第3.5話
「...」
無事基地へと到着し、誘導に従い機体をハンガーに格納し格納庫へと降り立っていた。
隣では輸送機の機長と副機長が現地のスタッフと何かを話し合っている。おそらく予備パーツや弾薬等の搬入の打ち合わせなのだろう。
(迎えが来るまで待機していろ、とは言われたが...)
周囲に軽く視線を送ると物珍しそうにこちらを見る視線を感じた。正直、誰かに見られるというのは好きではない。
気恥ずかしさから来る苛立ちを抑え込むため腕を組み、瞼を閉じて迎えが来るのを待った。
「レオニード...くん?」
急遽後ろから俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
バカな、ありえない。この国に俺を知っている人物などいるはずがない。
俺は目を見開き、後ろを振り返った。
そこには水色髪のショートヘアをした少女が立っていた。年齢的には俺より少し上だろうか。
「やっぱりレオニードくんだ、久しぶり〜!!」
少女は素早くこちらに駆け寄ってきて俺にハグをした。
「配属表で名前を見た時にひょっとしてと思ったけど...元気そうで良かったよ〜!!」
「ちょっ、一旦離してくれ!!...なんで俺を知ってるんだ?」
俺はゆっくりと少女を自分の体から離し、呼吸と心拍を整え冷静になろうとした。
自分よりも背が高い少女にハグをされている関係で動けず、息もしづらい状況はきついものだ。
おまけに、良い香りと何がとは言わないが柔らかな感触は心拍を荒げるには容易なことであった。
「え!?そんなぁ...レオニードくん覚えてないの?」
ガーン、と効果音でも鳴りそうな勢いで少女は膝を落とした。
「悪いが昔の記憶が...ん?」
ふと、少女の首元に視線を向けるとあるものが目に入った。彼女はドックタグとは別にネックレスを下げているようだ。
やや古いものではあるが、綺麗に手入れされた小さな星形の綺麗なネックレスだった。
「それ...っ!?」
何か引っかかるな、と思った矢先俺の頭に激痛が走った。
「い...痛い...」
とてもじゃないが立っていられないほど痛い。あまりの痛みに膝をつき崩れ落ちてしまった。
「レオニードくん!?どうしたの、しっかり!!」
少女がこちらに駆け寄ってきたことは分かるが、既に激しい痛みの影響で意識は朦朧としている。
「...」
倒れ込んでしまった俺は冷たい床の感触を感じながら意識を失った。
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