メリーゴーランドみたい
メリーゴーランド。何だか不思議な遊具だと思う。つづりで書けば merry-go-round。回って楽しむものだもんね。ラウンドの部分が訛ってランドになったわけだ。漢字で書くなら回転木馬。見たまんまって感じの名前。説明的で面白くないけど伝わりやすい。でも何で木馬を回転させるんだろう。どこが楽しいんだろう。もちろん僕も小学校低学年くらいまでは見つけたらはしゃいで乗っていたけど。ジェットコースターならスピード感とスリル、フリーフォールなら落下していく感覚が魅力的なんだよね。たしかにメリーゴーランドの良さはちっちゃい子でも楽しめるゆったりとしたところにあるんだけどね。
だって乗ってるほうからすれば馬の背に乗って前に進んでいるような気分になれるけど、実際は同じところを堂々巡りしているだけ。ちっとも前進していない。順番待ちをしながら他の人が乗っているのを傍から見たときにそのことをまじまじと感じてしまって少し嫌な気分になった。それでいて同じところぐるぐるしているだけのくせに、上下にそれらしく揺れるものだから子ども騙しもいい所だ。
自分は前に進んでいるつもりでも周りから見れば全然そんなことはなくて、どちらかといえばただ時間を浪費しているだけ。自分だけがいい気になっていた。そんなことに気づいたときの、気づいてしまったときの虚無感といったらこの上ない。自分は何をしていたのだろうかと冷静になり、さっきまで感じていたはずの満足感や煌びやかに映っていたはずの光景なんかは幻となって霧消してしまう。
自分が考えていたことがとんだ見当違いだったり、実際を甘く見積もっていたり。あなたが相性がいい、居心地がいいと感じる相手はあなたのためにその相手が気を遣ってくれているからですよ、無理してくれているからですよという一文を読んでしまったときと同じくらいの無力感。すべてすべて思い込みだったんだと気づかされてしまう。
別に自分の頑張りが間違っていた場合に限らなくてもいい努力に努力を重ねて息切れしながら山を登り切って頂上に着いたとき、そこには涼しい顔をした人たちがいっぱいいて頂上に辿り着いてはじめて見えるもっと高い山に登ろうとしている。上には上がいると分かっていてもいざ目の当たりにすると結構こたえるものだ。
メランコリー・メリーゴーランド
メランコリー・メリーゴーランド
前に進んだと思っても気付いてみれば同じ場所。
メランコリー・メリーゴーランド
メランコリー・メリーゴーランド
何周したかは分からない。
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