序章・ミドルフェイズ5 FS判定・ログレス探索

◆ミドルフェイズ5 "不夜の街"ログレス


 一行はエベントンとアンナを助けるため、情報収集を始める。このままではエベントンは裁判にかけられ、アンナ姫はいずれ殺されるのだ。


GM:そういうわけでログレスでの情報収集が始まります。ベアトリスさんの伝手で城壁は通してもらえ、街へ出ることができるよ。ここからはFS判定で行います。FSシートはこちら。


 FS(フォーカスシステム)判定とは、複雑なミッションをこなしていく判定イベントを連続させたシステムだ。FSシートというものを用いて、進行判定の結果により前後する【進行度】を管理する。途中でイベントが発生したり、要求される判定が変化することもある。


《ミッション詳細》 

 シュペンガー伯を助ける必要がある。しかし、現状ではどうすればいいか見当もつかない。ログレスを歩き回り、情報を集めよう。

《現在の判定》【感知】 《支援判定》【知力】【精神】 《難易度》13

《制限人数》2人 《終了条件》進行度12 or 規定ラウンド経過


クラゲカマキリ:《制限人数》?

カイン:ラウンド中、進行判定を行うことができる人数です。このミッションの場合、このラウンドで【感知】判定を行って【進行度】を進めることができるのは、我々のうち2人だけということです。

GM:進行判定をしない人はそれ以外のメインプロセスの行動を行ってもいいけど、「支援判定」を行うのが一般的だね。


 支援判定はイニシアチブプロセスで割り込んで行うことができる。これで【進行度】を進めることはできないが、成功すると、支援した対象の行う進行判定の達成値を+2することができる。また、進行判定と違い、悪い目で判定に失敗しても【進行度】が下がることはない。


《備考》1ラウンドを1日とする。ルネスで説得に成功した数に応じた日数、残留組は軽挙妄動を我慢することができる。オーバーした場合、ルネスで反乱が起こるだろう。


紗綾:軽挙妄動を我慢することができる。

GM:4日間は我慢してくれるぞ。それまでに終わらなければ暴動が起こり、シナリオ展開にペナルティです。


■ラウンド1


 そうしてFS判定がスタート。最初は【感知】による情報収集判定、つまり聞き込み調査だ。この手のFS判定では定番と言える。


紗綾:感知はイワシとカインが6。情報収集ならイワシの《リサーチ》は乗る?

GM:【感知】による情報収集に+1Dする一般スキルですからね、乗りますよ。

マジカルイワシ:じゃあ自分が支援なしで振ってみよう。

カイン:では私とロットさんは待機ですね。

マジカルイワシ:【感知】判定、3D+6で、14。成功だな。

GM:では【進行度】が1点上昇。【進行度】1です。市民から、エベントンさんの謀反の疑いに関する情報が聞けるよ。


■【進行度】1の情報

ログレス市民の話

「ルネス伯が謀反? そりゃ貴族たちのでっち上げだろうさ。王様はすっかり連中の言いなりだからな、大方、温泉の利権に目を付けた奴がいるんだろう」


紗綾:それなって感じですね。さて、カマキリも待機をお願いします。メインプロセスもらって、『紅茶セット』使用。それから《マグニフィケーション》で『強心丹』をみんなへ。

GM:同一エンゲージ扱いでいいですよ。紗綾以外の4人に精神判定+1Dですね。


 『強心丹』はシーン中持続する【精神】判定の強化を行うポーションだ。ルネスで説得を行う時に使わなかった反省から、今回は早めに使っておくらしい。

 今回は支援判定に【精神】があり、今後進行判定が【精神】になることも考えられるということである。


紗綾:錬金術判定……ファンブル!

