第2話 日常
「この小説はなかなか面白い。続きが気になるね。」
とある高校の屋上に座っている青年がいた。
青年の手には一冊のライトノベルが握られている
「いや〜今回もいいラノベに出会えたことに感謝感謝」
合掌しながらブレザーを丸めた簡易的な枕に寝転がる。
寝転がるとそこにはちょうどいい気温と心地のよい風が吹いている。
「まったくこの空は綺麗だな」
空を見ればいつでも心が落ち着く。
心が落ち着くからこそ自然に欠伸がでてくる、うん平和の証拠だな。
そんなことを考えているとだんだん意識が眠りに誘われてくる。
うんじゃ、おやすみ
意識を睡魔に委ねようとした瞬間
「やっぱり、ここにいた!!また授業サボってんじゃないわよ、
ドアが開くとともに少し大きい声が俺の睡魔を弾き飛ばした。
おい、どこに行くんだ!俺の愛しの睡魔ちゃん!!!
俺はゆっくりと顔を声のした方に向けると鬼のような形相で激怒している少女がいた。
彼女の名前は森下奈波《もりしたななみ》
現俺のクラスの委員長で俺の隣の席である。
性格は委員長と言えばわかるだろう。
「相変わらず、お前はまじめだね。なーちゃん」
「む、昔のあだ名で呼ばないで!」
そう、こいつとは小学校からの幼馴染で昔よく遊んだ仲である。
昔は奈波のことをなーちゃんって呼んでたし奈波は俺のことをひーちゃんと呼ばれていた。
「そうカリカリすんなってまたクラスで姑って呼ばれるぞ」
「だ、誰が姑よ!第一私のクラスにそんなこと言う人はいません!」
「はいはい、じゃおやすみ」
と姿勢を横にして寝に入る。
「だから寝ないの!ちゃんと授業を受けなさい!!!」
と背中をげしげしと蹴られる。
割と冗談抜きで痛いからやめてもらいたいんですけど!
だから痛い痛い
こいつ意外に蹴り強いんだよな。
「はいはい、起きますよ。てか起こして」
「なんで私があんたを起こさないといけないのよ!」
「え~いいじゃんかよ。この場所の気温が気持ち良すぎて動きたくないからさ、起こしてくれないと学校の授業受けられないな~誰か起こしてくれないかな~」
と奈波の方を向いてわざとらしく言うと奈波は
「はぁ~わかったわよ。ほら可愛い委員長様が起こしてあげるわよ」
とため息をついて手を俺の方に差し伸べる。
「ハイハイ、可愛い委員長に感謝感謝」
差し伸べられた手を掴んで起き上がる。
起き上がって体を伸ばす。
硬いところで寝転がってたから少し体が痛い。
伸び終わるとまた欠伸が出てきた。
「ほわぁ~~ねみぃ。さてと行くか」
「欠伸してないでさっさと行くわよ、あと四分で一校時目始まるわよ」
「へいへい、てか今何時?」
「え、8時41分だけど」
ハイハイ、8時41分ね・・・・・あれなんか忘れてるような?何だっけな?
考えながら歩いていると誰かと肩がぶつかった。
「あ、わりぃ」
と言って立ち去ろうとすると肩を掴まれる。
え、なになに。この感じはまさか・・・・告白か!?
なんだ俺の顔がそんなにイケていたのか!そうなのか!
そんな気持ちの悪い妄想をしながらイケている顔で振り返ると俺の肩を掴んでいる人の姿が確認できた。
俺の肩を掴んだ人はなんと、なななんと・・・・・男の人でした!!
さよなら、俺の告白!!!てかお前誰だよ!!俺の純粋な心を弄びやがって
「おい、てめぇ。なにぶつかってんだよ」
俺の妄想に突っ込みを入れていると胸倉をつかまれる。
「いや~~考え事してたからさ、前見えてなかったのよ。ごめんね~」
「あぁ!!ふざけてんのかてめぇ!!舐めた口聞きやがって!」
と割と真剣に謝ったのだがどうやら相手にはそうは聞こえなかったらしい
今にも殴られそうな勢いだが
「そこまでにしなさい、西城君」
俺の後ろから冷ややかな声が聞こえる。
その場の空気が一瞬にして冷え切る。
「も、森下お前には関係のないことだ!!だからお前はすっこんでろ!!」
俺の胸倉をさらに強く握り締め始めた。
あのな、俺の制服ぐしゃぐしゃになるからやめろや!
「はぁ~西城君、まだ気づかないの?」
「な、何がだよ」
「あなたこんな大勢の人の目があるところで問題なんて起こしてみなさい、あなた停学よ」
俺のことを二人とも気にしなくなってきたのか、俺のことを置いてけぼりにして話がどんどん進んでいく。
うん、あのさ気にしろよお前ら。
胸倉を掴んでいたやつもさすがに自分のしでかしたことの重さがわかってきたのか渋々俺の胸倉から手を離した。
とりあえず制服のシワを直してから首を鳴らす。
首を鳴らした瞬間に忘れたことが頭の中を横切る
「あ!!!今日、マジカルラブスBlu-rayboxの発売日じゃねぇか!!!!なーちゃん!わりぃ俺、早退するわ!!!」
走りながらそういうとなーちゃんから何か叫ばれていたが走るのに夢中で何一つ聞き取れなかった。
とりあえず!!待ってろ俺のマジカルラブス!!!
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