状況整理
高2の冬、1コ下の後輩から告白された。いよいよ受験生ですねなんて話をしていたかと思っていたら告白された。私もこの子のことは後輩の中でも特別に思っていたからOKした。それなのに彼は同級生と浮気していた。意味が分からない。自分から私に告白しておきながら、なんで浮気するんだ。私は受験生の夏にそのせいで病んでしまった。いつの間にか体重は10キロ近く落ちていた。それでもこんなに痩せれたのなら――なんて淡い期待を抱いてしまう自分が厭だった。
そんな中、隣のクラスの男子から昼休みに呼ばれた。そのときもお昼ご飯を食べる気にはならなかったから、すぐに駆け付けた。もしかしたら彼の友人か何かかもしれない。そのときもこんな思いを抱いていたけれど、実際は真逆だった。あいつは最初から浮気する気できみと付き合っていたらしい。そう告げられた。どうやらこの男子は彼と同じ塾に通っているらしく、そんなことを武勇伝よろしく吹聴しているのを聞いてしまったというのだ。
「ごめん」なぜかそのことを伝えたあと謝られた。いや、いいよ、事実は事実なんだから。教えてくれてありがとう。そう言うと「いや、違うんだ。俺は一応、保険にと思って先にこのことを言ってしまったんだ。先に言うべきことがあるのに」私はぽかんとしていたけれど、そんな私にも伝わる直球な言葉が飛んできた。
「俺と付き合ってくれないか。最初は気を紛らわせるためでも何でもいいから」
私はそう言われて流された。自分を好いてくれるなら、と思った。当時の私には愛してくれる人が必要だった。
結果的には私はその日の放課後に彼のところに行ってビンタを食らわせて家に帰った。乾いた音なんてしなかった。もっと、こう、鈍い音がしたそうだ。私はそのとき無我夢中で自分が好きだった人をなんで叩いてるんだろう、いや好きだったからこそ叩いてるのかもしれない、そんなことを考えていたから耳に注意は向いていなかった。
ということで私はいま元、隣のクラスの男子と付き合っている。だって今はもう私も彼も大学生だから。この話に別にオチはない。だって人生における大抵のことにオチなんてないから。オチなんてものは最後の最後に全体を振り返って、ああ、あそこがオチだったんだなって分かるものだ。だからまだ私の命が続いているうちは後輩と付き合って、つぎに忘れるためでもいいから、なんて言った彼と付き合っていることがどんな意味を持つかなんて分からない。
それでも私はそのことに意味を見出したくて、ルーズリーフに最近の私の恋愛事情をシャーペンで書き殴っている。
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