序章・ミドルフェイズ3 馬鹿パーティを食い止めろ!

◆ミドルフェイズ3 "温泉の街"ルネス


 話がまとまり、夜。

 PCたちは、弁明のために神殿の管理下でログレスまで、エベントンに同行できることが決まった。一方で心配なのは、留守中のルネスである。


 そう、夜である。

 案の定、ルネス残留組が決起集会をしている。シェルト、デイジー、トリシー、ミリー、エリオット、ネイパスの馬鹿パーティである。



▼PC列伝 ネイパス

https://platycodon.wiki.fc2.com/upload_dir/p/platycodon/b3bc96d532dd77ed9ff074c699e0b908.png

 らんどうのPC。レムレスのアコライト/メイジで、現在セージ。《ホーリーライト》による魔法攻撃型。自身がどこの何者かもわからない亡霊。誰かが自分を殺した。しかし誰がやったのかは分からない。ギルド・社会保障支援機構に潜入して犯人の情報を探ろうとしているが一向に手がかりは見つからない。そもそも見つけてもらえない。やっぱり生きている人間は憎い。

 実はここに至るまで裏でずっと喋っていたが、特に関係ないのでスルーした。



「父上が謀反などありえん! 何が代行だ、今すぐ引きずり下ろしてやる!」

「腐った幕府を倒すんじゃあ!! 手始めに県令どもを血祭りじゃあ!!」

「こういうのは許せない。皆が戦うなら、私もやる」

「円卓の騎士団、王の手……つまり、あいつらがやったんだな?」

「あーこれ収拾つかねぇや。俺知らね」

「いいぞ……あいつらこそ死ねばいいんだ……」


 軽はずみな行動をされると町が戦場になる。手分けして説得を試みる。


GM:さて、ここでは皆さんにそれぞれ判定を行ってもらいます。ルネスに残していく社会保障支援機構のメンバーは、ご存知の通り血気盛んな連中です。彼らをそのまま放っていくと、君たちがログレスで満足に行動する前に、彼らはクーデターを起こすでしょう。

カイン:起こすだろうなあ。

マジカルイワシ:(あのままこいつらが謀反すれば神殿の力は削げそうだな)

GM:早々にそういう軽率な行動に出られると、君たちの立場が悪くなり、具体的に言うとログレスで行動できるラウンド数が減ります。

クラゲカマキリ:なるほど。

ミリー:「権力者共の都合に振り回されるのはもうたくさんだ。この地で好き勝手はさせない。もう僕はあの時のような無力な子供じゃない。」

GM:そういうわけで、君たちそれぞれにバカチームから1人ずつ説得する判定が用意されています。成功した数だけ、ログレスでのFS判定を行うことのできるラウンドが増えます。

ロット:なるほどな~。


 FS判定というのは、情報収集や潜入などの一連の判定を、戦闘に似たラウンド進行で行うシステム。制限されたラウンド数以内に目標を達成すればクリアとなるが、届かなかった場合後の展開が不利になったり、シナリオが失敗になったりする。

 ここでの説得には、後にそのFS判定が行われる際の行動可能なラウンド数を確保する意味がある。ここで失敗しすぎると、十分に潜入捜査も行えないまま暴動が起こってしまうのである。


GM:判定一覧はこちら。PLにはここで公開していますが、リプレイでは順次見せます。

カイン:二人ほど無理ですが。どうするんだコレ。

紗綾:メインプロセス1回行っていい? まず『紅茶セット』で精神判定に+1。あと『Aスマートフォン』を精神判定+1のやつに替えます。


 「アリアンロッド」では、基本的に名前が同じアイテムやスキルの効果は重複しない。同名アイテムを複数持っている場合は、フリーアクションでどれを有効にするか選ぶことができるものとしている。そこで紗綾は、任意の能力値の判定に+1する『Aスマートフォン』を、判定に使いそうな能力値別に4本持っているのである。そこまでするか。