GM:よくやるなあそれ。

紗綾:フェイトで振り直して、1,5で成功です。

GM:では効果が発揮されたよ。

クラゲカマキリ:カインに【精神】で支援するぞ。1D増えて、19で成功。

ロット:同じく。こっちは失敗ですね。


 ここでの【精神】による支援は、聞き込みむ相手に信用してもらえるように働きかけるとか、根気強く聞いて回るとか、そういったフレーバーになるだろうか。


カイン:ではカマキリの分の+2を貰って、【感知】で進行判定です。17で成功。

GM:目が強い。達成値+4なので、【進行度】が2点上昇します。今回も情報が聞けますね。


 今回の進行判定の難易度は13だった。進行判定では、達成値が難易度を大幅に上回ると、【進行度】にボーナスがつく。


■【進行度】2~3の情報

ログレス市民の話

「裁判? ああ、ああ、”競り”のことな。あんなもん、多く金を包んだ奴の都合で決まるんだよ」

「銀嶺城に忍び込むって、お前そりゃ無理ってもんだ。出るのも入るのも自由にはならない場所だぜ。……そういえば、姫様がたまに、城を抜け出して街に出て来てるらしいが、一体どうやってるんだろうな」


カイン:ああ、やっぱりそういうのですか。

GM:それから、進行度4になったので状況が変わります。尾行されているみたいですね。皆さんの様子を探っている密偵がいるようです。


 市内の情報収集では、ログレス貴族がルネスの利権を狙っていること、ログレスの裁判は賄賂によって結果が決まること、ログレス王宮である銀嶺城への出入りは困難だが、アンナ姫はたまに抜け出して街へ出てくることがわかった。

 ここからは、密偵を撒く判定に変化する。


《ミッション詳細》 

 聞き込みをしていたが、どうも尾行・監視されているらしい。恐らく貴族側の密偵だろうと思われる。どうにかして追跡を逃れたい。

《現在の判定》【敏捷】 《支援判定》【器用】【感知】 《難易度》15


 素早く移動して尾行を撒く【敏捷】判定である。音を立てずに移動したり、障害物を潜り抜けたりする【器用】判定や、尾行者の視線を察知する【感知】判定による支援が行える。


マジカルイワシ:水色が【感知】で緑が【敏捷】。表を信用するならこの2つはもう出ないな。


 GMぶっぱのFS判定表は、【進行度】を表すマスごとに色分けがされているのだ。さっきは水色のマスで【感知】判定。今回、同じ色のマスはもう無いので、今後進行判定に【感知】を要求されることは無い、緑色のマスの【敏捷】も同じ、という読みである。


カイン:このGMは【幸運】判定とか入れてきますよ。気を付けて。

GM:ひどい言いがかりだ。確かに良く入れるけど。


 【幸運】は一度に使えるフェイトの上限を増やす能力値。それでフェイト自体が増やせるわけではないので大した意味はなく、たいていのキャラクターは初期値のままである。つまり、判定に使うことになると苦戦するのだ。


紗綾:とにかく、皆さん行動済みですから、クリンナッププロセスを挟んで判定は次のラウンドからですね。


■ラウンド2


カイン:【敏捷】なら私の仕事ですね。2人ほど支援を頂ければ問題なく通過できるでしょう。残り2人は次の判定が公開されるのを待つのがいい。


 ここでの予定ではカインに支援判定を2人分入れ、達成値+4で大幅プラスを出し、この判定を一気に通過するつもりだった。

 しかし。


マジカルイワシ:わかった。イニシアチブプロセス、【感知】でカインを支援するぞ。……げ、2D+6の1,4で11。失敗だ。

クラゲカマキリ:自分は【器用】でカインを支援だ。……2D+9、2,3で14。惜しい。


 支援判定の目が走らず、2人とも失敗。これではカインの進行判定で通過どころか、成功すら危ぶまれる。


カイン:これは厳しいです。進行判定は私一人に絞って、残り2人も支援を頼んでいいですか?

ロット:じゃあ【器用】で支援します。2D+8……16で成功!

紗綾:OK、私も【器用】で。《トリビアリスト》は温存します。2D+5……4,6で15、成功です!

GM:おお、そこを通すのは偉いですね。


 次の判定のために温存していた2人も支援に回ることで、どうにかカインへの支援2回は予定通りに成功。


カイン:では【敏捷】で進行判定です。


 4人の期待を乗せてカインのダイスロール。

 ファンブル。

 爆笑。


マジカルイワシ:あのな。

GM:いちいち面白くしなくていいんですよ?

