第7話
「そう言えば春斗、お前戻らなくていいのか?」
もうすぐ昼休みが終わる時間に竹下君が春斗に話しかけた。
私達がいる記念館から第3校舎までは徒歩5分で行ける。しかし春斗がいる第1校舎は間に第2校舎を挟んでいるためそれなりに時間を要するのだ。
その事に気づいた私は慌てた。
「は、春斗!?急がないと!!」
「春くん、ダッシュだね!!」
私の後に愛ちゃんも、ダッシュするジェスチャーをしながら続ける。
そんな焦る私達など知らんというように春斗は落ち着いていた。
「次の授業は体育で、外でフットサルだから大丈夫、」
「「「ああ、なるほど」」」
私達の学校は第1校舎が校門から見て左側にあり、第1校舎から右に第2校舎、記念館、第3校舎と中央にある全天候型グランドを取り囲むような配置になっている。全天候型グランドにはテニスコート2面、フットサルコート1面、それらを取り囲むようにランニングコースがある。外での体育はこのグランドを使うのが基本だ、ちなみに体育館は第1校舎の裏手にある。
記念館から出れば目の前はグランドなので春斗はそのまま直行するようだ。
「んじゃ、俺は行くわ、」
「ああ、またな~、」
「春くんまたね!!」
「あ、真理、」
部屋を出ていこうとする春斗は立ち止まり後ろを振り替えると私を呼ぶ、
「ん?」
「今日は帰り別々な」
「あ、う‥‥え?」
「じゃ、」
そう言うや春斗は部屋を出ていった。
え?
別々?
なんで?
私は春斗が出ていった扉を眺めることしかできなかった‥‥
⭐⭐⭐
「であるからして、ここの公式は‥‥‥」
春斗が出て行くと私達も時間が差し迫っていたことから華道部の部室を後にした。
今はお昼頃最初の授業中、
全く頭に入らない、
別々って急になんで?
私、なにかした?
高校へ入学して3ヶ月、私と春斗はずっと一緒だった‥‥
晴れの日も雨の日も、雪の日‥‥はまだ冬がきていないからないけど、兎に角ずっと一緒だった、朝は校門から別れて、帰りに校門で合流する。それが当たり前だった、
なのに、
急に朝はどこか行っちゃうし!!
帰りも別々なって!!
なんなのよ!!
私、なにかした!?
春斗に聞いてほしいことがたくさんあるのに
今日の出来事や愛ちゃんと話したこと
学校や家への愚痴、ほかにも他愛ない話
それと今日は竹下君とお昼を一緒にできたんだからその話しとか!!
なのになんでいないのよ!!
頭の中で春斗が華道部の部室を出ていくシーンが浮かぶ、それはなにか春斗が遠くに行ってしまうかのように思え、私の心は沈むばかりだ。
なんで?
なんで?
何度考えても春斗の真意がわからない、
今までは別に分からなくて良かった
分からなくても春斗は私の横にいたのだから
私は何がしりたいの?何がしたいの?
考えても考えても答えはでない‥‥
あ~、もうなんなの!!
これも全部春斗のせいよ!!
心の中でも憤慨していると
「大塚~!!聞いとるんか!!」
「え?あ、はいっ!!」
「じゃあ、この問題やってみろ」
「‥‥はい‥‥」
授業を聞いていなかった私に解けるはずもなく先生に叱咤され、とぼとぼと席に戻った。
はぁ、何をしてるんだろ‥‥
ショボくれた私はふと窓の外へと視線を向けた。
その時
シュー!!!!ボンボン
目の前のサッカーゴールに勢いよくボールが入りネットを揺らした。
ボールはネットから地面に落ち弾む、ボールが来た方へと目を向ければクラスメイト(?)
と笑みを浮かべハイタッチしている春斗の姿が見えた。
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