シンプルなデスゲーム
価値観が合う人が大事。価値観は人それぞれ。よく聞く言葉だ。俺もここに来るまではその通りだと思っていた。価値観は人それぞれ固有のもので揺らぎない。でも、そんなことなかった。
一か月前くらいだろうか、若者の特権みたいに適当に駅の大通りを歩いていたら、目の前の人がぱっ、ぱっ、と消えていった。スマホでタップして選んでいるように。目を疑った次の瞬間、俺の前の景色も変わっていた。大きな公園みたいなつくり、廃工場なんかもある。ビルみたいなものとかも。廃校のようなものもある。よくあるfpsの世界だ。昔やっていたから、割と早く理解できた。無限に広そうだ。バラバラと人が現れる。他にも人がいることを知って安心した。
そして、数分したのち放送が入った。よくあるパターンだ。ちゃんとしているな、と思ったのは何か国語かで放送が繰り返されたことだ。ことの経緯とルール説明だけだった。
「みなさん、こんにちは。地球の人口が増えすぎたので間引くことにしました。みなさんは、もちろん無差別に選ばれました。悪事を働いた人とか、選んでられないですしね。ルールは簡単。一日に一人殺せば、明日の3食は保証されます。朝は食パン一枚と牛乳。昼はコンビニの弁当。夜は定食です。豪華でしょ。メニューはランダムにこっちが選びます。みなさんがどこにいようと目の前に出てくる仕組みですので、安心してください。試しにやってみますか。今日だけプレゼントでおやつです。はい、チョコバー届きましたか?ほら、そこの人、他人の奪っても食べれませんよ。意味ないですよ。
それで、一日に何人殺してもいいです。一日の二人目からは人数をカウントします。その人数が合計で30人になったら、元の世界に戻します。その間の記憶はなくしますし、何をやっても元の世界には影響は出ませんよ。ただ、死んだら死んだままなので、例えば、ここで知り合いを殺して合計人数を増やして元の世界に戻ったとしたら、その知り合いはいませんよ。死んだんだから当然ですね。最短でいけば、今日中に30人殺せば、その時点でぱっと帰れますよ。じゃあ。」
あれから、最初の日は誰も殺せなかった。だから、翌日のごはんはなし。そのとき、空腹状態だと、殺すのは大変だと気づき、人の好さそうな40代のおじさんを殺した。首を絞めたら、一発だった。申し訳なかったが、それよりも、コンビニ弁当は生姜焼きがいいなと真っ先に思った。この調子でもう一人と思った俺は、ビルの階段を上り目のあった女を殺した。現在、合計1人と耳元で鳴った。なお、殺した相手の合計人数も加算されますので、現在、合計6人とアナウンスが追加された。この女は5人も殺していたようだ。人は見かけによらない。
当たり前だが、日が経つと人は少なくなるし、手練れの割合が高くなる。人を見つけたら、どう殺すかが、思いつくようになった。
「みなさん、30日ぶりに、こんにちは。だいぶ人も減ってきたので、今から、第2次人員1000人を配置します。じゃあ。」
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