カイン:(無言で最後のフェイトを減らす)(振り直し)達成値19。成功です。

GM:では【進行度】が2点上昇。5になるよ。妙な動きをするもんだから、密偵が「……何を、やっているんだ?」と困っているよ。ここまでで状況に変化はなし。


■ラウンド3


 全員行動済みとなり、ラウンド3である。

 現在の【進行度】は5。PCたちは、ラウンド3と4、計4回の進行判定でこれを12にしなくてはならない。


マジカルイワシ:まずいぞ。もうラウンド3だ、後の判定が厳しいと間に合わないかもしれん。

カイン:進行判定1人で確実にここを抜けましょう。次の判定に誰を残すかですが……《トリビアリスト》があるマスター殿は残ってもらって、まだ出ていないのは【筋力】【知力】【器用】【精神】【幸運】。

マジカルイワシ:カインのフェイトがもう無いから、もうすぐ《最後の力》を使うことになるよな。


 《最後の力》はギルドメンバー全員のフェイトを回復するギルドサポート。社会保障支援機構ルネス支部のギルドレベルであれば、3点回復することができる。


マジカルイワシ:俺は説得でフェイトをほとんど使わなかったから、3点も回復すると余っちまう。溢れるくらいなら、ここでフェイト使って通そう。【敏捷】は俺も6あるし。

GM:なんでメイジが6もあるんだよ。

マジカルイワシ:水メイジだからな。[放心]を入れるから、【感知】【敏捷】に振って【行動値】と回避は高めにしてるんだよ。支援は、【器用】が高いクラゲに頼もう。1人分でいい。

クラゲカマキリ:じゃあイワシ先輩に支援だ。【器用】判定2D+9……17で成功。


 このマジカルイワシの進行判定は、暗雲立ち込めてきたFS判定に起死回生をもたらすこととなる。


マジカルイワシ:フェイトを1点使用。【敏捷】判定3D+6に支援で+2して、よし! 20! 難易度が15だから、5点オーバーだぞ。

カイン:達成値+5なら、【進行度】は+3でしたっけ?

GM:はい、3点上昇で【進行度】は一気に8。やりますね。

マジカルイワシ:大分楽になったな。後は任せた。

GM:「奴ら……今日も何やらコソコソしているようだ……見失った……くそ、友人殿に報告するぞ」と。密偵は撒くことができました。そして、進行度6の時点で状況が変化します。


 イワシの【敏捷】判定により【進行度】5から8へ上昇した。このとき、FS判定表では進行度6の時点で状況が変化、つまり進行判定が【敏捷】でなくなっているが、それでも気にせず【進行度】は上昇する。場合によっては状況1つを飛ばしてしまうこともある。

 パーティ全体で不得意な判定があれば、この仕組みを利用してスキップすることも可能である。狙ってやるのは難しいが、特定の判定に極めて強いPCがいるときなどは、しばしば起こる。


マジカルイワシ:また判定が変わるんだな。【幸運】か?


《ミッション詳細》 

 密偵の目を逃れ、月光通りの娼館街までたどり着く。情報を求めたところ、どうやら相手は犯罪結社「ノクトリング」の者たちだ。協力を得られるだろうか?

《現在の判定》【精神】 《支援判定》【知力】【幸運】 《難易度》15


 「ノクトリング」はログレスを中心に活動するマフィアである。とはいっても純然たる悪党というわけではなく、社会のバランサーを自称しており、権力が暴走した際はそれを誅すると言われている。

 かつてルネス支部にこのノクトリングの刺客が潜入したことがあったが、撃退されている。その後捕虜としたが、その目的は現在に至るまで不明。

 ここでは【精神】判定で彼らと交渉、情報を引き出すことになる。


GM:【幸運】ではないです、【精神】判定。娼館街、秘密結社ノクトリングの経営する店に行き当たります。

紗綾:ニミットくん(ぶっぱのPC)関係だ。


 ニミットはぶっぱのPCで、社会保障支援機構グランフェルデン支部の支部長である。今回特に関係はないが、ノクトリングと繋がりを持っているため名前が出た。


GM:列伝を貼るほど関係はないですがそうです。天秤の黒いおもりを自称する者たちですね。で、進行度7と8の時点で情報が聞けました。まあ、イワシがスキップしてしまったのですが……社会保障支援機構は彼らと伝手があるので、すんなり話が聞けたということで。


■【進行度】7~8の情報

 ノクトリングの怪しい男の話

「あんたたち、社会保障支援機構か。……あー、うん、いいわ。こっちも色々あるんだが、とりあえず世話にもなってるしな。デイジーの姐さんは元気にしてるか?」

「……このログレスは、地の時代、ネヴァーフが建てた遺跡をもとにした街だ。特に、銀嶺城には、地下遺跡への入り口がある。姫様が抜け出すときは、ここを使っているってことさ。俺たちの調べじゃ、ログレスの外まで続く秘密の通路がある。どこかの遺跡に通じているんだろう」


