞ。

GM:『デモリッシュハルバード』による白兵攻撃が命中3D+16、ダメージが2D+62の物理ダメージです。

カイン:《バッシュ》:5、《フロンタルアサルト》に、《インバルネラブル》。スキルはナイトですね。

GM:騎士ですからね。誰かと違って。

カイン:おや、《スタイル:ザ・ラウンド》も3持っていますが、あれは両手剣専用では?

GM:はい、《円卓の武技》というパッシブスキルにより、「制限:両手剣使用、両手剣装備」のスキルを、使用する武器の「種別」に関わらず使用できます。

ロット:そして《司令塔》:3ですか。

GM:はい。あと、バーサーカーをモデルに、[狂戦士化]に関係したオリジナルエネミースキルを4つ持っていますね。


 バッドステータス[狂戦士化]は、リアクションが行えなくなる代わりにその強度分攻撃のダメージが+1Dされるというもの。バーサーカーは、この[狂戦士化]を自分で受けることで、回避を捨ててダメージを伸ばすことに特化したクラスである。


紗綾:面白エネミーじゃないですか。

GM:はい、いつも通りです。

紗綾:……そういえば、[狂戦士化]ってバッドステータスだから、《ポーションピッチ》で彼に『万能薬』をぶつけると解除できるのでは?

クラゲカマキリ:なるほど!

マジカルイワシ:おっ、マジだ。

GM:おお、流石気付くのが早い。

カイン:ほう、流石です。


 そう。紗綾はポーションを投擲・散布するスキルを持っている。そして『万能薬』は、あらゆる状態異常を回復する効果を持つポーションだ。[狂戦士化]もその例外ではない。


紗綾:でも、『万能薬』10本しかないですよ。

GM:しか??????????????????


 一体何ラウンド戦うつもりなのか。しかし、この段階でこの戦闘のギミックに気付くことができたのは流石である。気付かれなかったらどうしようとちょっと不安だったのだ。


GM:それではセットアップ。《GH:モデルルーム》はセットアップの行動権を消費しないので、宣言したカインもまだ動けます。

カイン:「参ります」《ランナップ》で、剣と弓のエンゲージへ突入します。クロスボウは範囲攻撃持ちですから、纏まると危険です。射線が通りまくっているので。

GM:では隊長が《司令塔》:3を騎士たちに。「総員、掛かれ。円卓の名に恥じぬ働きをせよ」ラウンド中、判定の達成値が+3されます。


 続いてマジカルイワシが《アクアスタンス》で疑似[遊泳状態]に、ロットが《ランナップ》、クラゲカマキリが紗綾の《スクリーン》でそれぞれ移動と、いつもの動きを見せる。モブの円卓騎士は、以前と同じく《騎士の宣誓》、《騎士の忠誠》を使用した。


GM:それでは、イニシアチブプロセス。カインのメインプロセスになりますが?

紗綾:《エンカレッジ》でイワシを動かして、《スペシャリストⅢ》する?

カイン:カバー役が多く、効果が薄いですね。

マジカルイワシ:それでも、連中のカバーはシナリオ1回だ。なら、ここで使わせたほうがいいかもな。

カイン:そうですね。敵の命中に《司令塔》が乗っていることもあり、回避が不安です。弓に[放心]が入るのはありがたい。私の《ディストラント》をそこに乗せるのも良いと思います。

マジカルイワシ:ただ、《エンカレッジ》は要らない。カインから《連携攻撃》で俺も動けるはずだ。

紗綾:了解。

カイン:では私から。フリーアクション、《連携攻撃Ⅱ:アースラベイジ》の始動。マイナーアクションで《パリー》。「私はここで死ねないのです」

GM:隊長が「攻撃を受け流そうとしているのか? 無様な逃げ腰の剣法よ!」と。

カイン:「なんとでも言いなさい。残るのは私だ」メジャーアクションは《ワイドアタック》:5。エンゲージしている騎士たちに、おまけで《ワイドストーム》:3をつけましょう。