■紗綾


 ギルドマスターである紗綾は、領主エベントンの息子シェルトを説得し、理性的な行動を呼びかける役割である。


GM:では最初の判定は紗綾ちゃんで、説得する相手はシェルトくん。シュペンガー伯の信頼篤き紗綾ちゃんの言葉で軽はずみな行動を思いとどまらせます。【精神】判定で、難易度は20。《オピニオン》があるなら有効。《マスターマインドⅡ》を使用するなら無条件で成功。

紗綾:とりあえずシェルト君は普通に面会するかな。あとを任せる形になるし。シェルト君、なんだかんだでいまルネスでかなり権力が上なんだぞ。あと任せるんだぞ。

GM:頼もしいね~。

シェルト:「あんな男を信用できるものか。僕は絶対に許さんぞ」

紗綾:《ダンシングヒーロー》使用します。少し足踏みで心を落ち着けて……3D+13! 23で成功!

GM:おおー。

紗綾:「シェルトさん、少しいいですか?」


 裏でアドバイスやらなんやかやあり、紗綾の説得シーン。


シェルト:「なんだ! お前は確か、ギルドマスターの紗綾だったな!」

紗綾:「あ、はい。少し外さなければいけなくなったので……後を任せられればな、と。私と、エベントンさんは離れないといけないんです。正直なところ、デイジーさんやミリーさんの動きがちょっとわからないんです。何もしないように言っては行きますが、それでもわかりません。だからこそ、シェルトさんには、彼らを抑えてほしいんです。シェルトさんに、それをお願いしたいんです」

シェルト:「何!? あの奸賊を追い出して何が悪い!」

紗綾:「そうしたら、きっとルネスの民たちが危険にさらされます。オズボーンが引き連れてきた者共の横暴は防いでほしいです。ただし、だからといって私たちがそれを抑えるために能動的に何かをするのはダメかな、と思います。抑える、は難しいかもしれません。でも、見張ったり、もしくはエリオットさんとかと協力して、うまく回してくれればうれしいです。わたしはあなたのお父さんの潔白を証明してきます。でもそれには時間が必要です。だからシェルトさん、お願いします」説得、むずい。

シェルト:「……お前は、父上が最も信頼を置いている女だと聞いている。いいだろう、僕も信用しよう」

紗綾:「ありがとうございます。よろしくお願いしますね、シェルトさん」

シェルト:「いや……むしろ、このとおり伏して頼もう。父上とこのルネスに、力を貸してくれ!」

紗綾:「はい! こちらこそ!!」ありがとうシェルト君! ぽんぬさん! アドバイスくれた人たち!!

紗綾:でもこれ、残り全員失敗したらシェルト君が危険なことになるのでは。

シェルト:残り全員失敗したら、シェルトくんは説得し直されて反乱軍のリーダーになるよ。

GM:草


 紗綾の説得により、シェルトはルネスを平和的に預かってくれることになった。説得成功回数+1である。


■カイン


 裏切りの騎士を祖に持つカインは、デイジーの説得に充てられる。同じく祖国と正義のために戦った者として、この場を任せてもらえないか働きかけるのだ。


GM:では次、カインです。担当はデイジーさんです。

カイン:無理ですね。

GM:まあそう言わず。信条のある人物なので、祖ヴェインの生き様を語り、共感を得ることで機会を任せてもらうことになります。【知力】判定で、難易度は22。《ミュトスノウリッジ》が有効です。


 《ミュトスノウリッジ》は神話、伝承に関する【知力】判定を強化する一般スキル。カインは【知力】こそ低いが、これを取得しているため3Dで振ることができる。一般スキルとは、クラスの取得スキルとは別枠で取れるスキルである。多くはフレーバー的であったり、些細な効果しかないもので占められる。一部例外もある。


カイン:明らかに厳しい。知力とか振ってないんですけど……。

GM:デイジーさんだからねえ。「県令がなんぼのもんじゃあああああ!! 血で償わせるんじゃあああああ!!」って暴れてますね。

カイン:(無言でフェイトを2点減らす)

