第19話 エロトリガーを使え

『このエロトリガーを使え……』

 アキラは僕の耳元でそっと囁いた。



「な、何ィ……? 『エロトリガー』」

 思わず叫ぶように聞き返した。

 なんだ。その怪しげなネーミングは。



「バカだな!! 大きな声を出すなよ!!」

 アキラは静かにするように声をひそめた。



「はァ、何がバカだよ!

 どっちがバカだ!!」

 僕だってアキラに言われたくない。



「シィ〜……✨🤫✨✨」

 周辺を気にする素振りを見せ、口にひと差し指を立ててアピールした。



「……」

 女性客たちや店員らは関わり合いになりたくないのだろう。まったく知らん顔だ。



「な、なんだよ……。シィ〜ッて!!」

 確かに、他の客に迷惑だ。



「良いか。祐真!! 騒ぐなよ」

 カバンから何やら取り出そうとした。


「ン……、非合法なヤバいヤツなのか」

 断っておくが、僕は真面目な大学生だ。


 タバコや飲酒もしない品行方正なだけが唯一の取り柄だ。


 そんな違法薬物を扱うような犯罪行為には関わり合いたくない。



「ほら、これだよ」

 ガサゴソッとアキラはテーブルの下からレジ袋を手渡してきた。



「ン……」仕方なく受け取った。


 おそらくレジ袋の中に、その【エロトリガー】が入っているのだろうか。

 手に持った感じは、思った以上に軽い。

 オモチャのような感触だ。



「これさえ撃てば、彼女はメロメロになって祐真を誘惑するッてシロモノだ✨😜✨」

 ウインクをしておどけて見せた。



「お前なァ…… 厨二病真っ盛りか」

 そんな都合の良い話しは聞いたことがない。






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