きょうだい

 兄弟って何。ただ同じお腹から生まれたってだけでさ。ていうか母親が違っても兄弟って言う場合すらあるし。それに血がつながってる場合に限っても兄弟は二親等だ。親よりは遠い存在。そのはずなのにその存在がいとも簡単に自分自身に影響を及ぼしてきたりする。お兄ちゃん/お姉ちゃんだからしっかりしなさいとかいう子育てもどうかと思うし、同じくらいお兄ちゃん/お姉ちゃんはできるのになんであんたはできないのみたいなのもダメだと思う。でも兄弟で比較してしまうのは分かる。それに仮に比較しないように気をつけていたとしても他の部分で違いが出てきてしまう。だって親も子育ての経験値を積んでいくのだから。長子のときはよく分からないながらも一生懸命だし可愛がられる。上の子だけ写真が多いなんてのはよく聞く話だ。上の子が学校に通い始めるときは初めての学校だけど下の子ときは上の子と大体同じで済まされる。それが失敗のない子育てと言われることも多いけど。

 兄、姉からすれば弟、妹はひたすらに可愛い存在であることが多いけれど、それと同時に親の愛情を横取りしていった奴でもある。自分のときより子育てが上手くなっていて親も余裕がある。それに自分も弟、妹の世話をするものだから断然恵まれてると感じる。物を買い与えてもらうときでも、結局自分と一緒のものを弟、妹も同じタイミングで買ってもらったりするからどんどんませていく。自分が夜更かしが許されると下の子もそれに引きずられて夜更かしが許されたりする。自分が親に頼み込んで買ってもらったゲームや友達の家に泊まる権利なんかを弟、妹は無償で行使していく。それは一言で言えばズルいし嫉妬にもなる。

 弟、妹からすれば兄、姉は邪魔。だって親でもないのになんだかんだ干渉してくるから。ほんの数歳しか違わないくせに人生の先輩づらしてとやかく言ってくる。お前のこと生まれたときから知ってるし、なんて思ってるのかもしれないと思うと一切否定できないから質が悪い。それに小中は一緒だから○○先生って~だよねみたいな、お前より知ってるんだぞっていう雰囲気が嫌。たしかに頼りになるときは多い。だけどなんだか人生のネタバレを色んな所でくらわされてる気がする。あと当たり前なんだけど兄、姉には親と自分だけっていう時間があったわけだ。それは動きようもない事実で下の子には絶対存在しない時間。上の子が進学や就職で家を出て行けば親と自分だけになるかもしれないけど幼少期ではないから同じものとは言えない。

 あーあ。きょうだい欲しいなあ。

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