桃太郎のおじいさんのつぶやき
柴刈り飽きた
と打ったものの、そんな呑気なことも言ってられない。別に趣味でやっているわけでもないのだから。これで食っていってるのだから。まあ、削除はしないけど。さあ、もうひと頑張りしよう。
仕事おわ
すぐに「おつ」「おつです」「今日もお疲れ様です」なんて返ってきてうれしい。最近は妻とも会話が乏しく唯一のコミュニケーションの場だと言っても過言ではない。なんて思っていたら珍しく話しかけられた。腕には大きな桃を抱えている。これは飯テロにピッタリではないか。そう思ったがとりあえず妻の話を聞く。
流れてきた
こういう短文とともに大きな桃の写真を貼り付けた。着々と反応が来ているのを見るのは楽しい。妻にはアカウントを持っていることを言っていないので、このすごさを共有できないのが残念だ。妻が包丁を持ってきているのが見えたのでそちらに駆け寄る。中には大きな種があるかもしれないから代わろうかと言ったが、とりあえず私が、と言われたので任せる。
いま切ってる
こんなことをつぶやきつつ横を見るとまったくてこずっている様子がない。聞いてみると種がある部分は空洞らしい。それでも手が疲れたので代わってくれと言われ交代する。たしかに空洞がある。果肉の部分だけを切っていくと少しして大きな桃は二つに割れた。赤みがかった綺麗な色だったがそんなことはどうでもよかった。
赤子爆誕
この言葉遣いが合っているかはよく分からないが使ってみた。子どものいない妻は随分と喜んでいる。よかった。純粋に自分もうれしい。名前をどうするかという話になったが中々決まらなかった。候補は三つまで絞った。
この子の名前
・武志
・信夫
・桃太郎
さて、妻と赤子の寝るところや衣服などの準備をあらかた終えてお茶を飲んでいると締め切り時間となっていた。
・武志 12.8%
・信夫 16.4%
・桃太郎 70.8%
ネタ枠が大差つけて一位なの笑う
ということで桃太郎になった。妻もそれも悪くないよねぇ、と言ってくれたので決定した。早速二人で桃太郎や、と声を掛けながら我が子を眺める。晩ご飯のあとは桃を食べた。大味でもなくおいしかった。これから当分は果物に困らなそうである。
桃太郎は元気な子に育った。最近話題の鬼ヶ島に動画撮影に行ってくるというので、妻がきび団子をつくって持たせてやった。妻の料理動画はいまや大人気である。一方、桃太郎の動画ははいまいち伸びていないらしく、この企画で登録者を増やしたいらしい。
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