GM:剣を持ったAとクロスボウを持ったBが1グループずつですね。

カイン:《司令塔》の+3もありますし、《スタイル:ザ・ラウンド》を使いましょう。「円卓の剣術はこうでしたっけ?」回避判定に-1Dしてください。

GM:「……いや、待て、その太刀筋……貴様、なぜその技を!」

カイン:「《フェイント》がなにか?」命中判定を振って、2D+12で19です。

GM:ん。流石に当たりましたが、Bが《不屈の忠誠》でカバーするよ。受けるダメージが2倍にならない効果つきです。

カイン:構いません。《ピアシングストライク》も乗せて69ダメージです。

GM:物理ダメージですね。それなりのダメージが入ったよ。「……そうか、貴様。噂にあった剣士だな。何でも、裏切りの騎士ヴェインの末裔を名乗るという」隊長はカインの噂を聞いたことがあるようですね。

カイン:「真偽は分かりませんけれどね。気持ちだけは裏切りの騎士です」

GM:「なるほど、与太の類と思っていたが、案外事実なのかもしれんな。王城から姫を拐かし、王にその剣を向けようというのだからな。悪名高きヴェインの末裔というのは、よく出来た話よ!」


 王都の騎士にとって今のカインは王に叛き、姫を惑わし、国体をも害する逆賊である。"円卓の騎士"に名を連ねるランベルトはそこに、かつて神聖王に刃を向けた裏切りの騎士ヴェインを見た。


GM:アンナ様が「ランベルト、わたくしの騎士の名誉を傷つけようとするならば、私とて怒りますよ」と。

カイン:「結構です、マリア様。王に刃を向ける気はありませんが、ある程度は事実ですから」さて、私の攻撃で連携属性:地が発生した所です。

マジカルイワシ:じゃあ連携継続だ。《ウォータースピア》に、フェイトを1点消費して《スペシャリストⅢ》だ。見える範囲の全エネミーを攻撃する。「おめーら正座しろ!!」

マジカルイワシ:命中判定は4D+11、26。まあ当たるだろ。

GM:では隊長と、Aが3グループ。それぞれにエンゲージしているBが4グループ。計8体のエネミーで回避ですね。うん、全員失敗!

カイン:「その者を甘く見ないほうが良い」《ディストラント》を乗せましょう。ダメージが入れば[恐怖]です。

GM:[恐怖]の発生源はイワシになるんだよね。まあ、円卓騎士Bのうち3体が《不屈の忠誠》でカバーを行うよ。カインのエンゲージにいるほうは使用済みなのでそのまま受ける。

紗綾:《ポイズンアップル》を乗せます。ダメージ+6しておいてくださいね。

マジカルイワシ:色々乗っけてダメージロール! 87点の水属性魔法ダメージ。ダメージを与えたら《マリッド・ストリーム》で、このラウンド中、回避判定に-1Dだぞ。あと連携の効果で遊泳状態になる。多分関係ないが。

GM:カインの所にいる円卓騎士Aは、《不撓の宣誓》で[放心]を治す。イワシへの[恐怖]はどうでもいいので受ける。

カイン:カバーされなかった両手剣の騎士たちですね。

GM:で、さっきカバーを行ったBは、二回目の攻撃を受けて戦闘不能。次はロットくん?

ロット:はい。《連携Ⅱ:シールドラッシュ》、《バーサーク》を乗せた《水波斬》で、カインさんとは別のエンゲージの騎士たちを攻撃。命中判定は24!

GM:それは避けられない。クリティカルのみですね。Aは回避失敗。《マリッド・ストリーム》で回避が1Dなので、Bには自動的に命中。

紗綾:《ポイズンアップル》は届かないですね。

ロット:では《ピアシングストライク》で、74点です。無力化できたでしょうか?

GM:はい、Bの方は無力化されましたね。もはやぴくりとも動かないよ。Aは、連携効果の[スリップ]を《不撓の宣誓》。

クラゲカマキリ:私の番だな。《連携Ⅲ:ラストスピリット》でメインプロセス、《バーサーク》《バッシュ》で、どこを狙おうか?

カイン:こちらの騎士は私が受けられます。ロットさんが攻撃した方を。

クラゲカマキリ:では、ロットが攻撃した生き残りを狙おう。命中判定は24。

GM:回避……おっ高い! 4,4,6で達成値は21! 足りない!