 ノクトリングから得られた情報は、まず、彼らはデイジーと懇意にしていること。かの尊王攘夷レディは、よくログレスまで出向き、月光通りの歓楽街を利用しているのである。中身が中身だから仕方ないね。

 それから、アンナ姫はログレス地下の遺跡を通過して城を抜け出しており、それは街の外まで伸びているのだということ。


紗綾:【精神】判定なら私が通せます。ですが支援判定が厳しそうですね。

カイン:進行判定はマスター殿として、我々は一応支援ですね。失敗してもリスクはありませんし、次の判定まで待機しようとしても、FS判定の制限人数2人に引っかかるので意味がありません。

ロット:【幸運】で支援します。2D+3で13……失敗。まあ、クリティカル以外失敗ですけどね。

GM:では、ロットは特に彼らと伝手はなかった。

カイン:同じく。私は【知力】で2D+3……クリティカルはなし。失敗です。

GM:カインも、特に話の進め方は思いつかなかったね。

カイン:剣を握ることしか知らない私には、もともと無理な話です。

紗綾:【精神】なら、支援が入らなくても大丈夫です。スマホを精神判定+1に切り替えて、《ダンシングヒーロー》。私もフェイトを余らせていますから、《最後の力》で溢れないように1点使って、4D+13で振ります。

GM:4D+13????


 紗綾は高い【知力】、【精神】、そして《トリビアリスト》《ダンシングヒーロー》といった判定支援スキルを有しており、こういった戦闘外の判定で無類の強さを発揮するデザインである。

 それにしても、4D+13の期待値は27。難易度15の判定に何てことをするのだ。


紗綾:達成値29です。難易度を14点オーバー。やりすぎましたね。

GM:なるほどなー。いや、【進行度】ボーナスは+6以上で打ち止めだけどね?

クラゲカマキリ:すごいな。

GM:えー、+6以上だから【進行度】4点上昇で、あれ? 12になるから終わりじゃん!


 この紗綾の判定で【進行度】は8から12へ。つまりFS判定終了である。危ないと思っていたら、4ラウンド目が丸々余ってしまった。


マジカルイワシ:【幸運】判定をスキップしたな。


 そう、FS表では本来【進行度】10でもう一つ状況の変化、別の判定があったのだが、スキップされてしまったのである。


カイン:さすがです。

GM:終わっちゃったけど順に処理していくよ。


■【進行度】9の情報

ノクトリングの怪しい男の話

「入口か? 遺跡の方は外から見つけられるもんじゃない、知っている者に頼る他ないさ」


 逆に遺跡を通って銀嶺城に入る場合、その入り口は知っている者に聞かなくては見つからないだろうということである。


カイン:マリアなら知っているでしょうが、どうやって?

GM:で、また状況が変わっている。終わっちゃったけど一応出しますよ。


《ミッション詳細》 

 ノクトリングの協力を得て、銀嶺城への侵入経路のヒントは得られた。しかし、具体的な潜入策は見えないし、シュペンガー伯を連れ出してルネスに戻っても、元の木阿弥。何か決定的な一手はないだろうか。

《現在の判定》【知力】 《支援判定》【感知】【幸運】 《難易度》17


 ここまでの情報から、エベントンを救出する方法、銀嶺城への具体的な進入方法を考案する【知力】判定である。


GM:という判定だったのさ。

マジカルイワシ:【幸運】じゃない……だと……!?

カイン:意外ですね。

GM:君たちはわたしを何だと思っているんだ。んでまあ、情報です。


 ここは本来自分で思いつく【知力】判定だが、前段階の【精神】判定で通してしまっているので、ノクトリングの男からより詳しい話を聞くことができた、ということになった。こういう所は臨機応変で良いのである。


■【進行度】10~11の情報

 ノクトリングの怪しい男

「俺たちは知らんよ。お前たちは冒険者なんだろう、遺跡の探索なら、"神殿の偉い人の依頼でも受ければいいじゃないか"」

「……さあ、もらった金の分は喋ったぜ。これ以上居られちゃ都合が悪い、出て行くんだな」


クラゲカマキリ:金なんて渡していたのか?

