ストーカーじみてる
僕のしょうもないつぶやきに、いつもいいねをくれる人がいる。実際に会ったことがある人ではないし、お互いに相手のことはよく知らない。それに僕は色んなことをつぶやくが、相手はめったにつぶやかない。相手の性別すら知らない。それでもいつも律儀にいいねをくれる。どこかで見守ってもらっているようで通知を見ては、いつも安心感に包まれていた。でも僕にはお返しをする手立てがない。それがもどかしかった。
ある日を境にめっきり、いいねが来なくなった。僕は言いようもない不安に襲われたが、それも数日たてば忘れてしまった。それでも頭の片隅にはいつもその存在が残っていたようで通知が来ると今度こそはと思ったりしたものだ。
ある夜、僕は急に何を思ったか相手のアカウントを見に行った。最近は彼の―—いや彼女かもしれない―—つぶやきすら見ていなかった気がしていたからだ。つぶやきはやはり僕が最後に見たとき、最後のいいねをくれたときから増えていなかった。でも、大量のリプを返していることが分かった。リプの相手は非公開設定だったから僕には相手のつぶやきの内容は見えない。
「嫌われたかな」
「」
「ならいいんだけど」
「」
「でも、、、?」
「」
「やっぱり?」
「」
「ほんとに!」
「」
「今更ムリ」
「」
「えぇ、やってみる?」
「」
「やってみる!」
「ありがとう!」
ここで一区切りついていたが、日付を見るとこれは随分前のもので僕にいいねをくれる前のものだ。というか僕にいいねをくれる前日の夜だ。
「やってみたよ!」
「」
「うん」
「」
「楽しい」
「」
「一歩踏み出した!」
これが僕に初めてのいいねをくれた日のやり取り。なんだか微笑ましい。まあ、この一歩踏み出すというのが僕にいいねをつけることとは限らないのだが。
「」
「え?ずっと続けるんだよ」
「」
「分かんないの?」
「」
「ヒミツ~」
こんなのもあった。さっきの会話から一週間ほど後のものだ。そういえばここまで見た感じ二人とも女子みたいだ。ここまで考えて、人のリプ欄を一つずつ見ていって相手のことを考えているなんて中々にヤバいやつなんじゃないかと思い始めた。でも、いま古いほうから見ているから最近のを見るまではやめられない。どこかでこう開き直った自分が居た。
「」
「」
「」
「そんなに教えてほしいの?」
「仕方ないなぁ」
「このわたしが教えてあげよう」
「」
「」
「えっとね」
「今までいいねをね」
「くれてた人がね」
「急にいなくなったら」
「心配になるでしょ」
「」
「そうそう」
「そしたらわたしのことで頭がいっぱいになるでしょ」
「」
「」
「」
「やめて~ 引かないでよ~」
「」
「」
「それでね多分このやり取りを見てるはずだよ」
「心配になって見に来ちゃうよ」
「きっと」
「」
「いいんだよバレて」
「」
「このことを知ったあとに、またいいねがもらえたら、どう思うかな」
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