クラゲカマキリ:よし! ダメージロールは60点、いや、《連携Ⅲ:ラストスピリット》の効果で、1の目が6になるから65点だ。

GM:どっちにしろ戦闘不能です。

クラゲカマキリ:「やったぞ!」

カイン:「まだですよ。他の者は生きている」

マジカルイワシ:「騎士とはいってもこの程度か」

カイン:「所詮円卓の騎士ですよ」

GM:ではランベルト隊長がようやく動ける。ムーブアクションで戦闘移動、クラゲカマキリのエンゲージへ突入。マイナーアクション、《盲信の覚悟》。「円卓の名のもとに、エルーランに栄光を」

カイン:[狂戦士化]関連スキルその1ですね。


《盲信の覚悟》 1:

タイミング:マイナーアクション

判定:自動成功 対象:自身

射程:- コスト:-

あなたは[狂戦士化(2)]を受ける。


 ランベルトは王家への忠誠心により己を殺し、王の敵を討つことのみに集中する。その盲目的な忠誠を表現したのが、[狂戦士化]と、この「盲信」シリーズのスキル群である。


GM:はい、[狂戦士化(2)]を受けるので、攻撃のダメージに+2Dされます。

カイン:で、その2によってそれが今後増えていく?

GM:そうです。それがこっちの《妄心の執念》。


《妄心の執念》 1:

タイミング:パッシブ

判定:- 対象:自身

射程:- コスト:-

あなたが[狂戦士化]以外のバッドステータスを受ける場合、かわりに[狂戦士化]を受ける。強度は受ける予定だったバッドステータスの強度とする(強度がない場合、1とする)。[狂戦士化]を受けるとき、既に[狂戦士化]を受けているなら、その[狂戦士化]の強度に+[受ける狂戦士化の強度]し、あなたは[増加した狂戦士化の強度×10]点のHPロスを受ける。


 つまり、HPロスと引き換えにあらゆるバッドステータスが[狂戦士化]になるとともに、その強度が蓄積するようになる。彼はすべての障害を撥ね退け、敵を倒すことのみに執着するのである。


マジカルイワシ:手の込んだ《バッドステータス無効》だよな。

GM:ぜんぶ[狂戦士化]にすればいいのだあ。メジャーアクションは《バッシュ》:5。それに《フロンタルアサルト》、《スタイル:ザ・ラウンド》を乗せます。「参る。円卓の武技、今こそ見せよう」。

カイン:で、この《バッシュ》が?

GM:はい。《蒙臣の武技》により、カインのエンゲージまで突き抜けます。対象はクラゲカマキリとカインの2体。

カイン:面白スキルその3、ですね。データを見たので知っていましたけど、とんでもないですよね、これ。


《蒙臣の武技》 1:

タイミング:《バッシュ》

判定:自動成功 対象:自身

射程:- コスト:-

[狂戦士化]を受けているときのみ使用可能。同時に使用した《バッシュ》の「対象:単体」を「対象:直線(選択)」、射程を「射程:[受けている狂戦士化の強度]sq」に変更する。この効果により、エンゲージしていない対象にも白兵攻撃を行うことができる。


 sqとはマップ上の5m四方の1マスを表す。このセッションでは「スクウェアルール」を採用しており、このような表現を用いることができる。

 「対象:直線」とは、自身のエンゲージから射程までの直線状のスクウェアに存在するキャラクター全員を対象にできることを示す。また、本来縦横にしか伸ばせないが、このシナリオでは特別ルールとして、射程2sqごとに斜め1sqの計算で、斜め方向にも撃てるものとしている。

 全ての雑念を払い、王の敵を討つことにのみ集中し、研ぎ澄まされた武技。それは、向かう先にある物全てを薙ぎ払うのである。


マジカルイワシ:無茶苦茶だよな。

GM:国家への忠誠心が突き抜けて飛ぶのは何もおかしくありません。命中判定は……あまり高くないですね、25。回避判定に-1Dです。

カイン:《ザ・ラウンド》のSLは3でしたっけ、あと2回使えるのですね。リアクションに《フェンサーⅡ》を使用。さらに《ドッジムーブ》。(あと一歩遠くへ……!)《パリー》が乗って……。

GM:ちょっと待って、それ本来回避ダイスいくつ振れるの?

カイン:6Dですよ。1D減らして5D+13、29で回避しました。

GM:「おのれ、コソ泥剣士めが!」いや、中々凄いねこれ。カマキリも回避振ってください。

クラゲカマキリ:1Dになったから命中だな。

GM:ではダメージロール。9D+62に、《フロンタルアサルト》で【筋力基本値】の30を加えて……おわ、出目が高い! 131点の物理ダメージ!