GM:さあ。誰が渡したんでしょうね?

カイン:なるほど。神殿の偉い人へ話を聞きにいくのですね。

マジカルイワシ:神殿の偉い人、ねえ。


 一行はノクトリングの男の言うことを察し、「神殿の偉い人」……つまり、ベアトリスのもとへ帰還する。銀嶺城へ通じる抜け道がある遺跡について、彼女が知っているというのだろうか?


GM:そういうわけでベアトリスさんに遺跡の話を?

紗綾:します。

GM:では「遺跡? そうですね、ログレスの北に、"どこに通じているのか分からない、地の時代の遺跡"があります。滞在ついでにそちらの探索をしてくれるなら、助かるのですけど」って。

マジカルイワシ:「行ってこい、とそう言えばいいじゃないか」


 イワシはもう、彼女が最初から自分たちをそこへ向かわせるつもりであったと察している。恐らく、ノクトリングに金を渡した者というのも。


カイン:「マリア様にも会えず、ちょうど退屈していたところです。ギルドマスター、いかがでしょうか」

紗綾:「……なるほど。今回の件について仲介もしていただきましたし、短い間であれば」

GM:「ええ、調査の依頼ができるのでしたら助かりますね。調査です」あくまでも調査だよ。

紗綾:「えぇ、了解しました」と笑います。

カイン:「では”調査”に行きましょう」

クラゲカマキリ:「ふむ。依頼が出たのなら引き受けなければな」

GM:「所在はこちらです。ところで、皆様の中にカインという方がいらっしゃいましたね?」

マジカルイワシ:「居ないぞ」

紗綾:いないことにされた。

カイン:「おや、私ですが。騎士勲章の授与ですか? お待ちしていました」

GM:ではベアトリスさんは笑って、「姫からの言伝を預かっております。『私の愛しい騎士様、今夜にでも、西の塔の3階、私の寝所に忍んでくださればいいのに。警備兵に扮しておひとりでしたら怪しまれにくいでしょう。今宵は無礼も許しましょう』とのことですよ。お若いというのは結構なことですね」と伝えてくれました。

紗綾:wwwwwwwwwww

マジカルイワシ:「緊急時だぞ……」

カイン:「それはまた、もう少し耳打ちなどの配慮があっても良いのですが……」

クラゲカマキリ:「……なぜこのタイミングでそのような話が」


 そうだねえ。なんでだろうねえ。


GM:「さて、私は執務がありますので、これにて。逆臣エベントン・シュペンガーの懺悔を聞きに参らなければ。銀嶺城は広いです、懺悔室は西の塔の1階の外れにありまして、結構歩くことになりますからね」

紗綾:「………………」

GM:「ああ、忙しい、忙しい」

紗綾:何も言わずに見送ろう。

マジカルイワシ:「しらじらしい女だ……」


 と、いうわけで、一行はベアトリスより、遺跡の場所、アンナとエベントンそれぞれの居所を聞き出すことに成功した。

 ……どちらかと言えば、一方的に押し付けられたのだが。



■そのころ "温泉の街"ルネス


 軽挙妄動が行われていた。裏でテキストのみで進行していたシーンであり、GMの担当NPCが多くてややこしいことから、ここではGMキャラの台詞もキャラ名で表記していく。


エリオット:「ええと、これは何ですかね」

デイジー:「知れたこと。県令じゃが」

オズボーン:「もごもごもご」

エリオット:「うん確かに粗暴なことはしてねえっすね。偉いなあ姐さん」

ミリー:「まだ日の浅いオズボーン伯にはまずこの土地について知ってもらわないとな。出来立て熱々のルネスエッグだ。」


 ルネスエッグは"温泉の街"ルネス名物のアイテム。要するに温泉卵である。


オズボーン:「もご、もごごご、ふがっ」

エリオット:「さてと。そんじゃぼちぼち出番っすかね。おウサ様、姐さん、ちょっとデートに付き合ってくれますか? シェルト坊ちゃんは後のことを頼んだぜ。俺、街のことはわからねえからさ」

ミリー:「お前に合わせてやるのは今回だけだからな。」


 こうして……エリオット、ミリー、デイジーの3人は、密かにルネスを後にした。軽はずみな暴動などではない、もっと効果的な何かのためにである。


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