GM:あっやる気だ。


 フェイトとは運命を変える力。各PCにシナリオごとに与えられ、ダイスロールの増加や判定の振り直しを行うことができる貴重なリソースである。


カイン:5d+3で18。フェイトを使って振り直します。

GM:お、おう。

カイン:5d+3。2,3,3,3,6、20。無理でした。

GM:無理でしたね。「貴様の気持ちはよおわかる、わかるが、見過ごしてはおけんのじゃあ!!」って。

カイン:「そう、でしょうね。あなたのような人が、祖のそばにいてくれればよかったのですが」

GM:「主君が間違っておるなら、臣下はそれを正さにゃならぬのじゃあ!」

カイン:これはカインには無理です。同じ考えですから。

GM:まあそうですよね。

カイン:人の話を聞いてくれたし、同じ結論に至れました。忠義を以て裏切っていこう。


 カインはデイジーの思想に同調してしまい、説得という形には至らず。デイジーは一人でも反乱を企てることだろう。ここでの成功回数の追加は無かった。


■ロット


 ロットは、心配しているトリシーを説得する。ルネスの人々のため、必ず帰ってくると約束し、戻るまで過激な行動は控えてもらうのだ。


ロット:次は僕ですね。

GM:ロットくんの担当はトリシー。ルネスの人たちへの思いを伝え、正義を貫いて帰って来ることを約束する【精神】判定で、難易度は17。

ロット:判定を【筋力】で代行する《ストロングアームⅠ&Ⅱ》を使用すると?

GM:なんか勢いで押し切るんじゃないでしょうか。

ロット:うーん。まあ、使いません。代わりにフェイトを3点使用。5D+2で16、1足りない……!

GM:あー!

カイン:《ギフト》が使えたのでは?


 《ギフト》は神々に愛された種族、ヒューリンの種族スキル。シナリオ中に1度だけ、任意のダイスロールを+2Dすることができる。


ロット:もう1点使って振り直します。今からでも《ギフト》も入れます。7D+2!


 ダイスロールの振り直しのタイミングは《ギフト》の使用タイミングである「ダイスロールの直前」に当たるのか、という点については議論の余地がある。ここでは認めているが、GMに要確認。


GM:さすがに通る数字ですね。

ロット:25。やり過ぎました。

GM:いや、ロットくんらしいよ。

ロット:「トリシー、行ってくるね。……あのさ、荒事起こそうとか、考えてない?」

トリシー:「大丈夫。ロットも頑張ってね。デイジーさんを止めきる自信はないけど……」

ロット:「まぁ、あの人は……確かに苦労するかもね。ただ、トリシーもわかっている通り、ここでこっちから騒動を起こしちゃうと、それこそルネスのみんなを危険な目に遭わせることになってしまう。トリシー、キミの持つ力は、力なき善良なものを守るためのものだ。正直僕には、キミほど皆を守れる力はない」

GM:ロットくんは自称シーフだから護衛能力は無いんですよね。

ロット:「だからお願い。僕も頑張って向こうでエベントンさんの正しさを証明してくるから。ルネスを頼んだよ」

トリシー:「そう、ルネスの人たちを守るのを第一に考えないとだよね。わかった。任せて」

GM:よし、ここは丸く収まったな。


 トリシーはロットを信じて送り出し、ルネスを安全に守るために尽力してくれることになった。成功回数+1である。


■怪人クラゲカマキリ


 クラゲカマキリは、ミリーを説得する。互いに自分の村を戦争で失っているが、両者の生き様は対照的である。命を救ってくれた組織に忠誠を誓うクラゲカマキリ、一方、村を滅ぼした仇への復讐に燃えるミリーである。二人は通じ合うことができるのだろうか?


