case18 街を放浪する金髪JKの話18

帰り道、日はとっくに暮れていたけど、私達は楽しい気分のままはしゃいでいた。私は恵と肩を並べて歩いた。後ろでは男二人が特有のノリで騒いでいる。私と恵も最初はたわいもない話をしていたけど、会話が一段落すると私は笑顔をつくって恵に言った。

「ねぇ、恵。」

「うん。」

「今日は楽しかったよ。誘ってくれてありがとう。」

私の言葉を聞いて恵も笑った。

「そう言ってくれて嬉しい。私も楽しかった。」

「恵はさ。今は学校通えてるんだよね?」

「うん、一応ね。」

「‥‥学校、楽しい?」

私の質問に恵は顔を曇らせる。

「楽しくは、ないかな。」

「そっか。でも、恵は学校に通ってる。」

「うん。必要なことだからね。」

「強いな。恵は」

私は呟くようにそう言った。誰かに伝えるためというよりは、自分に言い聞かせるみたいに。どうしてみんなそんなに強くなれるのか分からない。違う。きっと私が弱いんだ。

本音を言えば、あんな学校にはもう二度と行きたくない。自分で選んでおいてこんなこと言うの、わがままだと思うけど‥。

でも、もし恵がそこに居てくれるなら‥

学年が違ったとしても、そこに居てくれるなら‥

私は‥

「ねぇ、恵。私も学校に‥」

その時、私の首筋に物凄い衝撃が走った。一瞬の事で、何がなんだか分からなかったけど、私の視界には一瞬だけ映ったものがあった。私達の行く手を塞いだ黒塗りのバンと、そこから降りてきた何人もの男達....。

そこで私の意識は途絶えた。


 気付いたら私は薄暗い部屋のソファに横たわっていた。

白い蛍光灯は壊れており、不規則に付いたり消えたりを繰り返している。

私はぼんやりとした意識で体を動かしてみるが、体全体が痺れているようで上手く動かない。

私は自分の手首を見てぎょっとする。いつもは長袖で隠しているおぞましい傷跡が露わになっている。

姉から借りた制服は脱がされて、私は下着姿のまま、ソファに横になっていた。

なんとか上体を起こして、周りを見渡してみて私ははじめて自分がどういう状況にあるのか理解した。

私を取り囲んでいたのは、複数の男達。その中にはダイゴとマサルも居た。

酒を飲み、タバコを吸い、馬鹿みたいに盛り上がっていたが、私が体を起こすとそこにいた人達は押し黙った。

男達は、奥にいたリーダー格と見られる男に視線を送る。

男は立ち上がって一言だけ言葉を発する。

「始めるか。」

無感情な一言。まるで事務的な作業を開始する号令を唱えたかのような。

その言葉を聞くや否や、待ってましたと言わんばかりに周りの男達は私にいやらしい目つきを向けたまま迫ってきた。

やめて!と叫びたいのに、舌が上手く回らない。

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