心象足跡砂浜
ここの海は何だか違う
何でなんだろう
よくわからないけど波かな
いや他の所と同じだと思う
音も同じ気がする
じゃあ匂いかな
いやそれも違う
よくある潮の匂いがするだけだ
だけと言っちゃあ失礼だけど
別に特段寒いとか暑いとか
いうわけでもないし
もしかして砂浜
でも見た感じなんの変哲もない
あっ、この言い回しに初めて
マジック以外の場面で
出会ったかもしれない
見た目は薄茶色と黄土色の
中間みたいな色
とりわけ粒が細かい
というわけでもないし
よく分かんない
こういうときは止まって考えよう
歩きながら考えると
いいアイディアが思い浮かぶというのは
共感できるけど歩くことにエネルギーを
割いてしまっては意味がない
それに敢えて立ち止まるのも一興だろう
流石にここなら波も来まい
こう思って思索を続けるもまとまらない。理由は不明だけどまとまらない。なんか気が散る。何でだろう。ぐぐぐっと体が沈み込んでいる感覚。なんだ思考の海に沈んでしまったというのか。そう詩的なことを考えたのも束の間、もっと物理的な原因に思い当たった。靴が砂浜に埋まりかけて行っていたのだ
おっと
とっとっと
靴が濡れたら世話がない
ただでさえ靴が砂粒まみれに
なるのは面倒くさいというのに
そう思ってもう少し砂が固いところ、つまり波打ち際から離れた場所に行くと今まで歩いてきた方向に目が行った。随分歩いてきたものだ。そう思ったがそのあと違和感の正体に気づいた。やっぱり砂が柔らかめなんだ。それでいて元に戻りづらい。その証拠にさっきまでの足跡がずらーっと綺麗に残っている。時折周りより彫りが深くなっているのは、立ち止まった場所だろうか。そしてそういうことは、、、
おおっ本当だ
足元にはクッキリと、足跡が二つクッキリと残っている。
そういうことか
原因が分かってホッとした
またのんびり歩くことができる
何も考えずに
ただ波の音を聞きながら、時折
おおって驚きながら波を避けるのは楽しい
後ろを振り返って今まで自分が付けてきた足跡を見ると、何かの気配を感じた
こっそり足を上げると今もその下から気配を感じた
何かが居る
何だろうか
何かの動物?それとも霊の類か?
よく分からない
いやでも何かの霊や悪魔
みたいなものの気がする
[やめろやめろこれ以上詮索するなするなするな]
うん?なんだコレは
[だからだから詮索するな]
でも気になるじゃないか
[たしかにたしかに]
[きみの足元にいるのは僕たち砂の仲間なんだ。僕たちは靴越しでも砂に触れている間、その人の思考を読み取れるんだ。だから今もきみの思考過程を覗いていたんだけどね。正体がバレる前に僕たちを追い詰められたら困ると思って、きみの神経系にお邪魔したんだよ。そうすれば安泰だと思ってさ。じゃあね]
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