GM:では次クラゲカマキリ。説得対象はミリー。

カイン:無理ですね。

GM:そう言わず。故郷の村の復讐で動いているミリーの境遇は、ダイナストカバルの抗争に巻き込まれたクラゲカマキリと良く似ていますが、クラゲカマキリはそのダイナストカバルに命を救われ、その組織のために働いています。この境遇を重ねて説得する【精神】判定です。

マジカルイワシ:大分無理がないか?

GM:なので難易度は厳しい22。《オピニオン》が有効ですけど持ってないよね。

クラゲカマキリ:《ギフト》を使ってフェイトを2点使用。6D+6……18。

GM:皆頑張るな。

クラゲカマキリ:振り直して……ああ、21。

GM:1点足りないの多いですね。

クラゲカマキリ:残念。

ミリー:「ヴァンスターで真実を知った僕は、一体何が正しいことなのか分からなくなった。でも、これだけは許してはならない。今こそ僕の正義を貫く時だ。まさかやめろとは言うまいな。」

クラゲカマキリ: (宇宙猫のスタンプ)

GM:その:spacecat:はずるいから。

クラゲカマキリ:「まあ待て、ミリー。私も君と同じく自身が死ぬ境遇に立つきっかけになった組織に救われた身だ。正義を貫くのが大切なのは分かるが。同じ組織であるとしても、それらを全て討ち滅ぼすべきというのは少し早計なのかもしれない。私達を救ってくれる善き存在も滅ぼしてしまいかねないからな」

ミリー:「ヴァンスターが僕を救い、秘密結社はお前を救った。だが奴らはルネスを救わない。」


 ミリーの憎悪は癒えず。隙あらばオズボーンらの喉元に食いつこうと狙っていることだろう。ここでの加算は無し。


■そのころ


 紗綾に後を頼まれたシェルトは、鎧の魔術師エリオットに声をかけていた。


GM:「オレ一人でこれを止めるのはムリってもんだよな。うん、知ーらね」

シェルト:「おい、魔術師」

GM:「お? 確かおっさんのドラ息子だっけか」呼ばれたら話は聞くよ。

シェルト:じゃあ根回ししておきます。「僕は……父上が不在の間、ルネスを守らなくてはならない。あのオズボーンとかいう男は捨て置けないが、ここで僕が短気を起こすわけにはいかない。それをあの紗綾という女が思い出させてくれた」

GM:ううっ、シェルトくんえらいねえ。いいこだねえ。

シェルト:「だが、正義感の強いミリーやあのなんかよくわからんエルフ女には僕のように耐える理由はないし、僕の言葉も耳に入らんだろう。お前のような優男なら、上手く説得できるんじゃあないか?」

GM:「説得は無理かもですけどね……まあ、オレも血が見たいワケじゃねえんで。考えてはみますよ」では、エリオットの動向は次のイワシ次第ということで。


 この(GMと野次馬の)やりとりを経てイワシの判定という流れになる。


■怪人マジカルイワシ


 マジカルイワシの説得対象はエリオット。彼自身は感情に任せた暴動などやらないが、現状「オレに出来ることはねえっすよ」と匙を投げている。上手い事働きかけて、特にヤバい二人を止める側に回ってもらうのである。


GM:次はイワシ。対象はエリオットです。常識人同士で状況を整理して、一番ヤバそうなデイジーさんかミリーを止める作戦を立てます。カイン・カマキリが失敗した判定に、【知力】判定で再挑戦することができます。

マジカルイワシ:難易度はそのまま?

