史上最強隊員の事件簿
雑作家ミナト
第1話 序章
とある都会のビル、屋上には闇に溶け込むような恰好をした影がいた。
口元に紺色のフェイスマスクをつけ、何かを見つめている。
その影が見つめているのは隣のビルの最上階にいる男2人。
見つめている眼には激しい憎悪が宿っている
影がその二人を見つめていると、左耳につけているインカムから通信が入る。
「オーガ、報告しろ」
「ターゲットを補足、人数は非武装が2人、ほかに誰がいるのかどうかはこちらから確認できない」
影、いやオーガと呼ばれた男はその姿からは想像できない少年のような声で答える。
「了解した。アイズ、報告しろ」
「こちらからは武装者が5人全員男です。狙撃しますか?」
インカムから今度は機械のような声で報告する女の声が聞こえる。
「まだ、射撃許可が出ていない。まだ待機を、いや少し待て・・・了解。たった今射撃許可が出た。オーガ、アイズ攻撃開始しろ」
「「了解」」
オーガは、腰から一丁の銃を取り出す。
銃の名前はH&K社のソーコムmk23。
隠密性に長けた銃で装弾数は12発。
オーガはソーコムにマガジンを込めるとサプレッサーを取り付ける。
ゆっくりと深呼吸して、スライドをコッキングする。
腰のハーネスにワイヤーを取り付けて、アンカー付きのワイヤーを隣の屋上に引っ掛ける。
「3秒カウントで行くぞ、アイ」
「了解」
「3,2,1,GO !!!」
GOといった瞬間にオーガは屋上から飛び降りた。
落下の威力を使って隣のターゲットがいる部屋の窓を突き破る。
窓を突き破った瞬間に腰のハーネスを外し武装している男のうち一番遠い男の眉間にソーコムの弾丸を一発撃ちこむ。
放たれた弾丸は正確に男の眉間を貫いた。
男が倒れるのを確認する前に受け身を素早くとって近くにいた男の膝をグリップで殴りつける。
痛みでひるんだ瞬間にゼロ距離で心臓に弾丸を撃ちこむ。
撃たれた男がこっちに倒れてきたので横にそらす。
そして、銃口をゆっくりターゲットに向ける
ちなみにあと3人いた男は片付いたらしい。
視線を逸らすと頭に風穴を開けた男たちが倒れている。
それを確認すると視線をターゲットに戻す。
ターゲットはあまりにも突然起きた状況に固まっていたが銃口を向けた瞬間
「こ、殺さないでくれ。なんだ、金が欲しいのかいくらでもくれてやるだから命だけは、うっ!」
命乞いを始めたので、左肩に銃弾を撃ち込む。
「い、痛い痛い痛い!!」
と汚い声でのたうちまわる。
オーガはその光景には目もくれず、次のターゲットに銃口を向ける。
銃口を向けられた男は後ずさりしながら
「そ、その紺色のマスク。ま、まさか貴様オーガか!?」
オーガは無言のままターゲットの眉間に向けてトリガーを絞る。
男は驚愕に満ちた顔で後ろに倒れた。
「・・・お前らに慈悲はない。だから死ね」
のたうち回る男の頭に向けてトリガーを絞る。
汚い男の声が聞こえなくなった。
オーガはインカムに手を当てて
「ターゲット死亡、これより帰投する」
「了解した」
「お疲れ様です、オーガ」
「お疲れさん、アイ」
インカムから手を離すとオーガはそっとつぶやく
「親父、やったよ」
その日を境にオーガは姿を消した。
理由は戦う理由がないから、その理由で彼は消えた。
そこから二年後、世界は変わっていない。
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