赤ちゃんは泣き止まない

ウッウッウッ ウアー ウアー ウアー ウッ ウッ ウッ


 今日も聞こえてきた。お隣さんの赤ちゃんの声。最近、引っ越して来たみたいで、いつも夜11時くらいになると夜泣きが激しい。一週間くらい前にあいさつに来てくれた。そのときも母親の姿はなかったし、今まで会ったこともないのでもしかしたら父親一人で赤ちゃんを育てているのかもしれない。もちろん働きには行ってはないみたいだ。まあ、最近は在宅でできる仕事なんていくらでもある。


ウッ ウッ ウッ ウアー ウアー ウアー


 まだ、泣き止まない。


ウッ ウアー


 いい子だからねぇ。ねー。おねんねしようねぇ。 ちなみに壁も薄いので父親の声も聞こえてくる。あんなガタイのいい成人男性がこんな感じであやしているというのはどこか不思議ではあるが、赤子相手だと誰しもこうなるのだろう。


ウアー ウッ ウッ ウッ ウッ ウアー ウアー ウッ ウッ ウッ ウアー ウッ ウアー ウアー


 一向に泣き止まない。というか酷くなっている。別に僕は子どもが嫌いではないからいいけれど、もう片方の隣からは何か言われていないのだろうか。


な、静かにしてくれ。分かるだろう。他の人に迷惑なのは。なっ。せめて、小さな声で、な。


 いや、お父さん、それは無理ってものでしょう。というか赤ちゃんにそんな普通に話してもどだい無理でしょうよ。こう、おむつを替えるとかさ、なんか泣き止ませる動画を見せるとかさ。なんて悪態をついてみたが、どうやら泣き止んだようだ。すごいものだ。


ウッウッウッ ウアー ウアー ウアー ウッ ウッ ウッ

ウッ ウッ ウッ ウアー ウアー ウアー ウッ ウアー ウアー ウッ


 甘かった。全然泣き止んでなかった。でも、あんまり声の大きさが変わらないのが不思議だ。なんというか、落ち着いているというか。まあ、泣いている赤ちゃんが落ち着いているというのも変な話だが。


ウッ ウアー ウアー ウッ ウッ ウッ ウッ ウアー ウッ ウアー ウッ ウッ ウアー


 本当によく泣くものだ。


ウッ ウアー ウッ ウッ ウッ ウアー  ウッ ウアー ウッ ウッ ウッ ウアー ウッ ウッ ウアー ウッ ウアー ウアー


 本当によく泣く。にしても何か奇妙な気がする。


ウッウッウッ ウアー ウアー ウアー ウッ ウッ ウッ


 また、泣いてる。でも、このリズムさっきも聞いた気がする。


ウッウッウッ ウアー ウアー ウアー ウッ ウッ ウッ


 そう、これ。多分、今日の夜泣きの最初もこの、ううう うーうーうー ううう みたいなリズムだったはず。


 ねぇ、もう泣いたらだめだよ。分かってるんだからねぇ。


 分かってるって何がだろうか。


ウッウッウッ ウアー ウアー ウアー ウッ ウッ ウッ


 それにしてもまだ泣いてる。


 もう、やめろ、その泣き方は。もう俺には分かってるんだから。


 何の話だろうか。分かってるとは。何が分かってるのだろうか。というか、そもそも赤ちゃんが何か言っているということだろうか。


ウッウッウッ ウアー ウアー ウアー ウッ ウッ ウッ

ウッ ウッ ウッ ウアー ウアー ウアー ウッ ウアー

ウアー ウッ ウッ ウッ ウッ ウアー ウアー ウッ ウッ ウッ ウアー ウッ ウアー ウアー


ウッ ウッ ウッ ウアー ウアー ウアー ウッ ウアー ウアー ウッ

ウッ ウアー ウアー ウッ ウッ ウッ ウッ ウアー ウッ ウアー ウッ ウッ ウアー

ウッ ウアー ウッ ウッ ウッ ウアー  ウッ ウアー ウッ ウッ ウッ ウアー ウッ ウッ ウアー ウッ ウアー ウアー


 赤ちゃんはいっこうに泣き止まない。


ウッウッウッ ウアー ウアー ウアー ウッ ウッ ウッ

ウッウッウッ ウアー ウアー ウアー ウッ ウッ ウッ

ウッウッウッ ウアー ウアー ウアー ウッ ウッ ウッ

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