case11 街を放浪する金髪JKの話 11

「富永、お前は‥‥」京太郎は富永の方を見て言う。

「K高校の生徒なのか?」

「そうっすよ。でもお巡りさんにあたしの通う高校のこと話した事なかったっすよね。どうしてそんなに驚いた顔してんすか?」

「だってお前、初めて会った時の制服‥」

「あれはお姉ちゃんから借りたんすよ。まぁ、黙って拝借したんで、後でめちゃくちゃキレられましたけど。」

「どうしてそんな事‥」

「なんつーか、K高校の制服着てるといろいろとめんどーなんすよね。お巡りさんだってその制服脱ぎたくなる時あるでしょ?それと一緒っす。」

富永は淡々と語る。

「だからって、ほかの高校ならいいってわけじゃないだろ。」

「またまた固い事言ってぇ。K高校じゃないって事が大事なんすよ。」

はぁ、と息をついて富永はベッドに腰をかける。それから赤いジャージのファスナーを下ろす。

「ねぇお巡りさんって童貞?」

「なんの話してんだ?」

京太郎は眉間にしわを寄せて富永に尋ねる。

「あたしとセックスしようよ。」

京太郎は眉間にしわを寄せたまま富永を見ていた。

富永がジャージを脱ぎ捨てると、色白の素肌が露わになる。

「ふざけた事言うな。」

「ひどいなぁ。本気っすよ。」

富永は弱々しく笑った。

「もういいすよ。もうどうでもいいっす。リンリンはあたしのこと、まだ幸せになれるって言ってくれたけど、あたしはもう自分の事諦めてるんすよ。だったらなんか、一発楽しいことパァっとしたいじゃないすか。

ポリスとやるなんてちょーやばくないすか。まじウケる。」

京太郎は胸を掻き毟られるような思いがした。

この子は、かなり、まずい。京太郎の直感がそう告げていた。

「それで?その後お前はどうするつもりなんだ?」

「?その後って‥」

「今ここでお前の望むようにして、それでその後は?お前は一体どうやって生きていくつもりなんだよ!?」

京太郎は怒鳴り声を上げて富永に迫る。富永が怯えたように後退りするが、構わず彼女の腕を掴んだ。

「やだ!離して!」

「逃げるな!見ろよ!自分がどんな状態なのかその目でよく見てみろ!」

富永の白く、細い腕。一歩力加減を間違えてしまえば折れてしまいそうに弱々しいその手首には赤く、生々しい切り傷が何本も何本も尾を引いていた。

「富永、何があったんだ?全部話せ!包み隠さず、全部。その先にしか、お前の幸福はないんだから‥」

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