2.超未来都市!
街に入ると仰天の連続だった。
遠くから見たビルは近くで見ると圧巻だったし、歩いている人達も機械の腕や変なゴーグルを身につけている。
それとは別に周りの視線が痛い。今まで気づかなかったけど、オレの恰好をよく見たら随分とみすぼらしかった。ほとんど布一枚じゃないか。
慌てて通りから離れた所で、お腹が減った。あれ程元気があっても、空腹にはかなわないらしい。
ふと、良い匂いが鼻を突いた。それにつられて彷徨っていると、屋台が目についた。
ふらふら近づくと、美味しそうな総菜パンが並んでいる。今までの病院食生活を思い返すと、天国が広がっていた。
屋台の主人が怪訝な顔で追い返す様な動きをしていたけど、ふと手を止めた。気づいたからオレは泣いていたらしい。当たり前だ、元気で動き回っていた上に、美味しそうなパンを見てお腹を空かせていることに我ながら感動していたのかもしれない。
「誰にも言うなよ」
そう言って、主人のおっちゃんはパンを一個くれた。何度もお礼を言いながら思いっきりかぶりついた。美味い、柔らかいパンの生地に知らない肉が挟んであるけど、それがとても美味かった。
オレの食いっぷりを見て、おっちゃんは笑っていた。
その内にお互いの身の上を話していた。オレがどうしてここにいるのかを話した時は、おっちゃんは混乱しながらも黙って頷いてくれた。
おっちゃんはダイキって名前らしい。以前は会社員だったけど、出張で訪れたパン屋の味に感動して、心機一転で屋台を始めたらしい。
「それでアヤト、これからどうするんだ?」
困ってしまった。知らない土地、知らない街に行く当てなんかない。言い淀んでいると、おっちゃんは家に来るか?と言ってくれた。
「丁度店仕舞いする所だったしな。しばらく家で考えてみろや」
家路の途中、おっちゃんはこの街について色々教えてくれた。ビルは数十年前に発見された素材で出来ていて、オレが聞いた事もない建て方で作れている事。車は電子機器の発達で超凄いコンピューターが走っているらしい。
そうこうしているうちに人気の無い通りまでやってきた。おっちゃんはふと、立ち止まって傍のスーパーに目を付けた。
「晩飯に食材が足りねえな。すぐに戻って来るからそこで待っててくれ」
一人で突っ立っていると、通行人が目を向けてくる。おっちゃんが羽織る物を貸してくれたけど、視線が痛い。
おっちゃん早く帰って来てくれー!そう思っていると、急にあたりが騒がしくなった。
見ると、屈強な体の男が手に刃物の持って暴れているじゃないか。そして咄嗟に目が会ってしまった。まずい。男がこっちに向かってくる
おっちゃんを待てずにいたオレは慌てて駆け出した。
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