第3話
「あれはいったい何だったんだろう?」
あのあと春斗は電車の中ではいつも通り寝ていた。そのあといつもなら学校まで並んで一緒に登校するのに今日は寄り道してから学校へ行くと言って早々に姿を消した。
たしかに私と春斗は通っている学校は一緒だが授業を受ける校舎は別々だった。
春斗がいる商業科は第1校舎、私がいる特進SSは第3校舎、第3校舎は特進生徒のカリキュラム実行のため朝7時から昇降口が開く、それに比べて春斗がいる第1校舎は朝8時くらいまで昇降口が開かない、では時間まで何をしているのか?
春斗の話では昇降口の前の段差に座り読書をしたりスマホをいじったりしているらしい。
そりゃ、私と別れたら暇だよね、私と春斗が学校に着くのが大体7時25分ぐらい、そこから30分程ずっと外に座っているのだから、逆にこの3ヶ月よく付き合ってくれたものだと感心してしまう。
「ただな‥‥」
登校の際毎朝隣にいた春斗がいないとなにか物足りなかった‥‥
別に毎回喋りながら登校しているわけではない、喋りながら歩く時もあれば学校まで無言で歩く時もある。
ただ、なんとなく、
そう、なんとなくだ、
いつも隣には春斗がいたのに急にいないとなんかこーモヤモヤするのだ。
と、よく分からないことを考えながら授業の準備を行っていると
「真理~、おっはよ!!」
「わっ!?」
いきなり後ろから抱き締められた。
私はこの手を知っている。
「朝から元気だね、愛、」
「えへへ、元気が私の唯一の取り柄よっ!!」
そう言って笑みを浮かべるのは彼女は大杉愛
私の後ろの席で高校生活初めての友達だ。
「そう言えばさ、今日春くんいなかったね?」
「え、あ、うん、」
私と愛は入学してすぐ打ち解けた。
愛も電車通学のためよく駅まで一緒に帰る
その過程で春斗とも面識をもった。
人懐っこい愛は春斗を春くんと呼びよく話しかけていた。
愛ちゃんは女の私から見ても美少女だ。
髪は綺麗な黒のストレート、目もぱっちりしていて鼻筋も通ってる、お肌も綺麗だし、すらりと伸びる美脚には同姓の私ですら生唾物だ、さらに私にはないメロンが2つ、ほんと、少しでいいから分けてほしい‥‥
着物でも着て黙っていればまさにいいとこのお嬢様できりっとしてそうな見た目なのに性格は人懐っこく誰に対しても明るく話しかけるしちょっとドジなとこもいい、
私が男だったら確実にハートを奪われていた。
春斗は煙たがっていたが‥‥
「なになに~?喧嘩でもしたの~?愛ちゃんに話してみな?ん?」
「な、なんでもないよ?」
私の曖昧な返事に何か気になった愛がずいずいと私へ詰め寄る。
その時だ、
「大杉、大塚さん、おはよ~」
「あ、竹下君おはよ~」
「お、おはよう」
私の隣の席、そこに座る私の想い人、竹下雅人君が登校してきた。
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