第9話
気がつくとそこは近所の公園にいた。
砂場には幼い頃の私と‥‥春斗?
「真理ちゃんはどんな男が好き?」
春斗はおずおずと幼い私に訪ねる。
砂場で小山をつくっていた私は顔をあげ、
「うーんとね!!私は‥‥」
⭐⭐⭐
「‥‥ん、ん~!!ふあ‥‥ここは‥‥?」
気がつくと白い天井が見えた。
なんだろう?
なにか懐かしい夢を見たような‥‥?
ハッキリしない意識の中、私は体を起こした。寝ぼけながらも回りを見渡すとここが保健室なのが分かり、私の頭は一気に覚醒し
「‥‥今何時だろ?」
なかった。
ぼんやりと時計を見ると現在15時50分
「いつもなら7限目が時間‥‥授業っ!?」
ここでようやく私の頭は動き出した。
そうだ、私、体調が悪くなって保健室に‥‥
私達SSクラスは7限目が週4であり、水曜と土曜日のみ6限で帰れる。
今日は火曜日、つまり7限目がある日だ。
私は慌てて靴を履き立ち上がろうとすると
ガラッ
誰かが扉を開け室内に入ってきた。
カーテンが締め切られているため誰が入ってきたか確認することはできない、だが足音はだんだんと私がいるベッドへと近づいてくる気配がする。
先生かな?
と思っていると徐にカーテンが開けられ、
「なんだ、起きてたのか?」
春斗が顔をだした。
え?どうして春斗が?
戸惑う私を他所に春斗はカーテンを開け近づいてくる。
近づいてくる春斗を見て、体調を崩す原因になった思考が甦り私は思わず下を向か、目を瞑る。
するとおでこを暖かな感触が覆った。
私は慌てて目を開け顔をあげる。するとそこには私のおでこに手を当て、心配そうな顔をする春斗がいた。
「ん、熱はないみたいだな、」
「う、うん、」
「帰りは?歩けるか?なんならタクシー呼ぶけど?」
「え、いや、タクシー?」
「駅まで歩くのは難しいだろ?だからタクシー呼んで駅まで乗って帰ろう、荷物は俺が持つし、本当は母さんに迎え頼みたかったんだけど用事があって学校で待つより電車で帰ったほうが早いからさ、動けるか?」
「あ、う、うん、」
「ならよかった、ちょっとタクシー呼ぶついでに真理の荷物も取ってくるならそれまでは休んでろよ、なにか必要なものはある?」
「ないかな?」
「了解、じゃ行ってくる、横になってしっかり休んでろよ?」
「わ、わかった‥‥」
そ言うや春斗は保健室を出ていった。
なぜか春斗の顔を見てほっと息をはく。
いつも通りだ、
いつも通り優しい春斗だ、
先ほどのやり取り、長年春斗と交わしてきた私達のやり取りを思いだし、今まで感じていた春斗が遠くに行ってしまう感覚は私の中から消えていた。
あれ?でもなんで春斗は私が保健室にいること知ってたんだろ?
私の幼馴染みの様子がおかしい 伊佐波瑞希 @harukikouhei
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