　意味っていうのは怖い言葉だと思う。意味のあることをしなさい。そんなのは無意味だね。だって意味ねーもん。意義というのも同じような感じがする。有意義な時間を過ごせました。意義ある活動。その意義は何なんですか。こんな風によく使われる。こんなことを一度考え始めてしまうと、もう、止まらない。どうせ、こんなことを考えても意味なんてない。分かっていても考え始める。

　今日、僕は朝起きた。これに意味はあったのだろうか。起きた意味。まあ起きたから、いま活動してるわけでそう考えると意味があったのだろうか。そしてトイレに行った。これは行かないとしょうがない気もする。そしてパンを焼いた。これに意味はないのかもしれない。別に食パンはそのままでも食べられるし。

　牛乳をコップについで飲んだ。コップに入れるのは、飲むという行為に対しては意味はあったと思う。じゃあ、牛乳を飲むことに意味はあったのだろうか。カルシウムが摂れるから意味があったのだろうか。では、カルシウムを摂る意味ってなんだろう。骨が丈夫になるとか、よく言われるな。骨を丈夫にする意味は。健康に越したことはないから。

　食パンを食べたのも、生だとしても、食べる意味って何なのだろう。生きていくため、にそんなの決まっている。じゃあ、生きる意味って何なんだろう。現状、死なないようにしているだけだ。逆に言えば、生きなくていいと思えば、なんでもいいのか。生きなくて良い。これはすごい発想だと思った。別に僕は積極的に死にたいわけではない。でも、いつ死んでもいい、そう思うと心が軽くなった気がする。いつでも死ねるけど、今日ぐらいは生きてやる。そう思えばいいのか。

　結局、意味探しはどこに行ったのだろうか。自分の思考回路を振り返ると、生きる意味がないから、死のう。と思っていたことを思い出した。でも、意味がないからしなくていい、意味がないからしてはいけないっていうのは違う気がしてきた。だって意味がないけど、してることなんて腐るほどある。突き詰めていけば、どれも意味なんてないようなものだ。そんな状況だけど、自分のしたいことには意味を見出して、したくないことには意味を見つけようとしない。とどのつまり、こういうことなのだろう。

　僕がこんな風に考えたってことは、僕は考えたかったのかもしれない。自分なりに考えることに意味を見出していたのかもしれない。そう考えれば、僕は僕の無意識を無意識に尊重（そんちょう）したことになるのだろう。