クラゲカマキリ:死ぬ!! 《トゥルーアイ》で軽減!

紗綾:そこは《プロテクション》も届きません!

マジカルイワシ:《フィンジアスソング》は入れるぞ。

クラゲカマキリ:86点のHPダメージで、残り26点だ。「……また死ぬところだったな」

GM:「隊長の一撃を受けて立っているだと……!?」「クラゲのくせに骨のある奴」騎士たちがどよめいていますね。

紗綾:笑う。

マジカルイワシ:(あれを見てクラゲだと判断できるのか……)

カイン:さて、ここです。ギルドマスター、《エンカレッジ》から、《ポーションピッチ》を。

GM:ほう?

カイン:最後の面白スキルがありますから、ここで『万能薬』を投げてください。

GM:あー、なるほどねえ。


《猛進の号令》 1:

タイミング:パッシブ

判定:- 対象:自身

射程:- コスト:-

シーンに登場している、あなたの《司令塔》の効果を受けているキャラクターの攻撃で与えるダメージに+[あなたが受けている狂戦士化の強度]Dする。


 集団を率いる才を持つ彼に率いられる部隊は、彼の国家への忠誠心、気迫の高まりによって更に鼓舞される。通常では問題にならない攻撃すら致命傷となり得るようになるのだ。


カイン:まだ+2Dとはいえ、これだけの数の騎士が動くのでは馬鹿にならない。

紗綾:了解。《エンカレッジ》で自分がメインプロセスを行います。諸々届かせやすい位置まで移動して、隊長へ《ポーションピッチ》で『万能薬』投擲。錬金術判定は低いけど……。

GM:リアクションはないですよ、[狂戦士化]なので。

紗綾:ですよね。じゃあバッドステータスを解除します。

GM:[狂戦士化]が解除されてシラフに戻るよ。「……何だ今のは? くそ、気が削がれる……」

ロット:バカにつける薬にもなるとは、本当に万能な薬ですね。

紗綾:それから、あれ、《クイックヒール》したいんですけど、このイニシアチブプロセスで自分はさらにスキルを使える?

GM:あー。まあいいですよ、許可します。


 恐らく、厳密には使用できない。《エンカレッジ》はイニシアチブプロセスにメインプロセスを行うスキルであるため、メインプロセス終了時は元のイニシアチブプロセスとなる。まあ、いいや。

 ここで紗綾はクラゲカマキリにヒールを行い、HPを84まで回復。

 続いて円卓騎士が次々と行動していく。両手剣の円卓騎士Aは《連続攻撃》でクラゲカマキリを攻撃。この攻撃は2回とも命中。1発目は3種の軽減スキルを重ねるが、《プロテクション》の目が走らず、26点のHPダメージ。


ロット:2発目、物理防御力を引いて57点抜けですね。これは……。

クラゲカマキリ:今のHPは58。ということは……「ふふ……また死ななくて済んだな」。

GM:残り1で耐えましたね……運のいい奴……!

カイン:《GH:クアハウス》の最大HP+10も効いていますね。


 続く両手剣の騎士は、同一エンゲージのカインへ《連続攻撃》。カインはこの1発目をクリティカルで回避。続く2発目。


マジカルイワシ:「騎士さまだ、逆賊を討つくらいの技量はあるだろうな」

GM:どっちがどっちなんだよそれ。よし、命中判定は30。《流円剣舞》で回避判定が-1Dされるよ。

カイン:『アボイドクローク』の効果で+1Dして相殺しましょう。(見慣れてきましたかね?)と、《ドッジムーブ》で……あっ足りませんね、当たりました。

GM:それを見て隊長は「我が精鋭の剣、そのような軽装で受けきれるものか!」と。《集団戦適応》:3が乗って88点!

紗綾:《プロテクション》……今度はちゃんとした目です、24点軽減!

GM:「紗綾くんの優秀さはワシが一番知っておる」

紗綾:うれしい。

マジカルイワシ:《フィンジアスソング》を入れたら大したことないな。「威張る割には弱いなぁそこの騎士様は」

カイン:「思ったより耐えられるものですね」

GM:ではクロスボウの円卓騎士Bが動くよ。えー、イワシを攻撃すると[恐怖]で命中が-2Dね。もうカバーできないし、離脱してクラゲカマキリへ射撃攻撃。命中は23!

