2話

パトリシアは書庫で本を取ろうとしたところ、手を滑らせてしまい額に落ちてきて、そのまま後ろに倒れたらしい。

「今日はベットでゆっくりお休みください」

というアンナの言葉に従いベットで横になっていた。

パトリシアに転生する前、つまり私がパトリシアになる前は辻利愛実という名前のごくごく平凡な女だった。父親は私が二歳のときに亡くなった、交通事故で、即死だったらしい。それから母親は私を育てるために必死に働いていた。弟や妹が欲しかったっと駄々をこねた時期もあったが今思うと働き詰めだった母に再婚を考える余裕なんてなかったし、生活もあまり楽ではなかった、それでも大学まで通わせてくれた母は本当に凄いと思う。だからこそ、私は司書として働いてからは母に恩返しをしたいと考えていた。そんな矢先に母は亡くなってしまった。あのときは哀しくて何度も何度も泣いていた。

そんなことを思い出していると自然と涙が零れていた。私の様子を見に来たアンナは慌てて私の背中を擦ってくれた。

何でパトリシアはこんなに優しいアンナをいじめていたのだろう。

私はアンナに背中を擦られたことで眠気に誘われ、眠りについた。

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