第17話 踏んだり蹴ったり

 いきなり呼び出して、【中絶手術の同意書】にサインをしてくれなんて。


 ふざけるのも大概にしろと言いたい。



「だってほら、酔った勢いで……、コ○ドームつけるの面倒じゃン。

 つい気持ち良くなって、中○ししちゃってさァ……。

 わかるだろ。男ならさァ……✨🤪✨」

 アキラはケラケラと笑い出した。


「知るか!! そんなこと!!」

 そっぽを向いた。


 何が、気持ち良くなって、中○しだよ。

 僕は童貞なので、もちろん体験したことはない。



「ケッケケェ……ッ✨😜✨ そうだな。

 祐真は童貞チェリーボーイだから、中○しの気持ち良さなんてわからないかァ?」

 またアキラは僕をバカにするように嘲笑った。



「お前なァ!! ケンカを売ってるのか」

 思わず殴りかかろうとした。

 もちろん本気で殴るワケはないが。

 


「ジョークだよ。ジョーク✨🤗✨✨」

 それでもアキラは、スウェーバックのように上体を反らせた。

 


「……」

 今の会話を聞いたのだろう。店内の女子高生たちは冷ややかな眼差しで僕を見つめた。


童貞チェリーボーイだってェ……」

ッショォ……」



「ぬゥ……😓💦 ッたく」

 恥ずかしくて思わず顔を伏せた。


 女子高生たちの格好の笑い者だ。




「ッで、悪いけど十万くらい貸してくれよ」

 さらにアキラは、とんでも無い事を言い出した。



「な、なにィ……、お前、図々しいにも程があるぞ!!」

「だって祐真は彼女もいないし、給付金も余ってるんだろ。費用が足りないんだ。

 頼むよォ……✨🤪✨✨」



「お前は悪魔か!! 僕に【中絶手術の同意書】にサインさせて、さらにその費用も出させる気か!!」

 なんて友人なんだ。

 


「まァまァ、もちろんお前にもメリットがあるんだよ」



「ふざけるな!! 僕に、どんなメリットがあるんだ!! 金は取られるわ。中絶手術のサインはさせられるわ!!

 どこにメリットがあるんだよ!

 踏んだり蹴ったり殴られたりだろう!!」








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