クラゲカマキリ:よし! 射撃攻撃なら《ディフレクション》するぞ! 「この触手で撃ち落としてみせる!」


 《ディフレクション》は、射撃攻撃・魔法攻撃へのリアクションを武器を使用した命中判定で行う……つまり、刀で斬り払うというサムライのスキル。シナリオ中に使用回数の制限はあるが、決まれば強力。


GM:「仕留める!」そうなんだよな、こいつそれがあるんだよな。

クラゲカマキリ:さらに! 「触手魔法!」《リフレクション》で跳ね返す!

GM:魔法?

カイン:魔法??

クラゲカマキリ:魔法じゃなかったな。

紗綾:自分をシーフだと思ってるウォーリアに、騎士だと思ってるシーフに、魔法を使えると思ってるウォーリア。

GM:そして真人間だと思っている魔女。精神異常者しかいない。

紗綾:ええっ?

クラゲカマキリ:命中判定でリアクション……うっ、目が低い、21で失敗か……。

紗綾:ここは振り直していいと思います。

クラゲカマキリ:そうしよう。フェイトを使って、今度は24で成功!

GM:では、クラゲカマキリは矢を触手で跳ね返したよ。……触手で???

クラゲカマキリ:触手だぞ。「その矢なら……見える!」

GM:この攻撃は円卓騎士たち自身に命中します。ダメージロール……59点。「うわぁあああ!?」「何だ今の……」


 《リフレクション》は、《ディフレクション》に加えて、無効化した攻撃を相手に向けて跳ね返すスキル。自分に対してダメージロールを振らされるのは、割と屈辱的である。


クラゲカマキリ:「これが騎士道だ。奇怪な生物と侮ったのが運の尽きよ」

マジカルイワシ:「へぇ、やるじゃないか」

カイン:「それは騎士道ではない」

紗綾:騎士だったの!?

クラゲカマキリ:「……わ、私は騎士ではないな。次行こう次」

GM:武士道でもかなり怪しい。さて、次もクラゲカマキリですよ。おっ、命中判定は30!

クラゲカマキリ:「あ、これは見えない」30は無理なので諦めて回避判定。命中。

GM:「人間にクロスボウの矢が見えるわけがないんだよ!!」65点の物理ダメージ!

クラゲカマキリ:「わああああ」HP1だから倒れるけど……。

カイン:いや、65点なら止め切れるかもしれませんよ。

マジカルイワシ:じゃあ、《フィンジアスソング》を入れるぞ。15点軽減。

クラゲカマキリ:やってみよう。「受け流すこと触手の如し」《トゥルーアイ》で7点軽減だ。

紗綾:えーと(計算中)、つまり《プロテクション》で19出せばいいんですね?

カイン:ええ。アームズクリスタルの+6込みで期待値23.5ですから、フェイトを入れなくても大丈夫でしょう。

マジカルイワシ:余裕だな。

クラゲカマキリ:安心した。

ロット:流石ですね。

GM:期待値23.5だったら19なんて出ないわけないですねえ。

紗綾:ちょっとちょっと! ……《プロテクション》……21! 出たけどやめてくださいよ!!!!

クラゲカマキリ:じゃあダメージは0で。「……」動かなくなった触手に刺さった矢を抜くよ。

GM:使い捨て触手。

マジカルイワシ:「雑魚ばっかりじゃないか」

GM:魚はお前だけだぞ。いやまあ、もう少し打点はあるはずだったんだけどね。「隊長、いつもの気迫はどうしたんですか!?」『万能薬』がね……。

クラゲカマキリ:「うん。大丈夫だったな」

GM:「おい、もしかしてアイツ人間じゃないんじゃないか」騎士たちもようやくクラゲカマキリの異常さに気付き始めるよ。

紗綾:今さら!?


 この後、ロット、クラゲカマキリへ更に射撃攻撃が行われるが、どちらも軽減スキルとウォーリアの【物理防御力】の壁に阻まれ、ダメージを与えずに終わる。

 ラウンドが終了する前に、クリンナッププロセスでポーションを使用できるスキル、《フックダウン》を紗綾が使用。『ハイMPポーション』を使用し、大きくMPを回復した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る