GM:どちらも22ですね。

マジカルイワシ:通しておきたいよな。フェイト2点入れて4D+9……22、成功だ。「なぁエリオット、ミリーとデイジー、どっちを交渉したい?」

GM:「おウサ様だな。美人エルダナーンは人の話を聞かないから」

マジカルイワシ:「だろうな、それじゃあ俺たちが戻ってくるまでなんとか抑えててくれよ、お前の女にいいとこ見せるいいチャンスだろ?」

GM:「……でも、あれもどうしたもんかねぇ。言って止まるとは思えないんだが。まあ……わかったよ。うん、何も押さえつけなくたって、もっとうまい決起の仕方を考えりゃいいんだ」

マジカルイワシ:「おぅ、それは良いな、流石は優秀な頭してるじゃないか」

GM:「悪だくみなら乗ってくれるだろあの人は……」というわけで、うまいこと破滅しないよう誘導してくれるみたいです。

マジカルイワシ:「それじゃあ頑張ってくれよ」


 エリオットは、イワシに頼まれ仕方なく重い腰を上げた。重いのは甲冑であるが。

 ミリーをうまく誘導し、その復讐のエネルギーが軽はずみな暴動に向かわずに済むように計らってくれることだろう。これにより、成功回数+1となる。


■みんなで


 最後の判定。悪意の亡霊ネイパスが悪さをしようとしている。【感知】判定に成功した者はそれを見つけ、止めることができる。


GM:それでは最後に全員で【感知】判定です。よからぬことをしようとしているネイパスに気付いて止めることができるかの判定です。

マジカルイワシ:2d+6。11で失敗。

カイン:自分も失敗ですね。

紗綾:《トリビアリスト》使います。【知力】判定で代用判定。あ、フリーアクションが使えるならAスマートフォンを知力用に。

GM:いいよ。


 《トリビアリスト》はセージのスキル。シーンに一度、どんな判定でも【知力】判定で代用することができる。豊富な知識を利用して、不得手な行動でも効果的に成功させてしまうのだ。


紗綾:では3D+10……23、成功。


 セッション中、真っ白で読めなかったネイパスの文字色が、徐々に黒くなってゆく。


ネイパス:「んー?」

ネイパス:「なんだ」

ネイパス:「お前」

ネイパス:「もしかして」

ネイパス:「見えてるのか?」


 ネイパス担当のらんどうの悪ふざけである。カクヨム上で再現できないのが残念。


紗綾:芸が細かい! 「あ、ネイパスさん」

ネイパス:「名前まで知ってるの!?」

紗綾:「前もお会いしませんでしたっけ? 当然、知っているに決まってるじゃないですか」

ネイパス:「会ったかもしれないけど分かんない!」

紗綾:「そうですか。しかし、こんなところでどうしたんですか?」

ネイパス:「けど今改めて好きになった! できることならするから何でも任せて!」

GM:ちょろ!?

