第5話
「なな、なんで?」
混乱の中ようやく私は言葉を絞り出した。
そこでようやく二人は口喧嘩を止めて私へと視線を向ける。
そして愛がイタズラ成功!!
という笑みを浮かべた。
「にししっ!!驚いた?」
「大杉、大塚さんに話さなかったのか?」
「うん、だって驚いた真理のかわいい顔が見たかったから!!」
「性格悪いなっ!!」
「愛故だよ愛だけに~」
「つまらんわ!!」
とまた二人はじゃれあいはじめた
え?愛と竹下君ってこんなに仲よかったの!?
も、もしかして、つ、付き合ったり‥‥
自分の血流がどんどん下がっていくのを感じた。もしかして私は友人の彼氏に横恋慕してしまっているのでは?と
考えれば考えるほど気が遠くなる‥‥
そしてふらついて
「っ!!」
「真理(大塚)っ!?」
私の視界が驚いて私を見る二人を納めながら遠ざかっていく、
ああ、自分は倒れる
そう確信し、背中に来るであろう痛みを覚悟した時
「なにしてんの?」
「‥‥え?」
待ち構えていた痛みはこず、変わりに来たのは嗅ぎなれた柔軟剤の優しい香りと暖かい感触だった。
わけが分からず声が聞こえた上の方を見る、
そこには見慣れた顔があった。
その顔は困惑が見られ、やや不機嫌そうだった。
私はおずおずと名前を呼ぶ
「は、春斗?」
「真理大丈夫か?」
「え、あ、うん、大丈‥‥」
「春くん!!ナイスタイミング!!」
私が告げるより先には愛が春斗に声をかける。
「うるさい」
春斗は愛を見るや眉間に皺を作りながらも私をゆっくりと畳に座らせてくれた。
「あ、ありがとう‥‥」
「ん、」
なんとか声を絞り出しお礼を言うと春斗は何事もなかったかのように返事を返してくれた。いつも通りの春斗の対応にどこかほっとした。
「真理ごめんね!!まさかここまで驚くとは思わなくて‥‥」
愛が座る私に駆け寄り私の手を繋ぎながら謝罪した。
「俺もまず説明するべきだった。大塚さんごめん!!」
竹下君も私に謝ってきた。
「あ、い、いいよ、別に、私の方こそ迷惑かけてごめんね、」
「んん、私が悪かったんだよ!!」
謝る私に愛は涙ながらにすがり付いてなおも自分が悪いといいすがる。
これは何かさせないと終わらないかな?
考えた私は笑みを浮かべ
「じゃあ、帰りにアイス奢ってね?」
「わかった!!奢る!!奢らせて頂きます!!あ、春くんも、迷惑かけたから今日帰りに奢るね!!」
「‥‥俺はいらない」
「そんなこと言わず~!!」
そこから愛は春斗に絡みだした。
いつもの2人のやり取りを見ていると
「大塚さん」
竹下君が近づいてきた。
竹下君が近づいてきただけで私の心臓の鼓動は早くなる。
なんとか落ち着こうとする私を他所に竹下君はことの経緯を説明してくれた。
曰く、この間の小テストで竹下君と愛は勝負をしたらしい、負けたほうが勝ったほうに購買でジュースを奢るという内容だった。結果は竹下君の勝利、そこで愛がジュースを奢れば終わりだが愛がそこで提案した。
〝せっかくだからお昼も一緒にどう?〟と
さらにのんびり駄弁ろうと
華道部の部室の鍵まで入手してきたらしい。
竹下君もせっかくなのでその話しにのり、今日の昼食会が成立したとのことだった。
「な、なるほど、」
「理解できた?」
「うん、なんとか、」
「それは良かった、あ、俺からも聞いていかな?」
「ん?な、なに?」
「彼は?」
そう言うと竹下君は未だに愛に纏わりつかれている春斗を指差した。
「えっと、彼は大塚春斗、私の幼馴染みで同い年、商業科だよ、」
「ああ、彼が」
「春斗を知ってるの?」
「ん?ああ、うん、うちのクラスでは有名だよ?大塚さんの彼氏だよね?」
「‥‥え?」
竹下君の言葉に私は固まった。
え?春斗が私の彼氏?
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