5話
私はあの日からアリシアのお姉さんとして振る舞った。アリシアもそんな私に徐々に心を開いてくれている。最初こそぎこちない感じだったが、私が毎日アプローチをかけていたらなれてくれた見たいだ。私自身、妹という存在ができたことが嬉しくてたまらなかった。
「アリシア、今日はお天気がいいからお外で遊びましょ」
私は、アリシアの部屋へ向かい声をかけた。
こんな風にアプローチをかけていた。
ドアがゆっくり開き
「パトリシアお姉さま」
とキラキラとした瞳でアリシアが私を見つめる。やっとお姉さん扱いをしてくれるのは嬉しいのだけれど、何か違うような。でも、まあいっか
「パトリシアお姉さま、今日は本当にお天気がいいですね」
「パトリシアお姉さま、綺麗なお花ですね」
「パトリシアお姉さま…」「パトリシアお姉さま…」
最初とは全然違うただの無邪気な女の子なアリシア、まさかこんなに早く懐いてくれるとは思わなかった。私は嬉しくなり、アリシアの手を握り、笑って見せた。アリシアは頬を真っ赤にして私の手を握り返してきた。
私達は散歩をしたあと、アンナに呼ばれ、お茶にした。
その日の夜
「パトリシアお嬢様は本当に、アリシア様のことが大好きなんですね」
アンナが私の髪を梳かしながら言った。
「うん、大好き、お父様も、お義母様も、アンナもみーんな大好き」
私はアンナの方へ体を向け抱きついた。
「私もお嬢様のことが大好きですよ」
アンナは、私の背中をトントンっとしたあと体の向きを直させて、再び髪を梳かし始めた。
「アリシアお嬢様、今日はやけにご機嫌ですね」
アリシアが鼻歌を歌っているとアリシアの侍女が声をかける
「だって、パトリシアお姉さまが、私の手を握って下さったんですもの」
アリシアはパトリシアから貰った花束に着いていたリボンを頬に当てながらうっとりとした。
「アリシアお嬢様、プリザーブドフラワーの方が完成しました。」
アリシアは跳ねるように喜んだ。
「初めてお姉さまから貰ったプレゼントですもの、絶対に長持ちさせないと」
アリシアは侍女からプリザーブドフラワーを受け取るとドレッサーの上に飾った。
「明日も、来てくださるといいなぁ」
アリシアはそう溢した。
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