ネイパス:「んー、なんだったかなー。見えてた、より大事なことじゃなかったよ。多分」


 なお、紗綾は判定を通したためネイパスに気付いているが、他のメンバーには見えていない。


マジカルイワシ:「虚空に向かって話しかけてる……」

シェルト:「さ、紗綾……?」

クラゲカマキリ:「なんだ? 誰と話し始めたんだ?」

カイン:「(小声)アレうっすら見えるのって祖の仲間ですか?」

GM:カインお前自分でそれやっていくのか。

紗綾:「なるほど。じゃあひとつ、お願いしてもいいですか?」

ネイパス:「なんでも!」

紗綾:「いまルネスはちょっと大変なことになってるんです。それで、私と、何人かはちょっとここを離れないといけないんです。

ネイパス:「なるほど。それで騒がしかったんだ」

紗綾:「ただ、悪い人たちがいっぱいいて、他にもちょっと悪いことを考えてそうな人たちもいそうで、いろいろと心配事が多いんです」

ネイパス:「うんうん。人間は大体悪いやつだ。殺そう」

紗綾:「もしよければ、なにか悪いことをしてそうな人がいたら、殺したりしたらダメですけど、ちょっと懲らしめたりしてくれませんか?」

ネイパス:「なるほど。殺さなきゃいいのね?」

紗綾:「ちょっと懲らしめるだけでいいですからね。悪いことを止めてくれるだけでいいんです。よろしくお願いします」

ネイパス:「任せて! さっそくやってくる!」

紗綾:「あ、ほんのりでいいですからね! あと無理しないでくださいね!!」と去るネイパスに。ほんのり懲らしめる。すごいふわっとしてる。

ネイパス:《ホーリーライト》、対象はデイジーで。 「まずは一番話の通じないやつ死ねー!」

GM:何をやってるんだ何を。

紗綾:無理しないでって言ったのに! 無茶しないでとは言わなかったけど。

ネイパス:「……見えてないのか。やっぱり、私って」

GM:あ。


 またネイパスの台詞が少しずつ白くなり始める。


ネイパス:「居ないんじゃないかな……」

GM:あーあー。

ネイパス:「そっか……やっぱり、死んだら見えないよね……」

GM:あー。

ネイパス:「さようなら、サアヤ。最期に会えてよかった」

GM:ネイパス……。

ネイパス:「スャァ」


 ネイパスはまた、見えなくなってしまった。


紗綾:次のシーンはログレス?

GM:紗綾ちゃんはもうちょっと人の心を実装してほしい。


 何にせよ、ネイパスの凶行は阻止された。成功回数+1である。



■さらにそのころ


 シェルト、イワシに希望を託されたエリオットは、ミリーの説得? 誘導? に向かっていた。


ミリー:「……何だ優男。たとえお前の頼みでもこれだけは聞かないぞ。僕の故郷は長らくヴァンスターの脅威に晒され、挙句その状況を利用した妖魔に焼かれた。もうこれ以上僕らの土地を政治や戦争に利用などされてたまるか。」

GM:妖魔ではないですが、まあミリーからすれば妖魔より外道ですよね。

ミリー:「ここで立たなければ僕はもう僕ではいられない。差し違えてでも連中を蹴り出してやる。」

GM:「そうそれ、それなんすよ。どうも青魚の兄貴たち、ログレスまで潜入するらしいんで。俺らは別動隊として動けるようにもうちょっとうまいことやりましょう」

紗綾:青魚の兄貴。

GM:「ぶっちゃけ、ここで騒ぎを起こしたってボンクラ貴族一匹っすよ。おウサ様の気持ちそんなんで収まらんでしょ」

ミリー:「…………。あまり僕の気は長くないぞ。」

GM:「知ってます」。そういうわけで、「どうせやるならもっとうまくやりましょうや」路線で誘導することに成功したようです。

マジカルイワシ:いいぞ、やっちまえ。


 エリオットはミリーを抱き込み、軽はずみな暴動でない形で何かをやろうとしているようである。



GM:ともあれ、成功したのは4回。ログレスでのFS判定では、4ラウンドの行動が可能になったよ。ルネスの人々は、「エベントンさんが謀反なんてありえない、あんたたちだけが頼りだ」と言ってみんなを送り出してくれる。

カイン:戻りました。

GM:お疲れネイパス。君たちの見送りにはガルバンも来て、「剣士様、俺たちはあんたらの味方だ。大丈夫、ルネスをあんな奴らの好きにはさせないよ」って。「シュペンガー伯を助けてあげてくれ。機構の皆がヴァンスターのスパイなんかやってる訳がない。あんたたちは本当にルネスの味方だった!」こんなに地域に愛されている支部は他にありませんね。

マジカルイワシ:「円卓の騎士団より、内側を見張っといてくれ」

シェルト:「はっはっは。魔術師め、どうやらご自慢の魔法を使ったらしいな」

GM:「ほら、手薄になったでしょ。ここで花火上げても仕方ねぇっすよ。ぶん殴るべきは敵のドタマでしょ」エリオットは馬鹿パーティを上手くまとめ上げてくれたようです。

クラゲカマキリ:(………)

紗綾:あ、GM。MPとかHPとか回復しといてよい?

GM:充分な休養を取りつつ長旅なので、そうなりますね。回復しておいてください。


 後にするルネスの平穏もある程度確保でき、ようやく一行は王都ログレスへと向かう。ただし、犯罪人として。


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