大学生カップル

「玲、コーヒー飲む?」

「うん」

「はい、ブラック」

「ありがと」


 ここは彰さんの家。私の彼氏、1コ上。最近はよくこうやって家にお邪魔してる。彰さんは大学生にしては割と広い部屋を借りているから、こうやって私が泊まったりしても何の問題もない。ところどころ物が積まれているけど基本的にはきれいで男子大学生の部屋とは思えない。私の部屋の何倍もきれいだ。だから家に来てもらったことはないのだけれど。


「課題終わったの?」

「あとは心理学のレポートだけ。まーでも、締め切り一週間後だし、土日はのんびりできる」

「そっかぁ、僕もこの土日は特に何も無いんだよね。バイトも他の子が入ってるし」

「じゃあ、どっか行かない?今から決めて明日の朝、出発しましょーよ」

「いいね、どっか行きたいところある?」

「この辺って水族館あるんでしたっけ」

「都会の方まで出ればあったはず、マリンなんとかだった気がする。えーっと、これこれ」


 彰さんがパソコンの画面を見せてくれる。私はスマホでゲームしてたけど。


「車で行けば2時間くらいかな」

「運転してくれるんですか!」

「うん、そのつもりだったけど、電車がいい?」

「そういうことじゃなくて、ありがたいなーって、私、免許まだだし」

「じゃ、明日の朝、何時くらいがいい?玲、そんな朝強くなかったよね」

「知ってて聞いてるじゃないですか。いっつも寝起き機嫌悪いでしょ、私」

「うん、知ってる。じゃあ、遅めにしよっか。10時くらいに出て、道中か、水族館付近で昼ご飯でどう?」

「オッケー」


 こうやって彰さんは私に合わせて計画をさくっと決めてくれる。今はまだ期末試験に向けて焦る必要はない時期だからこうやって遊べる。夏休みは帰省もするけど彰さんとも遊びたいなぁ。その辺も車の中で話せたらいいけどなぁ。でも、彰さんは地元の人だから帰省とかはしないから、夏休みの間は離ればなれになってしまうだろーなぁ。


「まだ、寝るには早いね。ゲームでもする?」

「はいっ!」

「ふふ、元気いいね」



 隣で大学一年生の女の子がスマホを横にして夢中でゲームをしている。フリフリのパジャマ。かわいい僕の彼女。名前は玲。ちょっとこの名前よりは幼い印象の子だけど、とにかくかわいい。履修登録相談会でうろうろしてる女の子がいたから声を掛けてみたのが始まりだった。そこから割と話はとんとん拍子に進んだ。遠くから出てきたというのもあって一人で寂しかったみたいだ。いつの間にか僕の家に来て、こうやって遊ぶことも増えた。純粋な横顔が僕にはまぶしい。

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