国民ストレス解消イベント案

 あぁ、閉塞的な毎日。ストレス解消がしたい。でも、大抵ストレス解消とは単なるストレス移譲に過ぎず、必ずと言っていいほど誰かが傷付いて終わる。漫画でよくあるデスゲームなんかが現実になれば少しはスッキリするだろうか。でも人が死んでしまうのは嫌だな。死ななくていいんだけど、みんなが平等になって生き残りを目指すみたいなゲームでもあればいいのに。スポーツでもいいんだけど、もっと誰でもできて、ルールも複雑でなく、簡単にできる何かはないだろうか。

 色々考えているうちに死なないデスゲームという発想に思い至った。一日限定とかでいいからみんなで武器を持って戦いを繰り広げる。でも本当に傷つける必要はないし、、、。あれだ、雪合戦。もしくは鬼ごっこやかくれんぼ。ああいう小さいころにやった遊びをそのまま一日みんなで本気でやるっていうのはどうだろう。雪合戦は立派なスポーツであることは知っているけど。雪合戦と鬼ごっこを組み合わせた遊戯みたいなのを国民全員でやれば楽しいのではないだろうか。広すぎたり、人数が多すぎても困るから都道府県の中で戦えばいいか。そういうルールにしよう。人工雪でもいいし、カラーボールみたいなのを使ってもいい。都道府県の住民の数に比例した人数を表彰して全国大会へと出場させる。それをテレビなどで放送するというのはどうだろうか。こうすればコマーシャルを打つことでスポンサーが集められて資金も入る。まあ、この時代ネット配信でもよいだろう。

 現実のこの世界をプレイグラウンドにするわけだから大規模な広告もいくつか設置すればいい。こうすればここでも資金が集まる。月イチとか半年に一遍といった感じでこういったイベントを開催すれば面白いのではないだろうか。今ではSNSも発達しているから、本番前にこっそり同じ県民同士などで連絡を取り合って作戦を練るなんてのも面白いかもしれない。家族とも大っぴらに戦えるタイミングだから少しはスッキリするかもしれない。学校の先生に会ったときに堂々とカラーボールを投げつけていいとしたらどれだけ気持ちよいだろうか。それに、犯罪の誘発を防ぐためにイベントの記憶は毎回政府に消去されるという条件も付ければ便利だろう。たしか近年そういう薬剤が開発されたはずだ。記憶を消去するような薬を飲んだ人から、参戦できるということにすればみんな賛成してくれるだろう。こうやって記憶を消すことができればイベント内での事件や喧嘩が通常の生活を侵食して事件を生むこともない。

 ここまで考えて中々によくできた案ではないかと思った。じゃあ試しに目の前の同級生にカラーボールを投げてみようか。いや、政府に応募するのが先か。

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