すぐに既読がつく相手

〇やっぱり、京野さん優しいよな

 ちゃんとしてるし

●僕もそう思う 前も教科書見せてくれたし

 忘れ物してるの見たことないよね

〇貸してもらったのか うらやましい

 俺、最近話してねぇわ

●いいでしょ

〇つーか、また、忘れたのかよ

 京野さんの優しさに付け込んでんじゃねえよ

●忘れたのはきみだよ

 ちゃんとバッグに入れといてよ 僕は毎回ちゃんと準備してるのに

〇確認しなかったお前がわりぃ

●それは、、、

〇そうやって、いっつも京野さんに頼りっぱなんだろ

 だから

●だから何?

〇微妙な顔されたんだよ

●どういうこと?

〇告ったの! そしたらなんか、「明日ね」って濁されたんだよ

●ええ 僕も告白したかったのに

 でも、明日ならいっか

〇あんま俺にいい印象ないんだよ

 お前のせいで

●それは違うんじゃないの?

 だってきみの時の話でしょ きみが悪いよ

〇それ言ったらおしまいだろうが

 じゃあ、どうすんだよ

●あした、僕が告白してみようかな

〇は?

●だから、僕が明日、告白するの っていうか告白し直すの

〇あー 言いたいことは分かったけどよ、そんなの変な話だろ

●まあ、確かに

 意味わかんないよね 次の日も 好きです とか言われても

〇おお、だから止めとけって 絶対

●なんか、すごい止めてくるね

 なんで?

〇いや、京野さんがかわいそうだろ

 そんなわけわかんないことされて

●うん

〇分かりゃ よろしい

●違うよ 京野さんなら理解してくれるって

 だって京野さんだよ

〇まあな そういうとこ、ちゃんとしてるから好きってのもあるしな

●分かればいいんだよ

〇じゃあ、まあ な ちゃんとどういうことか説明すんだぞ

 京野さんに迷惑かけんなよ

●もちろん



「見ろよ、あれ、また双田のやつ、京野さんに告ってんぞ」

「マジじゃん、昨日、明日ね ってうやむやにされてたくせに」

「な、懲りねぇな、あいつ あれで何回目だ」

「数えてねぇけど、昼休みだけで十回は見たことあるぞ、あれ」

「そーだな」


「京野さん、ちょっといい?」

「あ、うん いいよ」

「京野さん、好きです、、、僕と付き合ってください

ってごめん 何の説明もなしに ええと、あの、昨日の、、、」

「うん、わかってるよ 大丈夫 昨日の双田くんはもう一人の双田くん何でしょ もう一人の双田 はじめくん」

「そうだけど、、、 なんで分かったの?」

「うーん、見てたら分かるよ 私は みんな気づいてないけど 告白はオッケーだよ、よろしくね、一くん」

「、、、えっ! ありがとう いいの?」

「うん! ずっと一くんのこと気になってたんだ」

「そうなんだ 僕もだよ でも、それだったらなんで、昨日オッケーしてくれなかったの?」

「えっ だってそれは―」



●っていうことがあったんだよ

 今日!

 告白成功したんだよ!

 うらやましいでしょ!

 これで、一緒に水族館行けるなー

 きみも一緒にサッカーの試合でも見てきなよ

 それがいいよ!

 え?そう思わない?

 思うでしょ?

 ねぇ、返事は?


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