第16話 【エロトリガー】#2 出来ちゃった結婚

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「ふッざけるなァァァァ〜ーー!!」

 僕は飛沫が飛ぶのも忘れて正面に座る友人の馬場アキラを怒鳴りつけた。



「おいおい、祐真!! 落ち着けよ。

 ツバが飛ぶだろォ」

 アキラは顔をそむけて苦笑いを浮かべた。



 ここは駅前の喫茶店『ルノアール』だ。



 店内には心地よいピアノ曲が流れている。

 たぶんKis-My-Ft2の『luv bias』のインストルメンタルだ。



 僕の好きな曲だが今は、曲を聴いているどころではない。



 土曜日の午後なので女子高生の客たちが店内を埋めていた。


「……」突然、僕が怒鳴り声を上げたので彼女たちの視線を集めてしまった。




 取り込み中なので、簡単に自己紹介しておこう。


 僕の名前は高梨祐真。

 二十歳になる大学生だ。


 草食系ヲタ男子で、ご多分に漏れず童貞ボーイだ。


 そして今、目の前にいる男は馬場アキラ。

 僕の幼馴染みでプレイボーイだ。

 羨ましい事に現在、13人の彼女と交際しているらしい。



 しかし事もあろうに本命ではない彼女が妊娠したので、僕に中絶手術の同意書にサインを頼んできた。



 まったくいい加減な男だ。

 なんでこんなチャランポランなヤツがモテるのか、理解に苦しむ。



 僕は怒りに任せて立ち上がった。



「これが落ち着いていられるか!!」

 アキラに向かって吐き捨てた。

「なんで僕がお前の……、子供の中絶手術の同意書にサインをしなきゃならないんだよ!!」

 


「だから、大きな声を出すな。祐真!!

 みっともないじゃン!!」

 アキラは周囲の店員や客らを意識していた。



「みっともないッて……、お前のやった事に比べれば、ほんの些細な事だろう!!」

 友人とは言え、信じられない男性ヤツだ。




 いきなり呼び出して僕に【中絶手術の同意書】にサインをしてくれなんて。










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