case5 街を放浪する金髪JKの話 5
ヘッドライトでガンガンに照らされて目がくらむ。京太郎は咄嗟に幸田の前に出た。
気づいたら3人はバイクに乗ったヤンキー集団に囲まれていた。
大型バイクに2人乗りしている若者のうち、後ろに座っていたジャージ姿の金髪の女性が、バイクから降りてこちらに歩いてくる。
「聞いてんのか、モエ!てめえ人の制服勝手にパクっといてこんなとこで何してんだよ!?」
金髪ジャージ女は、富永の胸ぐらを掴んで揺さぶる。京太郎は事情を全く飲み込めなかったが、ジャージ女と富永の間に割って入った。
「ちょっと、やめないか。なんなんだ君は。」
その言葉にジャージ女は鬼の形相で京太郎を睨みつける。
「あぁ!?てめぇこそなんなんだよ!?勝手に割り込んでくんじゃねぇよ!イてまうぞコラァ!」
「警察だ。とにかく落ち着いて。一体君は誰なんだい?」
京太郎は警察手帳を取り出して見せると、冷静な声で言った。ジャージ女の顔から血の気が失せる。
「は?マッポ?聞いてねぇよ!」
周りの若者も一斉にざわめき始める。
「あの、お巡りさん。」富永が声を上げる。
「大丈夫です。この人、あたしのお姉ちゃんっすから。」
京太郎はジャージ女の顔を見る。たしかに言われてみれば富永に似ているような。
「てめぇモエ。家にも帰らねぇでマッポの世話になってんじゃねぇよ!」
「別に何も悪いことしてないし」
「昨日どこで何してたんだよ!?」
「ねーちゃんにはかんけーないじゃん。」
「あ、てめコラケンカ売ってんのか!?」
2人の言い争いは一向に収まりそうにない。
「姉妹仲いいんだね。」幸田はうんうんと頷きながらその様子を眺めている。
「本気で言ってます?」
京太郎はすかさず尋ねる。
「ところで富永。昨日もうちに帰ってなかったってのはほんとか?それは場合によっては大きな問題だぞ。どこで何してたんだ?」
「別に。家帰るのだるかったんでネカフェに泊まっただけっす。」富永は不貞腐れた表情で言う。
「それが問題なんだよ。お前、歳いくつだ?未成年が一人でそんなとこ泊まっていいと思ってるのか?」
そう言われて富永は俯く。
「ごめんなさい。」
「こいつはあたしが連れて帰るっすから。迷惑かけてさーせん。」
富永姉は富永そっくりな口調でそう言うと、妹の手首を掴んで強引に引っ張って行った。
「ちょ、痛い!離して!ふつうに歩けるから」
富永が文句を言いながら付いていく。
「バイバイ、モエぴー!またいつでも遊びにおいで!」
幸田がそうやって声をかけると、富永はちらりとこちらに視線をやって軽く頭を下げた。
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